訳例:契約の一部無効
Severabilityの項目について、「分離」などと訳す訳文をよく見かける。しかし、この条項の内容の本意は、「違法などの理由により、契約の一部が無効または履行ができないとされた場合でも、残余の契約内容は依然として有効である」というものである。契約の一部無効の場合のシナリオを言っているのであり、「(有効部分の)分離」という直訳的表現より、「契約の一部無効(の場合についての対応)」という意訳の方が、条項の内容を表す日本語として自然であろう。 例えば、カリフォルニア州民法1670.5条は、 不当契約(Unconscionable contract)について、裁判所がある条項が不当と判断したときは、裁判所は、契約(全体)の執行を拒否するか、不当条項を除いた契約を執行するか、不当条項の適用を制限できる、としている。このように、ある条項(契約の一部)が無効となる場合、その他の条項も含めて契約全体が無効となると主張される可能性がある。そのような場合に備えて創造されたのが、本条項(Severability)である。 仮に契約の一部が無効となったとして、最初に触れたように、「残余は有効である」としておけば契約全体の有効性を確保するのには十分に思われる。(さらに言えば、カリフォルニア州法1558条―1559条は、「契約の唯一の目的そのものが違法な場合は全体が無効だが、契約に合法な目的もある場合は残余は有効」という解釈基準を置いている。)しかし、実際の訴訟を想定すると、これだけでは実は足りない。契約の一部が無効になった場合に、その無効部分について、どのように解釈するかがを決まっていないからである。すなわち、無効部分に関しては一般法(契約書で定める適用法令など)の一般条項に頼るのか、それとも、お互いがもともと意図した内容を成就するための交渉をして、再度有効な条文をつくるのか(その交渉が決裂した場合には、どうするのか)などのシナリオを想定し、それに合わせた内容にしておくことが望ましい。 Comments are closed.
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