当事務所では、下記の期間を休業とさせていただきます。
サンクスギビング 2019年11月27日(水)~29日(金) クリスマス、年末年始 2019年12月24日(火)~2020年1月3日(金) ※1月6日(月)より通常業務となります。 期間中はご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。 H-1B申請の拒否率が増加しているのは、先の記事でお伝えしましたが、新規だけでなく、更新申請の拒否率もだいぶ増加しています。2015年度が3%であったのが、2019年度では12%と4倍増になっています。更新申請は最初は許可を受けていて、多くの場合同じような条件で申請しますが、それを更新申請で覆されるので、移民局の方針の変更が拒否率に反映されていることになります。
訳例:履行期限の遵守
Time is of the Essenceについて、様々な訳語があるが、多くの場合、過度に直訳的で本条項の意味を反映できてないと感じる。本条項の意味を考えれば、Time is of the Essence(Time of the Essenceと表記される場合もある)は「履行期限の遵守」と訳すのが妥当である。本条項は英米法の歴史に由来するものであるため、その意義について「コモン・ローにおいては」などと抽象的に説明する解説が散見される。しかし、そのような解説は、学術的にはともかく、実務的には適切とは言い難い。実務家が最初に当たるべきものは条文と判例であり、抽象的法理論や歴史的経緯ではない。このことは、日本でもアメリカでも同じである。適用法令がカリフォルニア州法であれば、同州の制定法に当たる必要がある。 さて、カリフォルニア州民法1492条は、以下の通り規定する。 COMPENSATION AFTER DELAY IN PERFORMANCE. Where delay in performance is capable of exact and entire compensation, and time has not been expressly declared to be of the essence of the obligation, an offer of performance, accompanied with an offer of such compensation, may be made at any time after it is due, but without prejudice to any rights acquired by the creditor, or by any other person, in the meantime. (筆者による下線強調) この条文は、契約書に「Time is of essence」などと書かれていなければ、履行期限の後であっても(他者の権利を害さない限り)履行することができる旨を定めたものである。その結果、履行を遅滞したとしても、それだけでは解除事由とはならない (Katemis v. Westerlind (1956) 142 Cal.App.2d 799 .)。(但し、履行の遅滞について損害賠償請求ができるかは別問題である。) そこで、履行期限の遅滞を許さず、解除事由としたい場合には、契約書に期限(time)が重要である(of the essence)ことを明記しておかなければならい。商取引の契約で英米法系の国(州)の法を適用法令とする場合、特に、履行遅滞が大きな不利益となる側(例えば、イベントで販売する飲食物などの納期通りに届かなければ無駄になる商品の買主)は、この条項は契約書に入れておく方が良いであろう。もっとも、当然のことながら、契約書に書き入れる前に、想定される適用法令では、本条項に関して、どのような制定法や判例があるのかを確認しておかなければならない。例えば、同時履行が要求される契約について本条項を挿入すると、本条項の適用により双方の履行義務が免除されてしまい、履行が利益となる側が逆に損をする場合も存在する(Pittman v. Canham (1992) 2 Cal.App.4th 556.)。 訳例:契約期間の終了/解除 (文脈による)
契約の終了も解除も契約関係が解消されるので、英文契約では総称的にTerminationという単語を使う。日本語の解説で、どちらか一方の意味だけ紹介しているものを鵜呑みにすると、いざ契約書を読む段階になって混乱してしまう。契約上の期限の満了などで契約がTerminationされるのが「終了」であり、債務不履行などを理由として(通常、期限より早く)契約がTerminationされるのが「解除」である。 Termination条項は、「終了」の意味であれば、通常簡潔に記載される。その場合に 重要なのは、事後処理の規定である。契約の終了時に残った未履行の債権債務をどうするのか、お互いに開示した機密情報などをどうするのかなど、契約上の具体的な条項と、契約の解釈に関する適用法令(民法、商法など)を検討しておくことが重要である。 Termination条項で「解除」を規定する場合は、上記の点に加えて、解除の事由についても具体的に考えておくことが重要となる。一般に、契約が継続することで利益を得る立場であれば、解除について制限的に規定することが望ましく、逆の立場であれば、なるべく網羅的に規定することが望ましい。 なお、雇用契約では、Terminationが「解雇」を意味することがあるが、「解雇」については特別法としての労働関係の法令を確認しなければならない。その他にも、消費者が絡んだ契約など、特別法が一方的な内容のTermination条項からの保護を与えている場合も少なくないので、注意が必要である。 また、日本法の解除に「法定解除」、「約定解除」、「解約告知」等の講学上の分類があるように、アメリカ法のTerminationも、Cancellation(概ね「法定解除」に相当)、Termination(概ね「約定解除」に相当)、Rescission(概ね「取消」に相当)に分類することができる。ただし、これらの用語が厳密に使い分けられていない点も日本と同様であり、適用法令と条項の中身の正確な理解が必要である。 訳例: 契約条項/契約の履行期間(いずれの意味かは文脈による)
英語のTermは多義的な言葉なので日本語にすると複数の訳例が考えられるが、契約書に出てくるのは主に2つである。 1つ目の意味は、「条項」である。契約書には「Terms and Conditions」というフレーズがよく出てくるが、これは「(以下の)条項と条件(に基づいて)」という意味である。このときのTermsは契約書の諸条項を抽象的に指す単語である。 2つ目の意味は、「期間」である。契約の有効期間や契約上の義務の履行の期間などに使われる事が多い。継続的契約において、契約の始期と終期を定める条項は必須条項の一つであり、実務家にとって最重要な規定の一つである。 期間の定め方としては、「○年○月○日から○年○月○日」と明記するのが一番わかり易い。「○○という条件が成就してから○年」という書き方も多いが、条件の成就の有無・時期が争われるなどして、紛争の原因になり得る。不特定多数を相手にする定型約款のように作成時に具体的な日付を記載できない場合も多いであろうが、一般的には、「○年○月○日から○年」という書きぶりの方が紛争のリスクが低く、望ましい。 同様に、「両当事者の署名がなされた日から○年」という契約書も潜在的なリスクがある。例えば、遠隔者間の契約も有効であり、現代では、昔のように顔を突き合わせて契約をその場で署名することはむしろ少なくなってきている。その場合、各当事者が別々に署名欄にサインして、お互いに署名した原本を郵送したりするなどして、契約の締結が図られる。このとき、各当事者が違った日に署名した場合、契約書にその場合への手当がないと、「両当事者の署名がなされた日」(=契約の履行始期)が不明確になる。 さて、期間が、○年とか、○日などと、日数や年数で設定されている場合、どのように期間を計算するのか。契約のドラフトの際は、適用法令を踏まえて理解しておかなければならない。期間(特に履行期間)の計算方法まで契約書で定める例は多くないため、通常は適用法令に従って計算する必要がある。 期間の計算方法について、カリフォルニア州法(民法10条)は、「The time in which any act provided by law is to be done is computed by excluding the first day and including the last, unless the last day is a holiday, and then it is also excluded.」と定めている。つまり、(1)初日は不算入、(2)最終日は算入、(3)最終日が祝休日であれば祝休日は不算入とされている。なお、ここに言う祝休日(holiday)は日曜日及びカリフォルニア州法が指定する日(いわゆる祝日)であり(Cal Civ Code § 7)、土曜日は含まれない(Gans v. Smull (2003) 111 Cal.App.4th 98.)。カリフォルニア州法を適用法令とした場合、契約上の期間は原則この基準によって計算される。 あまり注意を払わないことが多いかもしれないが、紛争等を想定すると、ここまで理解した上で、契約書の期間に関する条項を確認しなければならない。 H-1Bビザ申請の拒否率が大幅に増加していることは以前お伝えしましたが、Computer Systems Analystのようなポジションでも、許可をとるのが簡単ではない状況になっています。新規の申請だけでなく、同じ会社から同じポジションで更新の申請をする場合でも許可をとるのは楽観できない状況になっています。
訳例:有効期間延長条項
契約書を締結する際には、通常その契約自体の有効期限が設定されているが、その他にも、契約に定める期間が過ぎても、効力を延長したい条項がある場合がある。一回限りの動産売買などの単純な契約であれば、敢えて、特定の条項を延長する必要性が高くない場合が多いが、例えば、表明保証、免責、支払、適用法令、裁判管轄、または、秘密保持などに関する条項は、主たる契約内容が実現した後(もしくは失敗が確定した後)も、効力を延長する必要性が高い場合が多い。このことから、Survival Clauseによって、それらの有効期限を明記する必要性が出てくる。 一見するとこれらの条項の継続性は自明に思えるため、Survival Clauseというのは、契約書のドラフトでなんとなく入れる慣習的なものと誤解されがちである。しかし、実際には、以下に述べる通り、この条項の解釈を巡って紛争となる場合がある。適用法令をよく理解して各契約に則した記載としなければならない。筆者は、契約書をレビューする際、Survival Clauseを見るとドラフトをした人の力量がある程度把握できるとすら思っている。 例えば、Survival Clauseというのは、訴訟法上(または実体法上)の出訴期間(statute of limitation)(日本の時効と似ているが、同じではない。)と密接に関わっている。さて、カリフォルニア州上、書面契約上の債権の出訴期限は4年である(Cal. Code Civ. Proc. §337)。契約書上に「表明保証の期間は契約の履行が終わったときから1年」という条項があったとき、出訴期間との関係はどうなるであろうか。 このような条項が問題となったWestern Filter Corp. v. Argan, Inc事件では、一方当事者は、表明保証の違反について、1年の期間内に相手方当事者に通知はしたものの、裁判は提起していなかった。そこで、相手方は、Survival Clauseは出訴期間を短縮するものであり、1年の間に訴訟が提起されていない本件では、訴訟を提起できないとして争った。これに対して、裁判所は、契約書のSurvival Clauseが出訴期間に言及していないため、Survival Clauseの期間は出訴期間を示しておらず、表明保証違反の事実がは1年以内に発生すれば、請求は認められるとした(Western Filter Corp. v. Argan, Inc. (9th Cir. 2008) 540 F.3d 947.)。この裁判例から読み取れるように、Survival Clauseをドラフトするときには、出訴期間等の関連法令も検討することが望ましく、もし出訴期間の制限も意図するのであれば、Survival Clauseにその旨を明記しなければならない。 |
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