訳例:免責
法律用語としてのDisclaimerには、権利放棄という意味がある。たとえば、古典的にはDisclaimer Deedという使い方をする。これは、土地を所有する権利を化体する証書、すなわち権利証(Deed)の一種だが、夫婦間でどちらかが権利を放棄し単独所有する場合の権利証を指す。夫婦の一方が権利を放棄する、すなわちDisclaimする、という場合に使うのである。これが一つのDisclaimerという単語の使い方である。 一般的な契約書でDisclaimerという単語が出てくる場合には、上記の権利放棄とは趣を異にする。通常契約書にでてくるDisclaimerは、Warranty(保証)と対になってでてくるコンセプトである。Warrantyというのは、明示の保証(Express Warranty)と黙示の保証(Implied Warranty)に分けられ、前者は、契約上明記されている保証内容を指し、後者は主に判例等で、「通常期待される程度」の保証を言う。保証に関しての詳細は、Warrantyで述べる。 WarrantyをDisclaimするというのは、保証をしない=責任を負わないという意味での「免責」である。保証対象外、と訳した方がわかりやすいかもしれない。 実際に契約書を検討するときに、強行法規や判例などに照らして、どのようなDisclaimerが許されるのか考えなければならない。主に、不法行為に関する免責が許されるのかは、契約書に適用される法律を基礎として解析しなければならない。たとえば、売買契約においては、カリフォルニア州民法1792ないし1795.8条には、黙示の保証に関する免責制限が規定されている。主に消費者保護のための法律が多いが、かなりの分野で免責制限がなされていることに注意をしなければならない。明示の免責については、そもそも明示しなければ済む話だが、黙示の免責については、法律・規則等に照らしてリスクを想定しなければならない。 訴訟になった場合、免責は攻撃防御方法の防御(Affirmative Defense)として利用される。したがって、免責条項があったとしても、それだけで訴訟を提起されるリスクがゼロになるわけではない。 最近、移民局は、移民局のウェブサイトのいくつかに別れているデータページをひとまとめにしたことを発表しました。これにより、移民局のもつ様々なデータに、容易にアクセスできるということです。データには、永住権取得者についての様々なデータ、移民局の方針についての情報、H-1Bビザに関しての年次報告といったようなものも含まれています。以下が、その発表です。
https://www.uscis.gov/tools/reports-studies/immigration-forms-data/understanding-our-data 本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。
==== 今回は契約書を見る時に注意した方が良い点について考えたいと思います。よく、契約に関して一般的な質問をいただくなかで、見かけるのが、契約書を渡されて内容を確認する時に、どのような点を注意すれば良いのか、ということを質問されます。こういったストライクゾーンが広い質問に答えるのが一番難しいのですが、契約書に関しては、どのような契約書でもある程度のパターンがあり、ある程度の注意点は、変わりません。リース契約にしても、売買契約にしても、車を買う時にしても、一定のポイントがありますので、ここで御紹介しましょう。生活、ビジネスの知恵として覚えておかれると便利だと思います。 まず、注意するのは、お金の額、また、対価となるものやサービスの内容です。幾らお金を払ったり、もらったりするのか、分割で支払うなら、どの程度の利息がつくのかを知ることです。また、対価のものやサービスについては、どの程度のものをどのくらいもらえるのか、また、どの程度のサービスを受けられるのか、確認しておく必要があるのです。書面の契約を作ってしまうと、契約書によっては、事前に口頭で話した内容は契約の内容とはならないという条項がありますので、書面で契約をする場合には、どのような場合でも、相手方が口頭で述べていることよりは書面になんと書いてあるかを注意して、見て下さい。 上記でどのようなものやサービスがお金と交換されるのかを確認されたと思いますが、次はタイミングを考える必要があります。すなわち、お金や対価として差し出されるものやサービスをどの時点で受けられるのか、払うのかを契約書においてどのように書かれているのか確定しなければなりません。たとえば、お金を払っても、いつものをもらえるのか、サービスを受けられるのかがわからなかったら意味がないですよね。たとえば、ケーキを買う時にお金は払ったのに、いつもらえるかわからなければ、大切な人の誕生日が過ぎてしまうかもしれません。通常は、同時に交換する権利があるというのが法律で決まっていますから、お金を出したら、その場でケーキをもらうことができますが、やっかいなのは、継続的に権利義務が存在する契約です。例えば、賃貸借契約や工事などの請負契約の場合です。こういった継続することを対価とする契約の場合、いつどのような内容のものやサービスを受けられ、それに対して、いくら払うのか、納得のいくまで契約書を読むことをお勧めします。不満だったら、交渉して変えてもらうか、署名してはいけません。 第三のポイントとしては、当事者がだれかということです。これは、弁護士 が仕事をするときでも、まず注意して考えるポイントです。つまり、当事者が会社になっているのか個人になっているかも重要なポイントですし、もし保証人(guarantor)がいる場合には、その人や会社が誰なのかを確実に知ることが必要になります。特に保証人については、注意が必要です。保証人というのは、契約でダイレクトに利益を受ける場合は少ないのですが、責任だけは負ってしまうという場合が多いのです。ですから、契約書を目の前にして、まず誰が契約の当事者になるのかをしっかりと確定していただきたいと思います。 第四のポイントは第一のポイントとも関連しますが、ものやサービスを受ける時に、そのものやサービスのクオリティーを確認しておくべきです。ものを買う時に、新品のものを買うつもりで契約して、「コンピュータ一台」買うとした場合、実は、中古品だったなんてことになったら困りますよね。ですから、ものを買う場合には、どのようなものを買うのか、はっきり指定しておくことが大切です。また、サービスの場合はもっと問題が複雑になる可能性があります。人にサービスを頼む時に、サービスをする人が変わってしまったり、サービスの内容が変わってしまう、なんてこともありますから、事前にできるだけ詳細に、サービスの内容を契約に盛り込むようにする必要があるでしょう。 上記で見てきたように、どのような契約でも、まず押さえておかなくてはいけないポイントがあるわけですね。弁護士にしても、どのような契約をレビューするにしても、これらのポイントは絶対的に落とすことはしないわけです。ですから、日常的に皆さんがものを買ったり、サービスを受けたりする契約を生活やビジネス上で行っているでしょうか、その時には、以上の4つのポイントだけは最小限度のプロテクションとして覚えておきましょうね。 次になにか契約書にサインする時には、このコラムを読んで、一息ついてから、サインをするかどうか考えましょう。一旦契約書にサインをしてしまうと、内容を理解してサインしてしまっていると考えられてしまいますから、心のブレーキをかけながら、慎重に。 訳例:定義
契約上使用される重要な文言は定義されるのが米国では当たり前であり、定義条項の吟味がかなり重要性を持っている。日本のように全国で均一に適用される民法・商事法令が存在しないため、定義を契約書で確定しておかないと、いざというときの拠り所が曖昧になる危険性がある。もちろん準拠法(Choice of Law)を契約書で決めておいたり、場合によっては、カリフォルニア州民法の解釈による、といった規定の仕方も考えられるが、アメリカでは法律の改正も多々あるので、契約書によって適用される定義を少なくとも重要な文言に関しては決めておく方が良い。 そして、日本の立法でも最近トレンドになっているが、米国の法令ではまず定義条項を定める。たとえばカリフォルニア州の民法においても、全体に適用される定義条項、および、トピックごとに適用される定義条項などがある。 定義条項において、定義をするときには、定義の対象となる単語に引用符(クォーテーションマーク、“”)がついているので注意しやすい。契約書の解釈をするにあたって、引用符によって定義された単語は、原則として定義された意味において解釈されることになる。 引用符がついている単語については、通常定義条項においては、”○○” meansという言い回しで使われる。また、具体的な内容が記述されたあとに、(“○○”)と記述されることもある。気をつけなければならないのが、”○○“ includes などとある場合である。この場合、定義が○○に限られるのか、○○を含み他の可能性もあるのか、契約書の全体を確認しなければならない。Meansと続く場合には、比較的素直に読めばよいが、Includesと続く場合などには、限定的な表現なのか、例示的表現か、などロジックに気をつけて解釈する必要がある。 実務的なコツであるが、筆者が、急いで契約書をレビューするときは、定義条項はまず読まない。通常定義されるような重要な単語は決まっているので、定義条項を飛ばして読みながら、定義が必要そうな単語は、定義条項に立ち返って確認していくという方法が有効である。なんでも最初から読めば良いというものではない。 本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。
==== 今回は、ドメステック・バイオレンス(以下、「DV」とする)について考えようと思います。あらかじめ申し上げておきますが、私は暴力は大嫌いです。暴力では何も解決しないからです。ある程度のビジョンを持っている人であれば、暴力は人間関係でなにも意味がないということを知っているからです。私は子供の頃、よくけんかをしましたが、大人になってから暴力をふるうという人は根が弱虫なんだと思います。権力や地位をひけらかす人というのは、ろくな人がいないものですが、暴力でその表現をする人って不幸な人なんでしょうな。もちろん日本人でもアメリカ人でも感覚的に「暴力はいけない」と思っている人が通常なのでしょうが、シチュエーションによっては、考え方に差がでてきます。ひとつの代表的な例がDVです。 家庭内暴力というのは、アメリカでも日本でも長いこと「起こっている事実はあるけれども、まあしょうがないことだな」という考えが支配的でした。日本でもDV法が施行され、近時暴力の被害者を擁護するような裁判所の命令や判例が出てきていますが、アメリカのDV法の使われ方は比べものにならないほど影響力があります。この影響力は警察・検察とも積極的にDV事件を立件していこうという政治的な背景から成り立っているものですが、良い影響もあれば、悪い影響も発生させるおそれがあります。確実に言えることは、多くの家庭がDVが存在することにより崩壊し、DVが事件になることによっても家庭が崩壊する場合が多いのです。 ベイエリアのDV事件はひょんなことから始まります。当事者が電話をしなくても、隣家の人達が通報することにより、警察が介入できることが法律で決められています。日本でいう警察の「民事不介入」という原則はなりたたないのです。まず、この思いもよらない警察の介入にまず当事者はびっくりしてしまうわけです。自分の家でもベイエリアでは大声で争ったりすることは大変なことになってしまうのです。電話で通報されてしまうと、声だけの言い争いでも、警官が夫婦を引き離し事情を聴取します。ここでまず当事者が何を警察に話すかということが後日にまで尾を引いてしまいます。もし奥さんが少しでも、旦那さんに物理的に押されたとか、掴まれたということをいえば、旦那さんはばっちり逮捕されてしまいます。もちろん口げんかだけであれば、警察は何もできませんが、奥さんの体に、ちょっとでもあざなどがついていると写真に撮り、後日の証拠になってしまいます。このイニシャル・コンタクトの時の証言や写真というのを警察、検察とも重視します。後日、奥さんが体を触り合ったりしていないなどと証言しても、「弁護士に知恵を入れられた」とか「後から怖くなって証言を変えたんだ」などと勘ぐられてしまうのですね。DVが事件になると、事例によっては夫婦が一緒に住めなくなったり、警察が職場や学校に事情聴取に行ったり、たいへんなことになります。もちろん、実際に物理的な暴力をふるって、ふるわれているような家庭であれば、どんどん警察が介入するべきだと、思いますが、よく私が頭を抱えてしまうのは、あまり英語もできない駐在員家庭で、大声で言い争っていただけなのに、捕まってしまうというシチュエーションです。隣家にしても、何の言葉で言い争っているのかわからず通報され、警察が来ると、英語で誘導的な尋問をされ、事件を作り上げられてしまいます。私が一歩引いてみても「そこまでするかなぁ」という事例がひとつや二つではありません。仮にですよ、私が彼女と言い争いになって、彼女が私に不満で、何も暴力はなくても、電話を持ち上げて、警察を呼んで、彼女がここを殴られたといえば、私は捕まってしまうでしょう。ベイエリアの警察はそこまでやります。警察が来てしまうとその後、裁判になり、外国人であれば強制送還の可能性もあり、カリフォルニアの法律で52週間のDVカウンセリングにも通わなくてはならなくなりますから、事件を解決することは簡単ではなくなってしまいます。事件になってからでは、夫婦の仲もぎくしゃくしたり、良いことがありません。とにかく、私のアドバイスは、夫婦間で言い争いになった場合、どちらかの声が荒くなってきた場合、等々、とにかく、どちらでも良いですから家を離れどこかで頭を冷やすことが大事ですね。しばらくしてまた家に帰っても言い争いになるようであれば、これはDVの芽があるかもしれません。 弁護士がDV事件にかかわるのは刑事事件で旦那さんを弁護するというパターンが通常です。もちろん、実際に暴力があるような事件で被告人である旦那さんに自覚が無い場合には、弁護人としてもまず自覚をいろいろな形で持ってもらう努力をします。ところが、大人になってから、人が何かを自覚するということほど大変なことはありません。人というものはなかなか自分を変えるということはできませんからね。私はクライアントと接するときに、その人が主観的にどのように考えているのかということを丁寧に聞くようにしています。その主観で考えられていることと現実の法律によって定められていることをどのように繋ぐかということが弁護士の「仕事」なんだと思います。人は一人一人自分が「正しい」と思っていること、「悪い」と思っていることがあるわけで、その思いと法律を繋ぐ役目が弁護士なんですね。いやはやわかりにくい職業ですが、弁護士が「人商売」といわれる所以はそこにあるんですね。 今回はDV事件のインパクトを考えてみましたが、子供さんがいる家庭は特に注意してくださいね。 訳例:副本
契約書の署名における原則は、当事者全員が同じ原本に署名をすることである。面前または持ち回りで一つの原本に署名できれば、そもそもCounterparts条項は不要である。しかし、当事者が多数であったり、遠隔地に居住している場合など、全員での署名が困難な場合があり、その対応策として、Counterparts条項が必要となる。 Counterparts条項にも色々あるが、当事者が各自(別々の)契約書に署名することを定め、かつ、各契約書がいずれも効力を有することを確認するために、複写された原本(Original)は原本と同じ効力を持つ、全部が一緒になって一つの契約書を構成する、という内容を規定することが多い。 Counterpartsは「副本」と訳されることが多いが、厳密に考えると、上述のとおり、同内容だが物理的には別々の契約書に各々当事者が署名するため、この場合の「原本」と「副本」は、署名部分の記載は異なる。その意味で、原本をそのまま写したものとして用いられる一般的な「副本」とは少々違うといえよう。 なお、最近では、電子署名(たとえばDocuSign)などを使うことも多く、米国の裁判所でも弁護士が事前に登録する方法で署名を簡素化している。電子署名はますます増えると思われるが、そうすると、Counterparts条項の内容も紙を前提としている従来のものから、電子署名の時代に即したものに変容していくと思われる。 サンフランシスコの北部で発生した火事により、サンフランシスコ市の空気の状況が、現在深刻になっており、周辺の学校等は休校になっています。サンフランシスコ市内でもケーブルカーの運行の取り止めなどが発表されています。事態を鑑みて、MSLGは2018年11月16日は、所内の全メンバーを自宅待機としました。事務所でのアポイントがある方、出廷・訪問等がある方は、担当者に直接連絡をして調整をしてください。なお、移動ができない案件については、引き続きMSLGが対応しますので、その点はご安心ください。所内の電話もつながりにくくなっております。申し訳ありませんが、電話での対応に不備がある場合には、info@marshallsuzuki.comまで、メールをいただけると幸いです。
________________ 以下外務省からの転載(日本の官庁からの情報は鵜呑みにせずに、現地の情報を必ず確認してください。) On 2018/11/15 23:25, 外務省海外安全ホームページ 最新情報 wrote: > 【ポイント】 > ●11月8日にカリフォルニア州北部ビュート郡,同州南部のベンチュラ郡において > 発生した山火事は現在も鎮火しておらず,多数の死傷者が出ています。 > ●サンフランシスコ等のベイエリア地域においても山火事の影響による大気汚染 > 等の被害が発生していることから,関係機関や現地報道等からの最新情報を入手 > し,安全確保・健康管理に努めてください。 > > 詳細は以下のリンク先をご確認ください。 > (PC)==> https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo_2018C161.html > (携帯)==> > http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mblatestspecificspotinfo_2018C161.html > 〔お問合わせ先〕 > 外務省領事サービスセンター(海外安全相談班) > 〒100 - 8919 > 東京都千代田区霞が関2-2-1 > 電話:03-3580-3311 内線 2902 |
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