この原稿が2018年最後の原稿になります。昨年末は私の所属する事務所の引っ越しなどでバタバタしてゆっくりできなかったのですが、今年はやっとゆっくり過ごせそうで、なによりです。風邪などは引きましたが、健康に一年過ごすことができました。皆さんにとっての2018年はいかがだったでしょうか。色々なニュースもありましたが、一番は、読者の皆さんが健康で幸せな毎日を過ごされたかどうかということだと思います。
だんだん私も歯の悪いところがでてきて、最近近所で歯科治療に通っています。心がある歯科医師だから人気なのか、とても忙しそうです。私の治療も文句も言わずに、時間がかかっても夜遅くまでやっていただけます。疲れが浮かんでいることが明らかです。患者のためにがんばる姿がとても印象的です。まだ若い歯科医師なので体力もあるのかもしれません。何度か通っているなかで、待合スペースが殺伐としている感じを受けました。ちょうどホリデーシーズンなので、花を送ることにしました。華やかさがあったほうがいいですよね。 再訪すると、その花は受付に飾られていました。そして、受付の人だけではなく、働いている人全員の笑顔を見ることができました。とても感謝されて逆に驚きました。たしかに、アメリカでは、日本のように、「お土産」的な習慣はありません。そのときふと思ったのは「なかなか花などもらわないものなのだな」ということでした。この歯科医院、評判はとてもよく、待合でみかける人たちも口々にかなり感謝している様子です。このような光景に接して、思うところがありました。 歯科医師だけではなく、医師も弁護士も人を扱う職業です。そして、人体や社会の問題を解決するために、高度な知識や経験に裏打ちされた挟持を持ち、常時最新の分野を学び切り開いていかなければなりません。こういった専門職は、免許がないとできませんから「できて当たり前」という見方をされることがほとんどです。もちろんおっしゃる通りなのですが、専門職の人たちも人間です。寝ないで研究できるわけではありませんし、ミスもあるでしょう。ただ、「できて当たり前」を維持するために、かなり努力を続けて、精神を緊張させていることも事実だと思います。「できて当たり前」なのでしょうが、やはり感謝されると素直に嬉しいものです。人を幸せにすることで、自分も幸せを感じられる場合も多く、人から受けた感謝から感じる、「人の問題を解決できたな」という達成感は、なかなか気持ちが良いものです。 もちろん、私もお世話になっている歯科医師にちゃんと御礼は言います。でも、夜遅くまで私のような人間に時間を割いて妥協しない姿を見ていると、「できて当たり前」とは思えなくなるのです。人の問題を解いていくという、性質の似ている専門分野で仕事をしているからかもしれません。花を送ってよかったと本当に思いました。 皆さんも周りとの人間関係で、どこか「当たり前」だろう、と思って日々生活し、仕事をされているかもしれません。それを信頼関係と呼ぶこともできるかもしれませんし、深い絆があるのかもしれません。あるいは、「当たり前」の関係に慣れてしまっているのかもしれません。どのような形であっても、せっかくの年末、ホリデーシーズンです。色々な人間関係に思いを馳せて、感謝の気持ちを表すにはもってこいの季節ですね。「当たり前」の関係かもしれませんが、その人がいてくれることに素直に感謝できるというのはとても気持ちの良いことですし、幸せが幸せを呼ぶように思います。 私は、今まで20年以上法律ノートを書き続け、読んでいただいている読者の方々、質問を送ってくださる方々に、全員に花束をお送りして感謝したいとは思います。ただ、現実問題としてそれは難しいことです。紙面となりますが、一人一人の方、励ましてくださる読者の方々、出版を支えてくれている方々、皆さんに本当に感謝します。そして、この原稿をきっかけに、年末年始、皆さんも誰かに感謝の気持ちを持って、2019年をお迎えいただければ、私は嬉しいです。 2019年になっても、法律ノートの執筆がんばっていきますので、皆さんどうかよろしくお願いいたします。皆さんにとって幸多き新年になりますよう、心からお祈りしております。 最近、移民局は偽りの情報を移民局に提出し、永住権と市民権を取得したケースに関し捜査する専門の部局を立ち上げたことを発表しました。この部局を立ち上げるため多くの弁護士と移民局専門官を雇い入れたとのことです。捜査の結果、偽りの情報であることが確定されれば永住権または市民権は剥奪されることになります。
本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。
==== 某テレビ局の「のど自慢」がサンフランシスコで行われました。私もしっかり見てきました。というのも、私の事務所もこのイベントの法律面に深く関わって、歌手やイベント関係者がアメリカに入国するまでは、とても忙しく仕事をしていたからです。このように、良い方向で仕事が成功し、クライアントも事務所のメンバーも皆さん嬉しいというのはなかなか弁護士冥利につきるものです。皆さんも仕事や勉強に燃えていますか。 さて、今回は日本には無い制度でアメリカで様々なビジネスを行ううえで、知っておいていただきたい制度をご紹介します。それはエスクロー(escrow)制度です。アメリカで不動産などを購入された経験がある方はご存じかもしれませんが、エスクロー会社は売り手と買い手の中間に入り、買い手からは代金を受け取り、売り手からは不動産の所有権を移転する必要な書類を受け取り、すべて必要な書類やお金が整ったことを確認して、エスクローに入っている書類やお金を受領する当事者に開放します。取引内容を確認する業者とでも考えてください。この制度は不動産取引の安全を考えると非常に有効な制度で、いわゆる日本の民法の理論上、問題になる不動産の二重譲渡の問題や、物権変動においておこる問題がなくなり、円滑で安全な不動産譲渡が約束される手段となります。エスクローといえば、不動産に関するものが皆さんにとっては一般的に目に入るものでしょうが、実はビジネス上でも様々な場面で使われることがあります。もし、アメリカで会社を買うとか、投資をするなどということをお考えになっている方がいらっしゃったら、エスクロー口座を開き、エスクロー会社に取引の一部を任せると、ぐんと安心感が増すと思います。 エスクロー口座をどのように使うかは、例を使って考えた方が非常にわかりやすい。ですから、まずどのような取引にエスクロー口座が使えるのか、実際の例を見てみましょう。お店を経営しているYさんは、Xさんに店舗、それにお店にある道具や在庫を売り渡したいと思っています。Yさんの店舗はリースしている物件で、あと三年リースが残っていて、加えて五年間のオプション契約が可能です。Xさんもこれは了承していますが、Yさんの大家さんがYさんからXさんに賃借人の地位を譲渡することを許可するか、または転貸借(いわゆる又貸し)を許可するのか、Yさんの大家さんの意向を知らないと、この店舗の売買が成り立たないことになってしまいます。つまり当事者であるXさんやYさん以外の人の判断を仰がなくてはいけなくなってしまいます。一人、二人と取引に関わる人が増えていくと、取引自体が進む速度が遅くなってくる。これは、各人の思惑の数が増えていくからです。 Xさん側としては、店舗を買い取るわけですから、お金を払えば良いですが、Xさんがもらい受けるもの、すなわち備品や店舗の状態などは、固有のものなので、専門家に検査をしてもらったり、譲り受けるものの内容も確認しておきたいところです。Yさんとしては、現金一括でもらえれば言うことはないでしょうが、Xさんがローンを組むことが条件になるといった場合、確実に融資先からお金が入ることを確認しておきたいわけです。XさんとYさんの間だけでも、このくらい確認したい事項がでてきますので、一日、取引の日時を決めて、「さあ売買を完了させましょう」というのは危険なわけですし、もっとも終わるわけがない。そこで、エスクロー口座を開くわけです。ビジネスエスクロー口座を扱っている業者もありますが、皆さんが使われている銀行や金融機関などもこのサービスを行っているところが多いです。もちろんただで、この役目をやってくれるわけがありませんから、取引の規模や煩雑さによって、数百ドルから数千ドルのエスクロー料金が課金されることになります。これは取引の内容によっては非常に価値のあるものになります。売買の完了を第三者が見届けてくれるのですからね。特に、売買金額が何億円にもなる場合には必須な訳です。 XさんとYさんは各々相手に渡す書類、権利、お金についてあらかじめすべて書き出して、エスクロー会社に伝えます。エスクロー会社はたとえば、リースにおける賃借人の地位がXさんからYさんに移転された、もしくは、転貸借が承諾されたという事実を書類で確認しなければ、絶対にXさんから振り込まれたお金はYさんに渡さないわけです。ですから、エスクロー会社は取引に関してある一定の期間、たとえば30日や60日といった期間、をオープンの状態にしておき、その期間内にすべての条件を当事者が整えるよう促すのです。このようにして、すべての条件が整ったときに、無事Xさんは店舗や備品などを手にでき、Yさんは売買代金を手にすることができるのです。こうすれば、リスクも最小限に抑えられますね。 このようにビジネスを売買する、または投資をして株を買う、知的財産権のライセンス契約を締結する、そういった場面でいくらでも使える可能性があるこのエスクロー口座を、皆さんも利用されてはいかがでしょうか。また、会社間の取引なども、時によっては多額の取引が行われることが少なくありません。ですから、ぜひエスクローを利用することで、無駄なエネルギーを使うことを最小限にしてください。 マサチューセッツ州の57歳の男性が、アフリカ出身女性と偽装結婚し、その後永住権申請した疑いで逮捕され、最近、連邦裁判で有罪を宣告されました。移民局の発表によると、その男性は、13年間の間に、金銭を受領するかわりに、アフリカ出身の外国人女性6人と偽装の結婚し、その4人について、結婚ベース永住権申請のサポートをし、永住権を取得させようとしたものです。
本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。
==== 交通事故の事件を受任すると、弁護士としては事件を一生懸命やり最大限の結果を得ることが業務の内容となります。損害賠償事件では損害額を算定し、慰謝料とともに回復するのが役目ですが、当事者の感じた心の痛みの回復をそのままできるということはなかなか難しいものがあります。私は個人的にはどちらかというと人に対して、理解しようと思うあまり全力を尽くしてしまう方なので、一人になると疲れたりする事もあります。しかし、人の悩みを聞くのが私の商売なので、どんなときにも前向きでがんばることを忘れないようにしようと思っています。自分のやっていることを信じていないとだめなのですね。 交通事故のケースを扱う場合、大きくわけて(1)人損、たとえばけがとか後遺症の問題、それから(2)物損、車が壊れた場合などの問題にわけられます。通常、弁護士が介入して事件を進行させるのは、(1)の人損問題に限られます。人損問題に関しては、治療代に加えて、事故から生じた体の痛みや苦しんだことに関して、慰謝料が支払われるからなのです。弁護士が介入して、この人損に関する算定をするのです。また、この慰謝料を含め、人損に関しては相手の保険会社もなかなか頑強に交渉してくる場合がありますから、法律論で相手をしていかないとなかなか事が運ばない場合が多いのです。(2)の物損の問題に関しては、たとえば車の修理の問題でも、過失の割合に応じて、車の修理代が支払われ終了してしまいます。もちろん、過失の割合などの交渉については、弁護士がやらなくてはいけませんが、物損に関して支払われるのは、実際の価額だけで、慰謝料というのは基本的にもらうことができません。どんな新車でも心を込めて維持している車でも、慰謝料というものを受けることができないのです。法律上、基本的には物を壊された場合、その物の修理額などに限られます。車のコンディションが以前と違うなんていう場合でも、多くの場合、全く元の状態に戻すということはなかなか難しいのです。これが法律で引かれた線なのですね。ところが、愛車を壊されたとなると、非常に感情を害される場合が実は多いわけで、私なんかも気分が落ち込んでしまったことなどもあります。クライアントの方なども、納得できないと私に気持ちをぶつけられる場合も多々ありますが、法律論ですから、私も諦めてくださいと最後に言うしかないのですね。こういった場合、私がクライアントのお話しを聞くことで、気分が和らげば良いな、といつも思うのです。 交通事故などのケースでは、往々にして相手方が「申し訳ない」という表現や素振りをしていなかったことに感情を害される方々もいらっしゃいますが、この点にしても、アメリカ社会では一般的に、事故のときには、「謝ってはいけない」。謝ればそのことが非を認めてしまうという考え方が一般的だから仕方がない部分というのもあるのですね。最近、カリフォルニア州の法律も改正されましたが、基本的に陳謝は過失を認めたと考えられる場合が多いのです。この点は文化的に日本とアメリカでは違うところだな、と実感させられます。その違いを説明して納得していただくということを私はするように努めていますが、なかなか異文化を理解するのは難しいのでしょうね。 交通事故というのは小さくても、大きくても、突然災害が起こったような状況になるので、個人にとっては非常に迷惑な話です。相手方に頭を悩まされるということもあるでしょう。弁護士を使ってなんとかしたい、と思っても、ご自身の心の傷は癒えないかもしれません。弁護士はその手助けはできるかもしれませんが、実際の心の持ちようは一人一人にかかっているのです。私はその気持ちを理解できるように毎日がんばるしかないですね。 私も数年前、どうしたものか一年に3度ほど事故に遭いました。すべて私に過失はないと認定された一般に言う「もらい事故」でした。一回は、私の秘書と裁判所から帰る途中に、同じ裁判所からでてきた弁護士に止まっているところを後ろからぶつけられました。次に、夜遅く事務所から帰る途中にお尻を掠る程度に信号無視の車に当てられました。これは当て逃げでした。3回目は自宅に帰宅途中、これまた一時停止無視をしてきた車に当てられ更にこの車、逃げてしまいました。この時は、私もどうしようかと思いましたが、目撃していた車が助けてくれて、追いかけました。一旦、この当て逃げ車は停止したのですが、また隙をみて遁走しました。警察に電話をしても、危ないから追跡をやめなさいというだけで、何もしてくれません。ナンバープレートの番号もきっちりおさえていたのですが、持ち主は車を売っただけで何も知らず、保険にも入っていなくて結局自分の保険で修理した記憶があります。ずいぶん悔しい思いをしましたが、まあ大した体の痛みも無かったですから、忙しく仕事をして忘れることにしましたけど。まあ、人生こういう時もあるのですね。まあ、人生は楽しい方がいいですから、辛いことはできるだけ心に残さない心構えが大切なんでしょうね。 当事務所では下記の期間を年末年始休業とさせていただきます。
期間中はご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。 2018年12月24日(月)、25日(火) 2018年12月28日(金)~2019年1月4日(金) 2019年1月7日(月)より通常業務となります。 11月30日、移民局は、条件付永住権を取り除くための申請について、面接を要求するかどうかの基準についてのメモを発表しました。メモの概要は、下記のとおりです。
結婚ベース永住権申請で、永住権を取得したときに、結婚2年未満の人は、条件付永住権となり、取得日より2年経過する日の90日前から、2年経過する日までの90日間の間に、条件付を取り除くための申請(I-751)をする必要があります。この申請の際、面接が要求されますが、下記の条件に当てはまる人は、面接が省かれることがあります。 -I-751申請の際に、正式な結婚を証明する十分な証明書類を提出できた場合 -永住権申請時に面接が、実際されている場合 -詐欺行為や虚偽表示がないことが明確である場合 -面接を要求するほどの複雑な問題がない場合 |
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