米国とイランの関係は悪い状態のまま続いていますが、この度イラン人がいままで申請可能だった米国内でのE滞在資格の延長や他の滞在資格からE滞在資格への変更の申請ができなくなりました。Eは米国との良好な関係のある国の国民が申請できるので、関係が崩れると今回のような結果になります。
元NBAのスーパースターとその娘を乗せたヘリコプターが墜落して死亡してしまった、というニュースはかなりショックでした。NBAが直接高校生にリクルートをかけた、突出した選手でしたが、人格的にも優れていて、奢ることなく、練習場に困ったら高校のコートまで借りて技を磨いていたそうです。そして墜落の際も娘さんのバスケの試合に付き添っていたとか。ずいぶんお金も稼いだようですが、練習場などにお金を使って後進を育てることに情熱をかけていました。どこかの国のくだらないニュースになる成金野郎とは全然違う、心と情熱と努力と才能を持っていた優れた人を亡くしました。心からご冥福をお祈りします。
さて昨年から考えてきた「やっていたコンピュータ関係のビジネスを清算するために、中古ですが電子機器をまとめて他業者に売ったのですが(数万ドルのようです)、正常に稼働しないということで、紛争になっています。相手方他業者は、かなりの損害になったと主張に訴訟をしてくると言っています。払った額は戻すので現物を返してくれといっても、損害が発生しているので、それだけでは許さないといって感情的になっているようにも思います。やっていたビジネスは小規模でとても弁護士を頼むこともできないのですが、訴訟になった場合には、ネットなどでは本人だけでも訴訟もできる、ということですが、実際に訴訟を素人ができるものなのでしょうか。」という問題について、年をまたいでしまいましたが、続けて考えていきましょう。2020年の新しい法律については、次回取り上げていきます。 前回までで、訴訟を提起して、情報開示(ディスカバリー)をはじめる、というところまで考えました。実は、このディスカバリーというのは日本ではあまり活用されていないものであり、私も以前日本弁護士連合会の「自由と正義」という雑誌に記事を何度も書いたことがあります。日本では基本使われていなかったのです。アメリカの民事事件ではほぼお約束のように情報開示が行われます。情報開示については、私はかなり経験もあるので、書き出すと何ページあっても足りませんので、ここでは、本人訴訟をした場合にディスカバリーなんてできるのだろうか、という点を考えておきます。ディスカバリーには、いくつかパターンが法定されています。質問に答えろ、書類を出せ、というのが基本です。ディスカバリーというのは、最終的に陪審員を並べて、その人達に白黒の判断をしてもらう事実審(トライアル)に向けて、対立する両者が手持ちの情報を出し合って、主張防御の強い点弱い点をあらかじめ知っておくことができる制度です。ポーカーや麻雀のように、手札を隠して戦うのではなく、予め、内容をお互いに開示して、それでも残った論点があればトライアルをしようというシステムの一環ということになります。日本人は特にこのディスカバリーに慣れていないので「手の内を見せてしまうと負ける」という感覚があるようですが、ディスカバリーで見せておかないと、その情報はトライアルでも使えない、なんてことにもなりかねないのです。ここで、今回の質問を見ると、相手方が損害賠償を訴えてきているとすると、その機械についての情報やら、売買当時のやり取りなどが相手方である原告側から請求されてくると思います。訴えられた質問者の方も、損害が一体どのように発生して、何を請求して、誰がそれを見ているのか、などの情報や書類がほしいと思います。そのやり取りをするのがディスカバリーなわけです。難しそうですし、実際に訴訟をやると色々法律的にも難しい部分もあるのですが、現在裁判所では、様々なディスカバリーのフォームをオンラインで用意してくれています。必要事項に記載をして、相手方に送れば、ディスカバリーになるのです。もちろん、質問等、具体的なことについては考えて記載しなければなりませんが、たとえば「契約不履行」とか「損害賠償」といったキーワードに紐づくフォームがあり、それを利用することも可能です。ただ、私が今まで見ていて、法律の実務を知らない人がディスカバリーをやっているのをみたことがありません。たとえ、フォームが用意されていても、事件全体のアドバイスを受けるということは考えられるかもしれません。次回もう一度考えますが、ディスカバリーを避けては、アメリカの民事訴訟は語れません。実際問題として95%のケースはディスカバリーが終わって、裁判前に解決するのです。 前後して申し訳ないのですが、次回2020年の法改正について引き続き考えていきたいと思います。今回の質問は一旦お預けにさせていただければと思います。暖かい日が出てきましたが、ウイルスに注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。 -- All Rights Reserved, Junji Suzuki, 2019 このメールのコンテンツは著作権等で守られています。 ベイエリアの49ersがスーパーボール進出を果たしました。週末にパッカーズ との試合を観られていた方も多かったのではないでしょうか。前半すでに大差 で、手に汗握る試合とは言えませんでしたね。心配なのは、ディフェンスで2名 負傷者がでていたことです。スーパーボールに影響しないことを祈ります。三連 休の方も多かったと思いますが、皆さんはどのようにお過ごしになりましたか。
さて、前回考えた2020年に新たに施行される重要な法令について、今回続 けて考えていきたいと思います。前回、労働新法についてかなり考えましたが、 今回もいくつかダイジェストでご紹介していきます。まず、差別やハラスメント 等の訴訟をカリフォルニア州で提起するためには、訴訟の前置として行政機関 (DFEH)に訴えを提出しなければなりません。そして、訴訟の原因となる不法な 行為が行われてから1年以内に、この行政機関への訴え提起をしなければならな かったのですが、短いということで、3年に延長されました。 次に、雇用契約書に関してですが、雇用契約書の記載で、紛争が生じた場合、裁 判所の裁判ではなく仲裁に行くという条項が一般的にあります。仲裁というの は、私的に紛争を解決する方法です。そして非公開という特性があります。です ので、セクハラ事件などは世論を味方につけたい原告側としては、不利な部分も あります。新たに1月1日から法律ができて、雇用に際して仲裁条項を雇用の条 件としたり、強要したりすることが事実上禁止されることになりました。本当は もっと仲裁条項について、制限ができたのですが、ここでは省略します。 あと給与に関する法改正です。給与をオンタイムに支払わなかった場合には、ペ ナルティーが加算されることに1月1日からなりました。現存の違反金に加え、 1人に対する1回の遅滞に関して、一回目は100ドル、二回目以降は200ド ルにさらに違反金が課されることになりました。かなり厳しくなってきています ね。実際、経済の調子が良いといっても、スタートアップなどの企業は不安定で 給与の問題がでてきるということなのですね。 他にも、多々労働法に関する新法が出てきています。たとえば、もともとカリ フォルニア州の15人以上被用者がいる会社においては、被用者が生きているま ま臓器提供をする場合には、給与を払いつつ30日間の休みを与えなくてはいけ ませんでしたが、それに加えてさらに30日間の休み(無給で良い)を与えなく てはいけないということになりました。世界的に先駆している被用者保護の法律 です。 それから、職場で起きた労災事故については、即時に州に対して電話またはオン ラインで報告する義務が強まりました。それから、新法で、一部の例外を除い て、髪型で職場の差別を行うことを禁止しました。すべての髪型ではないでしょ うが、「人種」という差別から保護されているカテゴリーに髪型も入る、と法律 で明確にしたものです。ただ、日本人がちょんまげをつけていったら、どうなる のでしょうかね。 それから、昨年の新法紹介で、カリフォルニア州において、5人以上の被用者 がいる場合には、セクハラ教習の受講義務を課すとした、と書きました。そし て、2020年1月1日までに、その初講習を終えなくてはならない、という話 になっていました。それはあまりにも急だし、対応ができないということで、 2021年1月1日までに対応すれば良いということになりました。 以上のように、労働法の分野はかなり、被用者寄りの改正がなされました。カ リフォルニアには、新しい分野、新しい形態の会社がどんどん出てきて、新しい もの万博のような感じになっています。そこで、労働法の問題がかなり増加して いるのも事実なのですね。一方で、カリフォルニア州では、様々な税金が高いこ とから、企業や高額所得者が多州に逃げて行っていますが、このような労働法の 改正で、企業を経営するのが難しい面が多々でてくると、カリフォルニアから企 業がさらに離れていってしまうのではないかと懸念されています。 労働法ばかり考えてきましたが、次回はいくつか別の分野の法改正にも言及し て、また皆さんから頂いている質問への回答に戻りたいと思います。まだ、ベイ エリアは雨が多いですが、一週間がんばっていきましょうね。 |
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