■Zoom陪審裁判を終えて、そして2022年の締め括り【長文注意】
皆さん、今年も法律ノートを読んでいただきありがとうございました。パンデミックに人類は打ち勝ちつつありますが、まだ不安な部分も多い2022年でした。もう一年が終わってしまうのですね。時が経つのは早いものです。週一回書いている法律ノートも1346回。単純に52週で割っても、もう25年間以上書いていることになります。皆さんに読んでいただき、質問もいただけるので、ここまで続けられてきています。本当に感謝の気持ちで一杯です。もう弁護士になって30年近くになってしまいますが、まだまだ習うことはたくさんあるな、と思っています。まだ、続けられるだけ法律ノートも続けていきたいと思っています。法律ノートを書き始めたときは、まだ原稿用紙にペンで書いていましたっけ。わら半紙のような紙を北米毎日新聞から渡されて、200字詰めで8枚でした。今でも、一回の法律ノートは1600字程度の習慣ができてしまっているようです。昔は、字数が超過すると平本編集長をはじめとする編集の人たちに、よく怒られたものでした。懐かしいです。法律ノートの配信がネット配信のみになり、ずいぶん無機質になったな、と当時は思いましたが、今ではもう慣れてしまったように思います。そして、コロナ禍もあり、今ではネットでビデオ会議するのが当たり前の世の中になりました。法律ノートももっとメディアを利用して、世に出せとか言ってくださる人もいますが、このような形で書き続けているのが私には心地がよく、なかなか変えられないものですね。読んでくださる方々に読んでいただければ良いと私は思っています。また、来年も同じようなスタイルで同じように続けていくことになるのだと思いますが、どうか、また来年も法律ノートを懲りずにご愛顧いただけると幸いです。 さて、前二回、ビデオで陪審裁判をやっていて、そのときの反対尋問のことをみなさんにご紹介しました。法曹の方々でも興味深いと思います。アメリカの裁判システムの根幹は陪審裁判にあり、市民に広く行き渡っています。ただでさえ陪審裁判というのは、なかなか聞いたことはあっても実際に体験できるものではありません。実際に私もビデオで陪審裁判をするとは思ってもいませんでした。初めての体験でした。不当解雇の訴訟でしたが、日本でもカリフォルニアでも、雇用者側が最初に土俵に乗るときから不利な形態の訴訟なので、どうなることかと思いましたが、最終的には雇用者側を代理して全面勝訴に導けました。陪審の評決を生の法廷ではなく、自分がいつも座っているオフィスの席でビデオ会議システムを通して聞くというのもはじめてでした。勝訴の評決後、すぐに昼間から事務所でシャンパンをあけて祝ったのも思い出になりそうです。気を利かせてくれた事務所の職員の人がシャンパンを買っておいてくれたのです。なんとも不思議が気分です。通常は圧倒的に不利な雇用者側を持って、和解をせずに最後まで走りきったのもなかなか綱渡りでした。難しい事件の内容についても思い出深いものになりましたが、加えて、ビデオで陪審裁判をするというのは不安がありつつも、最後はなんだか「悪くないな」という思いにもなっています。主任でやっていた私も色々大変だったのですが、私のサポートをして、訴訟を遂行してくれた若手の法曹達にとっては、それは大変で色々新しい体験にもなったのではないかと思っています。そこで、年末でもありますし、いつもの1600字程度縛りを無視して、陪審裁判を私と一緒に駆け抜けてくれた若手三人と対談形式をつかって、ビデオで行った陪審裁判について話してもらおうと思います。ぜひ、法曹の方々にも読んでフィードバックをいただけたらと思います。今回の陪審裁判に関わった若手三人は日本で司法試験に合格していてすでに日本で裁判の経験があります。一人は裁判官として、裁判員制度にも接しています。アメリカの陪審裁判を実体験した3人はどのように感じているのでしょうか。ぜひ、対談形式で法律ノートに出たいということなので、張り切ってもらいましょう。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) ■反対尋問その2
みなさんから質問をいただいて、答えなくてはならないのがこの法律ノートですが、明日、筆者が防御している陪審裁判の最終弁論(Closing Statement)が行われるので、その準備で頭が一杯で、情けないことに、他の法律の話題を考える脳みその余力がありません。ですので、興味のない方には、申し訳なく思うのですが、陪審裁判における反対尋問について、もう一度今回考えさせてください。 すでに主尋問として、何人かの証人尋問を終えましたが、やはりクライマックスは嘘の多い原告の反対尋問でした。私の所属する法律事務所には日本の資格を持っている弁護士や裁判官がいて、今回の陪審裁判に関わってくれているのですが、話を聞くと、日本では裁判の過程で、準備書面を出しながら論点を絞ってから、数十分で反対尋問をするのが普通だそうです。今回彼らは衝撃を受けていたようですが、アメリカでは、主張の全体について陪審員に説明するために今回も主尋問、反対尋問で3日かかりました(3日と言っても、コロナ中で一日中4時間の弁論に限られていましたが)。すなわち、時間の限り原告側は自分の言いたいことを一から十まで言ってくるのです。私は被告側企業側なので、原告の話をまとめていき、反撃をする準備をします。ところが、実際に原告の話を聞いていくと、元々言っていたストーリーと違うことを言い出すのです。もう、どれが本当なのだか嘘なのだか、わからないのですが準備している私にとってみたらたまったものではありません。オープニングステートメントで原告の弁護士が言っていることと、反対尋問を初めて原告本人が言っていることも違っているのです。通常、ある程度聞くことを決めて、嵌めて行くのですが、かなり厄介でした。また、原告代理人の立証もかなり杜撰だったので、逆に再主尋問で揚足を取られないように工夫しなけれななりませんでした。結局は2日間にまたがって原告の嘘を顕出できたので、最終弁論の準備も上々になったと思います。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) ■ビデオによる反対尋問
今回、キリも良いので、皆さんからいただいている質問にお答えするのを一回休ませていただき、私が弁護士人生ではじめて体験した完全ビデオ方式で行われている陪審裁判で行われた反対尋問についてみなさんと経験を共有させてください。また、私の事務所にいる若い弁護士や、研修生などがどこかで体験記などを書くのかもしれませんし、そちらのほうが客観的に尋問を見ていた可能性もありますが、私の簡単な感想をここで考えておきたいと思います。 さて、今までデポジションという裁判上の手続の一部はビデオで行ったことは何度かあるのですが、12人の陪審(さらに、今回裁判所にお願いして2人から4人に増やしていただいたバックアップの方々を含めると16人)のメンバーが全員ビデオで出廷する状況で、私もビデオで敵対証人に対して反対尋問をすることになりました。自分のオフィスの自分がいつも座っている席から反対尋問をするというのも座りが悪いのですが、一方では便利でもありました。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) ベイエリアで一晩強い風雨に晒されたら、ぐっと冷え込みました。朝は足元をすくわれそうになる霜が降りるようになりました。一ヶ月前は半袖で良かった日もあったのに不思議なものです。天気は冬ですが、ワールドカップは大変な盛り上がりでアジア勢が善戦していますね。裁判中に裁判官も話題にしているのでずいぶんアメリカでも浸透してきたのではないでしょうか。裁判官が三苫を応援しているといったのはびっくりしましたが。みなさんもスポーツ観戦楽しまれていますか。私も今週末は49ersの試合を見に行くのを楽しみにしています。
さて、前三回、「カリフォルニア州に住んでいる者です。コロナ禍のとき、同じアパートに住んでいる住人と仲良くなり(両家庭ともステイホームをしていたと思われる)、お互い家族も含めよく話すようになりました。なんでもご主人の仕事がコロナの影響でなくなったということで、借金を申し込まれ数千ドルを貸しました。その後、突然その住人は引っ越してしまい居所がわからなくなってしまいました。簡単なお金の貸し借りに関する契約書も結んでいますし、領収証などももらっています。長く放置するとお金が返ってこないということも知っています。弁護士に相談しましたが、弁護士に委任するには金額が見合わないと言われています。このような場合どのようにお金を返して貰える方法があるのでしょうか。」という質問を考えてきました。実際に少額裁判を提起する場合、どのように手続きは進行していくのでしょうか。前回考えた送達がうまく実効したことが前提です。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) |
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