訳例:譲渡の禁止(契約上の地位の移転も含む場合もある)
何を譲渡の対象とするのか、契約をドラフトする際、レビューする際には、まず確認しなければならない。契約の対象となっている「物」なのか、知的財産権や賃借権のような「権利」なのか、契約上の「義務」なのか、または契約上の「地位」なのか、どのような内容が対象とされているのかを把握してはじめて、Assignment(譲渡または移転)条項の立て付けが決まる。 一般論として、契約書に禁止条項がなければ、相手方の承諾なくして、契約上の権利のAssignmentを行うことができる(Davis v. Basalt Rock Co. (1951)107 Cal.App.2d 436. 参照)。一方で、契約上の義務のAssignment(又はDelegation)は、権利者の承諾が必要(カリフォルニア州民法第1457条、1458条)であり、承諾がない場合はAssignmentを行った譲渡人は、譲受人とともに、引き続き契約上の責任を負う(Britschgi v. McCall (1953) 41 Cal. 2d 138参照)。したがって、譲渡人を契約義務から解放するためには、契約譲渡について債権者に通知し(通知の手段等は契約書に記載されていることが多い)、承諾を得る必要がある。 なお、Assignmentの禁止条項がある場合においても、相手方の承諾(即ち、禁止条項を事後的に放棄する意思表示)があれば、権利の譲渡が許される場合がある(Trubowitch v. Riverbank Canning Co. (1947) 30 Cal. 2d 335参照)。 譲渡禁止条項の解析の具体的なプロセスは以下のとおりである。第一に、何がAssignmentの対象となっているのかを確認する。第二に、自然人が当事者の場合には死亡等の理由、法人が当事者の場合には合併、消滅等の場合の処理について、どのように規定されているのかを確認する(別の条項で規定されている場合も多い)。第三に、Assignmentの承諾についてどのような記載がなされているかを確認する。Assignmentの承諾については、承諾者の一方的な裁量(sole discretion)と規定されている場合もあれば、承諾者の判断が合理的であることが必要とされ、不合理な拒否はできない、などと規定されている場合もある。契約交渉時は、ここも重要な交渉ポイントである。 カリフォルニア州では近時、保険契約に関する判例において、譲渡禁止特約が否定された事例があった(Fluor Corp. v. Superior Court (2015), 61 Cal. 4th 1175)。同事件において、カリフォルニア州最高裁は、保険金が具体的に支払い可能となった場合には、譲渡禁止特約にかかわらず、債権を譲渡できるとした。このように特約の効果が否定される事例もあるので、ドラフト、レビューの際は例外の適用可能性に注意したい。 Comments are closed.
|
MSLGMSLGのニュース等をアップデートしていきます。メールマガジンへの登録は、ホームからお願いします。 アーカイブ
November 2024
|
All Rights are Reserved, 2000-2022, Marshall Suzuki Law Group, P.C. All Photos were taken by Takashi Sugimoto Privacy Policy English Privacy Policy Japanese |