訳例:競業避止
カリフォルニア州法は、雇用契約に競業避止義務を盛り込むことを原則として禁止している(California Business and Professions Code § 16600)。カリフォルニには自由な競争を奨励する風土があるからだ。他州では、雇用者が従業員に合理的な競業避止義務を課すこと許容しているところもあるが、その場合でも(1)競業禁止の地理的範囲、(2)競業禁止の期間等の総合考慮により、合理的なものである判断される必要がある。したがって、米国法が適用される契約に競業避止義務の規定を設けたとしても、場合によっては無効となるため、注意が必要である。なお、カリフォルニア州では、(1)と(2)をかなり絞り込んだ最小限の競業避止義務の規定であっても無効と判断されている(Edwards v. Arthur Andersen LLP, 44 Cal.4th 937 (2008))。 ただし、カリフォルニア州法においても、あらゆる競業避止規定が無効というわけではなく、例外もある。雇用契約において、競業避止規定は広く無効とされるが、ビジネスの売買契約において、売主を合理的な競業避止規定で縛ることは有効である。その場合、紛争解決の場では、競業避止規定の有効性判断のためにビジネスの売買価格が市場価格であるか否か、売買価格には対価として「のれん代」が含まれているか否かなど、細かい事実関係が吟味されることになる。 それから、雇用契約において、単に日本や他州の法律が適用法令であると契約書に記載したり、裁判管轄を日本や他州に設定するだけでは、カリフォルニア州の競業避止義務の禁止規定の適用を免れない(California Labor Code § 925参照)。従業員が多くの労働時間をカリフォルニア州内で費やしたり、州内に居住している場合には、カリフォルニア州法が適用され、同従業員に競業避止義務を課すことは違法となりうることに注意したい。 National Foundation for American Policy の発表によると、2019年度の第一四半期のH-1B申請の拒否率は32%に達しているということです。2015年度は6%、2016年度は10%なので、急激な拒否率の増加になっています。現政権のもと以前と同じような条件で申請しても許可を受けにくい状況になってきています。
訳例:契約上の権利放棄の不存在(権利の不放棄)
いろいろなパターンが存在する条項であるが、よくあるのは、契約上の権利放棄は契約当事者が書面で明示しなければ有効とならない(即ち、黙示の権利放棄を認めない)ことを定めている条項だ。 このような権利放棄に関する条項がアメリカでは一般的である理由は、裁判実務を知れば理解できる。一方当事者(原告)が、契約に基づく債務不履行を理由に提訴した場合、それに対する防御として、反対当事者(被告)が、原告はすでに権利を放棄していると主張することが少なくない。実務を反映して、陪審員に対する説示のモデルにも権利放棄による防御についての項目がある(Judicial Council of California Civil Jury Instructions (2019 edition); 336. Affirmative Defense—Waiver)。紛争になった場合に備えて、権利放棄を防御として主張できないように、予め封じ込めようとするのが、この「No Waiver, Anti-Waiver」条項の趣旨である。契約書の作成者としては、契約書の規定からの逸脱を法的に根拠付けてしまう権利放棄をできるだけ認められないようにしたいと思うのが当然の心理である。そこで、「契約当事者全員の署名でのみ放棄が可能である」といった規定によって、権利放棄のハードルを上げるのである。 例えば、単純な売買契約で、「権利放棄の不存在」条項がなかったとしよう。買主は代金を支払ったが、売主は理由をつけて履行日までに物を提供しない。売主は、買主に遅滞する旨を伝え、それが留守番電話に録音されていた。買主は電話を折り返さずに放置した。その後、遅滞が原因となり損害が生じたとして、買主が売主の債務不履行を理由に損害賠償を求めて提訴すると、売主は、「(電話を折り返さないことにより)買主は履行日までの提供という利益(権利)を放棄した」と防御してくる恐れがある。契約書において書面によらない権利放棄が封じられている場合、売主はこのような主張が困難になる。 上記のように、権利放棄は、裁判実務で頻繁に使われる防御方法なので、判例でも「権利放棄とは何か」という論点が出てくる。カリフォルニア州法上、権利放棄は、相手方に履行義務があることを知りつつ、相手方に対する権利を意図的に自ら手放す行為とされている(Roesch v. De Mota (1944) 24 Cal.2d 563)。権利放棄は、一方的な意思表示であり、対価・約因(consideration)は不要である(Knarston v. Manhattan Life Ins. Co. (1903) 140 Cal. 57)。訴訟では、これらの要件の有無について細かな主張立証が行われるため、予め契約で権利放棄を制限しておかないと、かなりの労力が必要になる。 なお、事実関係は複雑だが、興味深いことに裁判例の中には「権利放棄の不存在」条項自体を放棄できるとしたものがある(Gould v. Corinthian Colleges, Inc. (2011) 192 Cal.App.4th 1176)。 弊事務所では、近々、従業員の帰国や産休等が予定されており、アシスタントとして働いてくれる方を募集しております。
必要なのは日本語・英語・パソコンのスキルであり、法律知識は採用の必要条件ではありません。事務所内の公用語は日本語です。 なお、就労不可のビザで渡米されている方も、一定の要件を満たせば就労可能なビザへの切り替えが可能な場合がありますので、興味がある方はまずはご相談ください。 詳細については以下をご確認ください。 ――――― 雇用形態 パートタイム(正社員を希望される場合は要相談) 使用言語 英語/日本語 募集人数 1-2 会社からのメッセージ 日米の法律の専門家として、会社・ビジネス・相続・民事・刑事などの幅広い分野でサービスを提供している法律事務所です。 履歴書、職務経歴書をEmailにて採用担当者に直接ご送付下さい。配偶者が法律関連の業種のため、Eビザで米国に滞在されている方の配偶者も可。 VISAのサポート有。OPTも募集しています! 採用担当まで:([email protected]) ※電話でのご連絡は、相談案件に支障があるため受け付けかねます。 募集の一言 サンフランシスコ・ダウンタウンにある法律事務所[マーシャル・鈴木総合法律グループ]では、パートタイムのリーガルアシスタント1~2名を募集しております。経験がなくてもトレーニング致します。 仕事内容 リーガルアシスタント 勤務時間詳細 パートタイムの場合は、面接時に要相談 勤務地 230 California Ste 415, San Francisco, CA, 94111 アメリカ 給与 経験による 訳例:第三者受益者の不存在
日本の民法と同様に、アメリカ法においても、原則として契約は当該契約の当事者間でのみ有効である。しかし、契約には、当事者以外の第三者に利益を生じさせることを目的とするものがあり、そのような契約の有効性は広く認められている(カリフォルニア州民法1559条参照)。このことは、日本もアメリカも変わりはなく、日本法に親しんでいれば、さほど違いを意識しない条項ではないだろうか。なお、第三者受益者として、明示される者を「Intended Beneficiary」(意図された受益者)と呼ぶ。 契約に第三者受益者が明記されていなければ、そもそも第三者受益者は予定されていないのが通常である。しかし、アメリカの契約書ではその不存在を明記することがある。一般的に第三者受益者が存在しない契約であることを確認的に明示しているだけなので注意規定といえる。当事者が第三者受益者の不存在を黙示に合意しているだけでは、第三者が「私が受益者である」として、債務不履行を一方または両方の当事者に対して訴訟を提起することが理論上ありえるから、この可能性を予め封じておくために、明示の条項を挿入しておくという利益が両方の当事者に存在するのである。契約の当事者双方に利益となる条項なので、争いは生じにくい。 契約当事者以外の第三者との法的関係については、法が特別な規定を設けている場合があることにも留意が必要である。例えば、カリフォルニア州民法2782条は、建築の下請業者、元請業者、及び発注者との間に、特別な法的関係を認めている。契約の種類によっては、このような法律上の規定を前提に条項の文言を検討しなければならない。 訳例:譲渡の禁止(契約上の地位の移転も含む場合もある)
何を譲渡の対象とするのか、契約をドラフトする際、レビューする際には、まず確認しなければならない。契約の対象となっている「物」なのか、知的財産権や賃借権のような「権利」なのか、契約上の「義務」なのか、または契約上の「地位」なのか、どのような内容が対象とされているのかを把握してはじめて、Assignment(譲渡または移転)条項の立て付けが決まる。 一般論として、契約書に禁止条項がなければ、相手方の承諾なくして、契約上の権利のAssignmentを行うことができる(Davis v. Basalt Rock Co. (1951)107 Cal.App.2d 436. 参照)。一方で、契約上の義務のAssignment(又はDelegation)は、権利者の承諾が必要(カリフォルニア州民法第1457条、1458条)であり、承諾がない場合はAssignmentを行った譲渡人は、譲受人とともに、引き続き契約上の責任を負う(Britschgi v. McCall (1953) 41 Cal. 2d 138参照)。したがって、譲渡人を契約義務から解放するためには、契約譲渡について債権者に通知し(通知の手段等は契約書に記載されていることが多い)、承諾を得る必要がある。 なお、Assignmentの禁止条項がある場合においても、相手方の承諾(即ち、禁止条項を事後的に放棄する意思表示)があれば、権利の譲渡が許される場合がある(Trubowitch v. Riverbank Canning Co. (1947) 30 Cal. 2d 335参照)。 譲渡禁止条項の解析の具体的なプロセスは以下のとおりである。第一に、何がAssignmentの対象となっているのかを確認する。第二に、自然人が当事者の場合には死亡等の理由、法人が当事者の場合には合併、消滅等の場合の処理について、どのように規定されているのかを確認する(別の条項で規定されている場合も多い)。第三に、Assignmentの承諾についてどのような記載がなされているかを確認する。Assignmentの承諾については、承諾者の一方的な裁量(sole discretion)と規定されている場合もあれば、承諾者の判断が合理的であることが必要とされ、不合理な拒否はできない、などと規定されている場合もある。契約交渉時は、ここも重要な交渉ポイントである。 カリフォルニア州では近時、保険契約に関する判例において、譲渡禁止特約が否定された事例があった(Fluor Corp. v. Superior Court (2015), 61 Cal. 4th 1175)。同事件において、カリフォルニア州最高裁は、保険金が具体的に支払い可能となった場合には、譲渡禁止特約にかかわらず、債権を譲渡できるとした。このように特約の効果が否定される事例もあるので、ドラフト、レビューの際は例外の適用可能性に注意したい。 訳例:賠償責任の制限
Liabilityという単語は「責任」という意味であるが、「Limitation of Liability」においては、過失等があった場合に生じる「賠償責任」、場合によってはより広範囲にあらゆる法的措置(Remedies)が念頭におかれていることがある。したがって(もちろん、契約書の条項の具体的な内容にもよるが)、単に「責任」とするのではなく「賠償責任」又は「賠償責任及び法的措置」と訳したほうが良い場合がある。 賠償責任及び法的措置を制限する条項を確認する場合、「Release」すなわち「免責」という言葉が含まれているのが通常なので、まずその文言をチェックする。他にも、「Discharge」や「Waive」といった単語が使われるかもしれない。これらはキーワードであり、重要な内容が含まれている部分なので、丁寧に前後を確認しなければならない。 なお、契約書上に明示的かつ分かりやすい言葉で、明確に免責条項の内容を記載していない事を理由に、かかる免責条項の効果を否定した判例があることに注意が必要である(Ferrell v. S. Nev. Off-Road Enthusiasts (1983), 147 Cal. App. 3d 309. 参照)。 契約で「どのような賠償責任でも制限ができる」と定めてしまうと、アメリカの各州の法律に反する場合がでてくる。カリフォルニア州において考えなくてはいけないポイントを一般化して以下、指針としたい(カリフォルニア州民法1668条等参照)。 1 債務不履行責任は制限できる。 2 公益もしくは法令に反しない限り、過失責任は制限できる。 3 重過失または故意の責任は制限できない。 4 州法が責任の制限を禁止(または限定)している場合、契約では州法の規定を超えて責任を制限することはできない。 5 公益に関する契約に関しては、責任の制限が許されない場合がある。 6 間接損害、拡大損害等については、法律上、一方の当事者に過度に不利益が生じる(Unconscionable)条項であると認められない限り、責任の制限は許される。 7 6にいう拡大損害は、責任を制限する特約が無くとも、契約時に予見可能性がある損害に限定される。 以上のような、賠償責任の制限についての法律を踏まえて、賠償責任の制限条項を検討する必要がある。 最近、連邦労働局はカリフォルニア州のIT系会社がH-1Bの平均賃金の規則に違反に関し、その会社に対し$48,193支払うよう命令しました。H-1Bではその地域の該当する職の平均賃金またはそれ以上の額をH-1Bの従業員に支払うよう定められています。このIT系会社はこの従業員に平均賃金を下回る額を支給しており、本来支給すべき額との差額を支払うよう命令されたものです。これは連邦労働局の労働賃金部局が調査し発覚したものです。
訳例:裁判管轄
Jurisdictionは契約書締結時に議論の対象となることが多い条項の1つである。まず、アメリカにおいて「Jurisdiction」という用語は、多義的であるが概ね「法によって司法制度が造られ、裁判所が設置され、そして、その裁判所が具体的な事件に対して権限を行使できること」を意味している。日本の「事物管轄」と「対人管轄」をあわせたような概念であるが、契約書で問題となるのは基本的にpersonal jurisdiction≒対人管轄である。それと関連し、しばしば混同される法律用語として「Venue」がある。「Venue」は「各裁判所の土地管轄がどこまで及ぶか」という地理的な話である。Venueについては、当事者の申し立てで変更が可能な場合もある。日本でも類似の制度として「合意管轄」や「同意による移送」がある。 アメリカ合衆国の中に各州があるため、どの州の裁判所とするかは土地管轄の問題であると誤解するかもしれない。しかし、どの州の裁判所に裁判を行う権限があるかは「Jurisdiction」の問題である。その州の中のどの裁判所で裁判をするかが「Venue」の問題である。 例えば、ある事件をカリフォルニア州の裁判所(カリフォルニア州政府の設置する裁判所)とネバダ州の裁判所(ネバダ州政府の設置する裁判所)のいずれかが管轄するかがJurisdictionの問題である。そして、カリフォルニア州が設置する裁判所がJurisdictionを持つ事件について、サンフランシスコの裁判所(即ちカリフォルニア州政府が設置するサンフランシスコに所在する裁判所)とロサンゼルスの裁判所(即ちカリフォルニア州政府が設置するロサンゼルスに所在する裁判所)のいずれに係属させるのか、というのがVenueの問題である。 なお、アメリカでは州の裁判所と連邦の裁判所との間も異なるJurisdictionとされているので、両者を混同しないよう注意する必要がある。 さて、Jurisdictionの条項を契約書に入れるときには、気をつけて吟味しないと、紛争になったときにその条項の内容を争われる可能性がある。規定の内容は様々だが、裁判管轄の場所及び対象となる紛争の設定を厳格に行わないと、契約書に記載された裁判所だけではなく、選択的に他の裁判所でも裁判ができると判断される可能性がある。 まずは、場所の設定だが、「Exclusive」という単語がキーワードになろう。排他的な裁判管轄の設定を意味する言葉であり、この単語をいれておくことで限定的な設定ができる。そして、カリフォルニア州のように広い州の場合には、単にカリフォルニア州(State of California)の裁判所とだけ指定するのではなく、Venueとして州より下位の区分である郡(county)も指定しておいた方が、実務的には便利である(ただし、当事者がvenueを決定することはできないとする裁判例もある点に注意。Alexander v. Superior Court (2003) 114 Cal.App.4th 723 .参照)。もちろん、複数の選択的な指定も可能であるが、その場合には、さらに慎重に文言を吟味する必要がある。実際に裁判管轄の場所の設定が専属的なのか選択的なのかで紛争が生じ、訴訟になっている例がいくつもある。 次に、裁判管轄の対象となる紛争を明記しておく必要がある。通常は「契約書に記載されている契約関係から生じる一切の紛争」といった書き方をするが、英語では「Arising out of」などという単語を使う必要がある。また、単に契約当事者から発生した紛争、という規定ではなく、当該契約から直接的・間接的に生じるすべての紛争をカバーするといった規定の方がより疑義が無く、望ましい。もちろん契約書の性質や、当事者がどの程度絡み合っているのかにもよるが、どの紛争を対象にして裁判管轄を設定するのか、吟味しなくてはならない。 なお、準拠法等との関係にも注意する必要があることは、本契約解説の「Governing Laws/Applicable Laws」でも述べた通りである。また、準拠法と同じく、理由なく自国での裁判に拘るのではなく、どの裁判所による裁判が最も本件契約から生じる紛争解決に適するかという観点からJurisdictionとVenueを選択する必要がある。 訳例:言語
書面による契約の内容について、基本的には、相手方に対して積極的に説明する義務は当事者にない(Brookwood v. Bank of America (1996) 45 Cal.App.4th 1667, 1674参照)。そして署名後「契約の内容がわからなかった、読んでいなかった」という抗弁は成り立たない (Randas v. YMCA of Metropolitan Los Angeles (1993) 17 Cal.App.4th 158, 163参照)。 したがって、契約の内容は予め理解しておかなければならない。そして理解すべき人は、原則的に署名をした人ということになる。言語によっては当事者の理解がおろそかになる場合もあろうが、契約書に署名をすれば、後日言語が違ったことは抗弁にできない。 現実問題として国際社会では英語がスタンダード化しているので、日米の企業が日本語で契約交渉を進める例は少なく、英語による場合が多い。活発な国際取引を背景に、契約で使用する言語についても、契約書で定める場合が多い。多くの場合、契約書の元文書は英語によって書かれて、他言語で書かれた契約書については、参照するのみで実質的な効力を持たない、という条項がある。両当事者が署名をして契約は成立するのであるから、通常は、英語の契約書と日本語の契約書が存在すれば、どちらか一方に署名をするはずであり、言語についての前記条項はいわば注意規定的な役割を負っている。より重要なのは、契約書以外に他の文書をもって契約を解釈することを禁止する条項および適用法令の条項である。 なお、American Community Survey(日本の国勢調査に相当)によると、カリフォルニア州では、英語を上手に話すことができない者が家庭で使用する言語のトップ5は、スペイン語、中国語、タガログ語、ベトナム語及び韓国語である。そこで、これらの言語で主に交渉される取引や事業を行う者は、一定の契約書については、相手方に対し、契約書を当該言語に翻訳したものを交付しなければならないこととされている(カルフォルニア民法1632)。 移民局は最近、H-1Bビザの申請書の提出先住所について変更があることを発表しました。
2019年10月1日以降、H-1Bビザの申請書を移民局指定の住所に送らなかった場合は、申請受付を拒否される可能性があるので、申請者は注意が必要です。 訳例:知的財産権
知的財産権のうち、特許は連邦政府が管轄しているが、著作権、商標など、連邦の登録が用意されているものでも、実際は州法上も権利が生じる場合がある。したがって、アメリカ関連の契約書のドラフトにおいては、連邦のみならず州の法律にも気を払わなければならない。 従業員が作成した著作物の著作権については、Work-for-Hireである場合には雇用主が原著作者となり、雇用主に権利が原始的に(最初から)帰属するが、そうでない場合は、作成者である従業員が原著作者になり、雇用主は従業員に帰属する著作権を後から譲り受ける(またはライセンスを受ける)必要が生じる。したがって、会社のために契約書をドラフトする立場にいるのであれば、知的財産権の条項は欠かせないし、著作権については、可能な限り、Work-for-Hireであること(及びその範囲)を明確に示す文言を含むようにすべきであろう。このことは、雇用契約書だけではなく、あらゆる契約書についてもいえることである。 なお、カリフォルニア州法上、従業員が雇用主に対して、発明に係る権利を譲渡する旨の規定は、その従業員が、雇用主の備品・物資・施設・企業秘密情報を使用せずに完全に自分の時間で開発した発明については、原則として適用されない点に留意が必要である。(カリフォルニア州労働法2870(a)) |
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