日本の友人はWBCで盛り上がっています。各国の選手がしのぎを削っていますが、メジャーの選手も多く参加していますね。プエルトリコの選手が足を怪我したのを見て、冷やしやしています。まだアメリカのメジャーは開幕前ですので怪我があるとその選手やチームには問題となります。高額を払っている選手との契約が現在どうなっているのか、興味があるところです。一方で若い選手にとっては、大リーグに覚えてもらえる良い機会なのでしょうね。皆さんは春のスポーツを楽しまれていらっしゃいますか?
さて、前回から考えてきた「昨年、車を盗まれました。数日後に車は出てきたのですが、もう乗れるような状況ではなく、車内にあったものも出てきませんでした。損害は保険でカバーしてもらえました。最近になって、その車を盗んだ犯人が見つかったということを警察から言われました。場合によっては、裁判で証人となってほしいと言われています。この盗んだ人がわかったということなので、保険では賄ってもらえなかった額や、不便を被った被害を民事訴訟で追求できないかと考えているのでしょうが、可能なのでしょうか。」という質問を今回も考えていきましょう。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) シリコンバレーバンクが破綻しました。全米でも大きい銀行です。特徴としては特に90年代からスタートアップ企業を支援してきたところです。この破綻は、金利の上昇やIT関係企業の成長鈍化、雇用縮小など色々なファクターがあると思いますが、他の銀行が貸さないような事業にもリスクをとって貸していたことが影響しているように思えます。預金が凍結されていたり、借り入れをしている企業はこれから負の影響を受け忙しくなると思います。もう少し大きな視点でみると、このベイエリアで育まれてきたスタートアップ文化に対し、今回の事件は影を落とすのかもしれません。現在大手ITが雇用を縮小し、新たに小さなスタートアップで働きだしている人も少なくないと思います。影響が憂慮されます。
さて、今回から新しく皆さんからいただいている質問を考えていきたいと思います。いただいている内容をまとめると「昨年、車を盗まれました。数日後に車は出てきたのですが、もう乗れるような状況ではなく、車内にあったものも出てきませんでした。損害は保険でカバーしてもらえました。最近になって、その車を盗んだ犯人が見つかったということを警察から言われました。場合によっては、裁判で証人となってほしいと言われています。この盗んだ人がわかったということなので、保険では賄ってもらえなかった額や、不便を被った被害を民事訴訟で追求できないかと考えているのでしょうが、可能なのでしょうか。」という内容です。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) 先日、使っているスマートフォンの電池の寿命だったようで、新しい機種に買い換えるか迷ったのですが、電池を交換するためにショップに持っていきました。店員と話をしていると何度も「二時間ほどお預かりしますが、問題ないですか」と何度も念を押すのです。どうも、最近の人はひと時でもスマホがないと生きていないので念押しをするのですね。時代は変わったものです。
さて、実は私のミスで法律ノート第1328回から考えていたトピックを中途で飛ばしていたみたいなのです。途中まで考えて、内容が別のものにジャンプしてしまったようです。読者から続きについても興味があるというご連絡をいただいておりまして、ここで一旦戻りますが、1328回で考えたトピックに戻りたいと思います。途中から書くと何を言っているのかわからなくなりますので、以下、1328回の文面を最初に貼り付けさせていただき、その続きを考えていきたいと思います。 さて、今回からまた皆さんからいただいている質問を考えていきましょう。いただいた質問をまとめると「昨年、日本から到着しサンフランシスコ市内のホテルに泊まってから、郊外の親族に会いに行く予定でした。サンフランシスコ国際空港で車を借りて、市内まで走っていたところで接触事故に遭いました。そのときはレンタカー会社に電話をして、アドバイスをうけポリスレポートを出しました。その後、病院に行った家族がいたので、治療費を請求したいと思ったのですが、相手方がどうもサンフランシスコ市の車ということで、訴訟にもできないと言われてしまいました。弁護士にも相談しました。なぜ、相手方がサンフランシスコ市だと訴訟ができないと言われるのでしょうか」というものです。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) 皆様こんにちは。弁護士の戸木です。
今週の木曜・金曜と、シカゴで行われているABA Techshowというコンベンションに参加して来ました。アメリカの弁護士協会が主催しているテックショーなので、いわゆるリーガルテックの企業が集まります。アメリカ中からのみならず、スコットランド、ニュージーランド、コロンビアから来た企業もありました。ABA Techshowの様子は、また別の機会でご紹介できればと思います。 さて、先月に引き続き、カリフォルニア州でビジネスをされる方が興味をお持ちであろう分野について概要を解説していきたいと思います。今回は、カリフォルニア州での雇用契約の期間と終了についてです。 アメリカでの雇用契約といえば「at-will」の契約で、いつでも雇用主から解雇が可能と考えていらっしゃる方が多いかと思います。基本的にはそのとおりです。その原則があるからこそ、昨今のTwitterやGoogleによる大量レイオフが可能になっていると言っても良いでしょう。 しかしながら、もちろん被用者にとってみれば、急な失職は生活の基盤を揺るがす一大事です。そのため、もちろんアメリカでも被用者保護の考え方はあり、カリフォルニアはその中でも被用者保護の考え方が強い州と言われています。 まず、アメリカでも、日本同様、有期雇用と無期雇用の区分けがあります。 有期雇用については、雇用期間中に理由なく解雇することはできません。これは日本と同じですね。 一方、無期雇用の場合が大きく異なります。原則として、雇用主からでも被用者からでも、いつでも解除(解雇)可能とされています。雇用契約の中にat-willの条項(いつでも解除可能とする条項)を盛り込むのが通常ですが、仮にその条項が入っていなくても、無期の雇用契約はat-willの性質を有しているものと解釈されています(Cal. Labor Code Section 2922)。 ドラマのようですが、朝、いつものように出社してカードキーでゲートを通ろうとするとなぜか通れず、受付に聞くと「今日で解雇です」と告げられ、その場でPCやカードキー等の貸与品をか回収され、自席の荷物は既に箱にまとめられていてそこから私物だけ取り出し、上司や同僚に別れを告げる機会もないまま会社を去るということもあるそうです。考えるだけで背筋が凍ります。 いつでも解雇ができるとは言っても、雇用主が好き勝手できるわけではなく、きちんと例外があります。Public policy(公序良俗)に反する場合や、被用者が一定期間の雇用継続を期待していたような場合等です。Wrongful termination(不当解雇)と呼ばれ、被用者からの損害賠償請求の原因になります。 アメリカは多民族国家であることもあり、差別に非常にセンシティブな国です。特に差別が禁止されている要素として、人種、肌の色、宗教、性別、年齢、障害の有無、家族環境、出自等が挙げられますが、これらの差別が解雇の原因・動機になっていると、Wrongful terminationになります。 また、被用者が雇用主の違法行為等を指摘したことに対する報復措置として解雇をしたと認められると、それもまた損害賠償請求の対象となります。Whistleblower protection(Cal. Labor Code Section 1102.5)と呼ばれるもので、日本が公益通報制度を整備する際に参考にしたものの1つです。 さらに、ご存知の方も多いと思いますが、アメリカには、Punitive damage(懲罰的損害賠償)という制度があります。加害者の行為が特に悪質であったときに、行為の悪質性や加害者の資力を基礎に、実損とは別に、懲罰的損害の支払が義務付けられます。 懲罰的損害を加えて、結局どれくらいの金額が認容されるかはケースバイケースとしか言えないのですが、金額が大きい例として、以下のような例があります。
雇用主である会社の規模が一定規模になると1億円程度の損害賠償を想定せざるを得なくなりますので、企業としては非常に気を付けたいところです。 以上のとおり、at-willが原則とはいえ、例外に当てはまると損害賠償の金額が大きくなるのみならず、最終的には一般市民である陪審員が事実認定や損害額の判断をすることから被用者側に有利な判断がされることが多いのが現実です。不用意に不誠実な解雇をしてしまうと、紛争化して莫大な損害賠償義務を負うことになる可能性があることを考えると、雇用主としては解雇の判断には慎重にならざるを得ないのです。 シカゴほどではありませんが、ベイエリアも寒い日が続いています。ロサンゼルスで雪も降ったようで、少し異常気象のようです。 皆様くれぐれも暖かくしてお過ごしください。 ■読者からの最期の手紙
梅や桜が花をつけはじめたと思ったら、今週末になってベイエリアは信じられないくらい冷え込んでいます。またダウンジャケットを引っ張り出して厚着しないとならないです。かなり低い標高まで雪が降っていて、今まで体験したことがないほど雪が近くに迫っています。週末、天気が悪いので、このところ急ピッチで進めている、古い事件の電子化、すなわち紙のスキャンをやっていました。今回は皆さんからの質問にお答えするのを一回休ませていただき週末思ったことを書かせてください。 今週末、市内の倉庫一つ分ある書類をすべて電子化する作業がやっと終わりました。どこにいても過去の事件を参照できますし、若手の弁護士らにも事例の参照がしやすくなります。外注すればいいじゃないか、と言われたこともあります。しかし機密情報がほとんどで外部に書類を出すことは躊躇されます。法律事務所のなかには、平気で書類を外部に出して電子化しているところもあるようですが、私には理解できません。時間がかかっても、クライアントの方から託していただいた事件ですので、一件ずつ、事務所内で手分けして大きな倉庫一つ分の電子化を行いました。まだ、倉庫がもう一つあるので作業は続きそうですが一区切りつきました。私自身も週末などを使って、かなりスキャンしました。ファイルを手にすると10年前、20年前の事件でも、まだ事件をやっているかのように思い出すものです。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) はじめまして。サンフランシスコの法律事務所Marshall Suzuki Law Group, LLP、移民チームリーダーの伊藤と申します。
2月1日より当事務所の弁護士、戸木と共にこのMSLGオンラインマガジンを始めさせていただくことになりました。移民・入国管理に関する内容を中心にアメリカ生活のお役立ち情報を発信していきたいと思っています。私は大のスポーツ好きですので、それに絡めたお話もしたいと思っています。お客様とも、スポーツの話を色々できればいいなと思っております。今後ともお付き合いいただけましたら幸いです。また、移民法については、毎日色々な疑問が当事務所に寄せられますが、トピックによっては、皆さんとシェアしたほうが良いものもあります。皆様からコラムにコメントをいただけましたら、出来る限りお応えしたいと思います。 簡単に自己紹介をさせてください。1998年に留学という形で渡米して以来、気が付けばアメリカ生活の方が日本の生活より長くなってしまいましたが、その殆どをサンフランシスコベイエリアで過ごしています。その間、F-1(学生)ビザ、OPT(プラクティカルトレーニング)、H-1B(就労)ビザ、E-2(投資家)ビザ挑戦…etc.の紆余曲折を経て、グリーンカード(永住権)を取得しました。また会社としてサポートする側でも、Mビザ、Jビザ、Qビザなど多岐にわたって関わってきました。このような自分の経験から、ビザや永住権にはとても深く関わっていたのです。当事務所には戸木から1か月遅れの2021年9月に移民チームに入り、今年2023年1月よりチームリーダーを拝命いたしました。ですが元々、私自身が移民業務のクライアントとして2009年から当事務所でお世話になっていました。自分のことで苦労して、時間も掛かったので、このマガジンに興味を持って下さる皆さんのお気持ちに寄り添えるのではないかと思います。これからどうぞ宜しくお願い致します。 今回、まず初回ということで、アメリカにおけるビザの種類についての豆知識をお話したいと思います。ビザの種類にはアルファベットが沢山出てきます。Hが就労、Eが投資家などは一般的にもよく知られていると思います。ですが皆さんはどのようにしてアルファベットが割り振られているかをご存じでしょうか?知っている方はあまりいないのではないかと思います。私も当事務所で働き始めるまで知りませんでした。それどころかHが就労、Eが投資家という表現自体が厳密には正しくありません。 ビザの種類というのは、Aから始まってアルファベット順にB、C、D、….、Vまであります。 そしてそれらは全て合衆国法典(United States Code)という公式法令集に載っている順番に従ったものなのです。 アルファベットの「A」は外交官、外国政府関係者です。なるほど、AmbassadorのAと考えると覚え易いですね。 「R」は宗教活動家。Religiousな活動だからRなのですね。それ以外にも例えば「T」はVictims of Trafficking、人身売買被害者です。Human TraffickingのTなのだなと思えるでしょう。以上のように、ある程度の法則的なものは存在するように思います。 しかし全てが連想できるアルファベットではありません。私は、さきほどEビザが投資家であると書きました。起業家や事業主を意味するEntrepreneurからEになったのだと、以前は本当に思い込んでいたのです。ですが実際には「E」は貿易・投資駐在員で、ご存じの方もいらっしゃるでしょうがE-1は貿易駐在員、よく聞くE-2は投資駐在員を指します。当事務所でも取り扱いが一番多いこのEビザについては、別の回で詳しく考えていきたいと思います。 同じように、学生ビザと一口に言ってもFだけでなくM、そしてJも該当します。 「J」は一般的に研修やインターンシップ用と呼ばれたりもしますが、交流訪問者です。教授、学者、講師などのカテゴリーの他に、オペア(Au pair)と呼ばれるチャイルドケアも含まれます。交流訪問者にもJ以外にQといって国際文化交流という枠もあります。 多岐に渡る交流訪問者ビザが存在するのです。ビザには本当に様々あって、種類も数えきれないほどあるということです。NATO、 北大西洋条約機構の職員用にはNATO visaというのまであります。 今回の最後になりますが、ビザには大きく分けて2種類、移民ビザ(Immigrant visa)と非移民ビザ(Nonimmigrant visa)があります。今回お話したのは非移民ビザについてです。次回はもう1つの移民ビザについてお話したいと思います。 さて、先週末の12日はアメリカ最大のスポーツイベント、スーパーボウルでした。皆さんご覧になりましたか?私は友人宅で楽しく観戦しました。ド派手なハーフタイムショー、1本うん億円と言われるCMなども毎年注目を集めますよね。ただ、あれはフットボールのBall(球)ではなく、Bowl(鉢、椀)だから「ボウル」なのです。スーパーボールだとロングバケーションの方になってしまいます。因みに英語ではBouncy Ball(弾むボール)という呼び名が一般的です。 久しぶりにロンバケが観たくなりました。瀬名君はO-1Bビザでボストンに渡ったのかな?などと考えてしまうのは私だけでしょうか。それでは次回も宜しくお願い致します。 日本の上場企業会長に同行して出張をしていました。昭和から駆け抜けて今年88歳。力強いゴルフもされるし、ビジネスセンスもキレキレです。経験を積み信念を持ち、そしてその信念に基づいて実行できるという姿から色々習うことがあり近くにいて私は幸せに思いました。皆さんは日々刺激を受けていらっしゃいますか。
さて、今回からまた新しくいただいている質問を考えていきましょう。いただいた質問をまとめると「ニューヨーク州在住の者です。ラスベガスを経由してベイエリアに家族と遊びに行ったときに交通事故に巻き込まれました。現地の友人の勧めで紹介された弁護士に委任をして損害賠償請求を相手方に請求しています。すでに事件は和解に向かっているのですが、私の友人は和解金額が低いということを言い、他の弁護士にも相談したほうが良いと言っています。私としては、現状和解しても良いのかと思っていますが、何か基準となる考えがないかと思っています。」という質問です。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) 怪しい気球がアメリカに飛来して撃墜したというニュースがありました。日本でも宮城で同様の飛行物体が確認されたそうですが、放置したということで意味がわかりません。スパイ気球が某国から飛ばされて、サテライトで確認する程度の情報しか得られないということですが、気持ち悪いですよね。アメリカは断固とした処断をしていますが、日本は何もできないのでしょうか。日本という国は、日本国の意向ということを戦後示せなくなっているのでしょうかね。もう少し強い日本の意思を示しても良いときに来ているのではないでしょうか。
さて、「ベイエリアの不動産が高騰していているのですが、友人からCooperativeという形で不動産の所有者になってメリットが大きいと聞きました。普通に家やマンションを買うときに比べて、このCooperativeという形態にどのようなメリットがあるのか、わかりません。」という質問を続けて考えていきましょう。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) 皆様はじめまして。Marshall Suzuki Law Groupの戸木と申します。
カリフォルニア・ベイエリアでは年末から豪雨に見舞われていましたが、1月中旬からは晴れ間が出てきて、気温もかなり暖かくなってきました。久々に快晴になった初日は、ちょうど阪神タイガースの藤浪選手がベイエリアに本拠地を置くオークランド・アスレチックスへの入団会見を行なっていましたね。私自身、神戸育ち・阪神が日本一になった1985年生ということで、根っからのトラ党で、同じエリアの大谷選手との直接対決が見られる可能性が高いので、今からワクワクしています。 さて、当事務所の代表である鈴木が、25年以上に渡って「法律ノート」と題して一般的な法律相談にマガジン形式で回答しているのは、皆さんもご存知かも知れません。それに啓発された私と、今年1月から新たに移民チームのリーダーを拝命した伊藤とで、法律その他のお役立ち情報を発信してみたいと思い立ち、このマガジンを始めさせていただきました。 是非、我々のマガジンをお読みいただいた感想等をいただけますと、幸甚です。 遅くなりましたが、簡単に自己紹介をさせてください。私は、2012年に日本で弁護士登録をして日本の法律事務所で執務した後、2020年8月から米国のロースクールに留学し、その後2021年8月から当事務所でインターン生として執務を始め、2022年5月にカリフォルニア州で弁護士登録が済んでからは本格的にカリフォルニア州弁護士として参画しております。何卒、よろしくお願いいたします。 今回は、カリフォルニアでビジネスをされている方が興味を持たれるであろう、カリフォルニアの個人情報規制「CCPA」について、概要をまとめてみたいと思います。 まず、CCPAとは、2018年に制定されたCalifornia Consumer Privacy Actという法律(Civil Code § 1798.100〜1798.199.100)で、日本でいうところの個人情報保護法です。カリフォルニア州の住民に対して様々な権利を与える法律なので、カリフォルニア州に住む顧客がいらっしゃる事業者の方は注意する必要があります。ヨーロッパで制定されて世界を騒がし続けているGDPRは、EUの市民が権利を有するとされていますね。 CCPAが制定されたこと自体が騒がれましたが、最近は、CPRAによって規制が強化されることで、また話題になっています。CPRAは、2020年に議会承認を得て2023年1月から施行されたCalifornia Privacy Rights Actという新法で、CCPAを改正する法律です。CPRAでは、CCPAの対象となる事業者の範囲を調整したり、新たな権利を創立したり既存権利を修正したりしています。CCPAとは別の名前が付けられていますが、結局はCCPAの改正に過ぎませんので、これからも注視すべきなのはCCPAということになります。 では、内容の概要に入っていきましょう。(概要をまとめているものに過ぎませんので、正確な要件や適用については個別に弁護士にご相談ください。) まず、個人情報(Personal Information)とは何でしょうか。CCPAでは、「直接か間接かを問わず、特定の顧客又は世帯を(と)、識別し、関連し、叙述し、合理的に関連付けられ得る、又は合理的に紐付けられ得る情報を指す。」とされています(Civil Code § 1798.140(v)(1))。ただし、「公に利用可能な情報や、適法に入手された、公共の関心事項である真実の情報については、規制対象からは除外する。」とされています(同(2))。なお、この中の「顧客」の定義として、「カリフォルニアの住民」であることが定められています(Civil Code § 1798.140(i))。 日本では特定の個人を識別することができる情報とされているので、CCPAの対象はかなり広くなっています。 CPRAでは、個人情報の類型として、センシティブ個人情報(Sensitive Personal Information)という類型が新たに創設されました(Civil Code § 1798.140(ae))。センシティブ個人情報には、ソーシャルセキュリティ、運転免許及びパスポートの番号、ログイン、クレジットカード及びパスワード等の情報、位置情報、人種、出自及び宗教、郵便、Eメール及びテキストメッセージの内容、並びに遺伝子情報等が含まれます。 CCPAを考える上で最も重要なのは、どのような事業者が規制を受けるのかという点です。CCPAの規制対象となる事業者は、以下のとおりとされています(Civil Code § 1798.140(d)(1))。 ① 当年1月1日時点で、年間売上が$25,000,000を超えている事業者 ② 1年間に100,000以上のカリフォルニア州の住民又は世帯の個人情報を購入し、販売し、又は共有している事業者(従前は50,000以上とされていたのが100,000以上とされました。中小企業というより大企業向けの規制であるという趣旨が読み取れます。) ③ 顧客の個人情報の販売又は共有によって50%以上の利益を得ている事業者(CPRAによって「共有」している事業者も対象に含まれました。) そもそも上記に含まれなければ、CCPAの要件を遵守する義務は生じないということになります。 では、CCPAの適用と受けるとしたら、具体的にどのような義務が生じるのでしょうか。CCPAでは、カリフォルニア州の住民に対して以下のような権利を与えているので、これらの権利を実現するために必要な対応をとらなければなりません。 ① 知る権利(取得する個人情報、取得源、利用目的、個人情報を開示する第三者の種類、第三者に売却又は共有する個人情報の種類、等)(Civil Code § 1798.100, 110, 115) ② 個人情報を削除する権利 (Civil Code § 1798.105) ③ 個人情報の売却や共有からオプトアウトする権利(Civil Code § 1798.120) ④ 不正確な個人情報を修正する権利(CPRAで創設された権利です。)(Civil Code § 1798.106) ⑤ センシティブ情報の利用又は開示を制限する権利(これもCPRAで創設された権利です。)(Civil Code 1798.121) また、事業者には、顧客が上記の権利を行使したことによって差別してはならない義務(Civil Code § 1798.125)や、顧客が各権利を有していることを開示したりプライバシーポリシーを用意したりする義務(Civil Code § 1798.130(a)(1), (5))等が課せられています。 事業者がCCPAに違反した場合には、1件につき$2,500(故意の場合は$7,500)の行政罰(Civil Code § 1798.155)や、差止め及び民事違約罰(Civil Code § 1798.199.90)を課される可能性がありますので、くれぐれもご注意ください。 以上、マガジンの第一弾として、CCPAの概要をご紹介させていただきました。これからも、伊藤と私とで、月に約2回の程度の頻度で、お役に立ちそうな情報をお送りできればと思いますので、お付き合いいただけましたら幸いです。 日本全体的に大寒波がやってきていたそうですが、まだまだ寒い日は続きそうですね。こちらはコロナに限らず風邪が流行っています。くれぐれも皆さまご自愛ください。 今後ともよろしくお願いいたします。 このところ、私の所属する事務所で今年の夏から研修を受けるインターン生のインタビューを行っています。東海岸からもわざわざ来ていただいたりしていて、色々話が聞けて面白いものです。皆さん、本当に色々な理由があって、法律を勉強されているのだな、と思います。まだ、誰を選ぶのかはわからないのですが、皆さん優秀で感心させられます。どういう形であれ、私の所属する事務所に関わってくれている若手には、弊所での経験を踏み台にして、素晴らしい法曹になってもらいたいなと心から思います。皆さんは、どのように1月末をお過ごしでしょうか。もう少しでスーパーボールですね。
さて今回から皆さんからいただいている新しい質問をまた皆さんと一緒に考えていきたいと思います。いただいている質問をまとめると「ベイエリアの不動産が高騰していているのですが、友人からCooperativeという形で不動産の所有者になってメリットが大きいと聞きました。普通に家やマンションを買うときに比べて、このCooperativeという形態にどのようなメリットがあるのか、わかりません。」という質問をいただきました。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) |
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