■読者からの最期の手紙
梅や桜が花をつけはじめたと思ったら、今週末になってベイエリアは信じられないくらい冷え込んでいます。またダウンジャケットを引っ張り出して厚着しないとならないです。かなり低い標高まで雪が降っていて、今まで体験したことがないほど雪が近くに迫っています。週末、天気が悪いので、このところ急ピッチで進めている、古い事件の電子化、すなわち紙のスキャンをやっていました。今回は皆さんからの質問にお答えするのを一回休ませていただき週末思ったことを書かせてください。 今週末、市内の倉庫一つ分ある書類をすべて電子化する作業がやっと終わりました。どこにいても過去の事件を参照できますし、若手の弁護士らにも事例の参照がしやすくなります。外注すればいいじゃないか、と言われたこともあります。しかし機密情報がほとんどで外部に書類を出すことは躊躇されます。法律事務所のなかには、平気で書類を外部に出して電子化しているところもあるようですが、私には理解できません。時間がかかっても、クライアントの方から託していただいた事件ですので、一件ずつ、事務所内で手分けして大きな倉庫一つ分の電子化を行いました。まだ、倉庫がもう一つあるので作業は続きそうですが一区切りつきました。私自身も週末などを使って、かなりスキャンしました。ファイルを手にすると10年前、20年前の事件でも、まだ事件をやっているかのように思い出すものです。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) はじめまして。サンフランシスコの法律事務所Marshall Suzuki Law Group, LLP、移民チームリーダーの伊藤と申します。
2月1日より当事務所の弁護士、戸木と共にこのMSLGオンラインマガジンを始めさせていただくことになりました。移民・入国管理に関する内容を中心にアメリカ生活のお役立ち情報を発信していきたいと思っています。私は大のスポーツ好きですので、それに絡めたお話もしたいと思っています。お客様とも、スポーツの話を色々できればいいなと思っております。今後ともお付き合いいただけましたら幸いです。また、移民法については、毎日色々な疑問が当事務所に寄せられますが、トピックによっては、皆さんとシェアしたほうが良いものもあります。皆様からコラムにコメントをいただけましたら、出来る限りお応えしたいと思います。 簡単に自己紹介をさせてください。1998年に留学という形で渡米して以来、気が付けばアメリカ生活の方が日本の生活より長くなってしまいましたが、その殆どをサンフランシスコベイエリアで過ごしています。その間、F-1(学生)ビザ、OPT(プラクティカルトレーニング)、H-1B(就労)ビザ、E-2(投資家)ビザ挑戦…etc.の紆余曲折を経て、グリーンカード(永住権)を取得しました。また会社としてサポートする側でも、Mビザ、Jビザ、Qビザなど多岐にわたって関わってきました。このような自分の経験から、ビザや永住権にはとても深く関わっていたのです。当事務所には戸木から1か月遅れの2021年9月に移民チームに入り、今年2023年1月よりチームリーダーを拝命いたしました。ですが元々、私自身が移民業務のクライアントとして2009年から当事務所でお世話になっていました。自分のことで苦労して、時間も掛かったので、このマガジンに興味を持って下さる皆さんのお気持ちに寄り添えるのではないかと思います。これからどうぞ宜しくお願い致します。 今回、まず初回ということで、アメリカにおけるビザの種類についての豆知識をお話したいと思います。ビザの種類にはアルファベットが沢山出てきます。Hが就労、Eが投資家などは一般的にもよく知られていると思います。ですが皆さんはどのようにしてアルファベットが割り振られているかをご存じでしょうか?知っている方はあまりいないのではないかと思います。私も当事務所で働き始めるまで知りませんでした。それどころかHが就労、Eが投資家という表現自体が厳密には正しくありません。 ビザの種類というのは、Aから始まってアルファベット順にB、C、D、….、Vまであります。 そしてそれらは全て合衆国法典(United States Code)という公式法令集に載っている順番に従ったものなのです。 アルファベットの「A」は外交官、外国政府関係者です。なるほど、AmbassadorのAと考えると覚え易いですね。 「R」は宗教活動家。Religiousな活動だからRなのですね。それ以外にも例えば「T」はVictims of Trafficking、人身売買被害者です。Human TraffickingのTなのだなと思えるでしょう。以上のように、ある程度の法則的なものは存在するように思います。 しかし全てが連想できるアルファベットではありません。私は、さきほどEビザが投資家であると書きました。起業家や事業主を意味するEntrepreneurからEになったのだと、以前は本当に思い込んでいたのです。ですが実際には「E」は貿易・投資駐在員で、ご存じの方もいらっしゃるでしょうがE-1は貿易駐在員、よく聞くE-2は投資駐在員を指します。当事務所でも取り扱いが一番多いこのEビザについては、別の回で詳しく考えていきたいと思います。 同じように、学生ビザと一口に言ってもFだけでなくM、そしてJも該当します。 「J」は一般的に研修やインターンシップ用と呼ばれたりもしますが、交流訪問者です。教授、学者、講師などのカテゴリーの他に、オペア(Au pair)と呼ばれるチャイルドケアも含まれます。交流訪問者にもJ以外にQといって国際文化交流という枠もあります。 多岐に渡る交流訪問者ビザが存在するのです。ビザには本当に様々あって、種類も数えきれないほどあるということです。NATO、 北大西洋条約機構の職員用にはNATO visaというのまであります。 今回の最後になりますが、ビザには大きく分けて2種類、移民ビザ(Immigrant visa)と非移民ビザ(Nonimmigrant visa)があります。今回お話したのは非移民ビザについてです。次回はもう1つの移民ビザについてお話したいと思います。 さて、先週末の12日はアメリカ最大のスポーツイベント、スーパーボウルでした。皆さんご覧になりましたか?私は友人宅で楽しく観戦しました。ド派手なハーフタイムショー、1本うん億円と言われるCMなども毎年注目を集めますよね。ただ、あれはフットボールのBall(球)ではなく、Bowl(鉢、椀)だから「ボウル」なのです。スーパーボールだとロングバケーションの方になってしまいます。因みに英語ではBouncy Ball(弾むボール)という呼び名が一般的です。 久しぶりにロンバケが観たくなりました。瀬名君はO-1Bビザでボストンに渡ったのかな?などと考えてしまうのは私だけでしょうか。それでは次回も宜しくお願い致します。 日本の上場企業会長に同行して出張をしていました。昭和から駆け抜けて今年88歳。力強いゴルフもされるし、ビジネスセンスもキレキレです。経験を積み信念を持ち、そしてその信念に基づいて実行できるという姿から色々習うことがあり近くにいて私は幸せに思いました。皆さんは日々刺激を受けていらっしゃいますか。
さて、今回からまた新しくいただいている質問を考えていきましょう。いただいた質問をまとめると「ニューヨーク州在住の者です。ラスベガスを経由してベイエリアに家族と遊びに行ったときに交通事故に巻き込まれました。現地の友人の勧めで紹介された弁護士に委任をして損害賠償請求を相手方に請求しています。すでに事件は和解に向かっているのですが、私の友人は和解金額が低いということを言い、他の弁護士にも相談したほうが良いと言っています。私としては、現状和解しても良いのかと思っていますが、何か基準となる考えがないかと思っています。」という質問です。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) 怪しい気球がアメリカに飛来して撃墜したというニュースがありました。日本でも宮城で同様の飛行物体が確認されたそうですが、放置したということで意味がわかりません。スパイ気球が某国から飛ばされて、サテライトで確認する程度の情報しか得られないということですが、気持ち悪いですよね。アメリカは断固とした処断をしていますが、日本は何もできないのでしょうか。日本という国は、日本国の意向ということを戦後示せなくなっているのでしょうかね。もう少し強い日本の意思を示しても良いときに来ているのではないでしょうか。
さて、「ベイエリアの不動産が高騰していているのですが、友人からCooperativeという形で不動産の所有者になってメリットが大きいと聞きました。普通に家やマンションを買うときに比べて、このCooperativeという形態にどのようなメリットがあるのか、わかりません。」という質問を続けて考えていきましょう。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。) 皆様はじめまして。Marshall Suzuki Law Groupの戸木と申します。
カリフォルニア・ベイエリアでは年末から豪雨に見舞われていましたが、1月中旬からは晴れ間が出てきて、気温もかなり暖かくなってきました。久々に快晴になった初日は、ちょうど阪神タイガースの藤浪選手がベイエリアに本拠地を置くオークランド・アスレチックスへの入団会見を行なっていましたね。私自身、神戸育ち・阪神が日本一になった1985年生ということで、根っからのトラ党で、同じエリアの大谷選手との直接対決が見られる可能性が高いので、今からワクワクしています。 さて、当事務所の代表である鈴木が、25年以上に渡って「法律ノート」と題して一般的な法律相談にマガジン形式で回答しているのは、皆さんもご存知かも知れません。それに啓発された私と、今年1月から新たに移民チームのリーダーを拝命した伊藤とで、法律その他のお役立ち情報を発信してみたいと思い立ち、このマガジンを始めさせていただきました。 是非、我々のマガジンをお読みいただいた感想等をいただけますと、幸甚です。 遅くなりましたが、簡単に自己紹介をさせてください。私は、2012年に日本で弁護士登録をして日本の法律事務所で執務した後、2020年8月から米国のロースクールに留学し、その後2021年8月から当事務所でインターン生として執務を始め、2022年5月にカリフォルニア州で弁護士登録が済んでからは本格的にカリフォルニア州弁護士として参画しております。何卒、よろしくお願いいたします。 今回は、カリフォルニアでビジネスをされている方が興味を持たれるであろう、カリフォルニアの個人情報規制「CCPA」について、概要をまとめてみたいと思います。 まず、CCPAとは、2018年に制定されたCalifornia Consumer Privacy Actという法律(Civil Code § 1798.100〜1798.199.100)で、日本でいうところの個人情報保護法です。カリフォルニア州の住民に対して様々な権利を与える法律なので、カリフォルニア州に住む顧客がいらっしゃる事業者の方は注意する必要があります。ヨーロッパで制定されて世界を騒がし続けているGDPRは、EUの市民が権利を有するとされていますね。 CCPAが制定されたこと自体が騒がれましたが、最近は、CPRAによって規制が強化されることで、また話題になっています。CPRAは、2020年に議会承認を得て2023年1月から施行されたCalifornia Privacy Rights Actという新法で、CCPAを改正する法律です。CPRAでは、CCPAの対象となる事業者の範囲を調整したり、新たな権利を創立したり既存権利を修正したりしています。CCPAとは別の名前が付けられていますが、結局はCCPAの改正に過ぎませんので、これからも注視すべきなのはCCPAということになります。 では、内容の概要に入っていきましょう。(概要をまとめているものに過ぎませんので、正確な要件や適用については個別に弁護士にご相談ください。) まず、個人情報(Personal Information)とは何でしょうか。CCPAでは、「直接か間接かを問わず、特定の顧客又は世帯を(と)、識別し、関連し、叙述し、合理的に関連付けられ得る、又は合理的に紐付けられ得る情報を指す。」とされています(Civil Code § 1798.140(v)(1))。ただし、「公に利用可能な情報や、適法に入手された、公共の関心事項である真実の情報については、規制対象からは除外する。」とされています(同(2))。なお、この中の「顧客」の定義として、「カリフォルニアの住民」であることが定められています(Civil Code § 1798.140(i))。 日本では特定の個人を識別することができる情報とされているので、CCPAの対象はかなり広くなっています。 CPRAでは、個人情報の類型として、センシティブ個人情報(Sensitive Personal Information)という類型が新たに創設されました(Civil Code § 1798.140(ae))。センシティブ個人情報には、ソーシャルセキュリティ、運転免許及びパスポートの番号、ログイン、クレジットカード及びパスワード等の情報、位置情報、人種、出自及び宗教、郵便、Eメール及びテキストメッセージの内容、並びに遺伝子情報等が含まれます。 CCPAを考える上で最も重要なのは、どのような事業者が規制を受けるのかという点です。CCPAの規制対象となる事業者は、以下のとおりとされています(Civil Code § 1798.140(d)(1))。 ① 当年1月1日時点で、年間売上が$25,000,000を超えている事業者 ② 1年間に100,000以上のカリフォルニア州の住民又は世帯の個人情報を購入し、販売し、又は共有している事業者(従前は50,000以上とされていたのが100,000以上とされました。中小企業というより大企業向けの規制であるという趣旨が読み取れます。) ③ 顧客の個人情報の販売又は共有によって50%以上の利益を得ている事業者(CPRAによって「共有」している事業者も対象に含まれました。) そもそも上記に含まれなければ、CCPAの要件を遵守する義務は生じないということになります。 では、CCPAの適用と受けるとしたら、具体的にどのような義務が生じるのでしょうか。CCPAでは、カリフォルニア州の住民に対して以下のような権利を与えているので、これらの権利を実現するために必要な対応をとらなければなりません。 ① 知る権利(取得する個人情報、取得源、利用目的、個人情報を開示する第三者の種類、第三者に売却又は共有する個人情報の種類、等)(Civil Code § 1798.100, 110, 115) ② 個人情報を削除する権利 (Civil Code § 1798.105) ③ 個人情報の売却や共有からオプトアウトする権利(Civil Code § 1798.120) ④ 不正確な個人情報を修正する権利(CPRAで創設された権利です。)(Civil Code § 1798.106) ⑤ センシティブ情報の利用又は開示を制限する権利(これもCPRAで創設された権利です。)(Civil Code 1798.121) また、事業者には、顧客が上記の権利を行使したことによって差別してはならない義務(Civil Code § 1798.125)や、顧客が各権利を有していることを開示したりプライバシーポリシーを用意したりする義務(Civil Code § 1798.130(a)(1), (5))等が課せられています。 事業者がCCPAに違反した場合には、1件につき$2,500(故意の場合は$7,500)の行政罰(Civil Code § 1798.155)や、差止め及び民事違約罰(Civil Code § 1798.199.90)を課される可能性がありますので、くれぐれもご注意ください。 以上、マガジンの第一弾として、CCPAの概要をご紹介させていただきました。これからも、伊藤と私とで、月に約2回の程度の頻度で、お役に立ちそうな情報をお送りできればと思いますので、お付き合いいただけましたら幸いです。 日本全体的に大寒波がやってきていたそうですが、まだまだ寒い日は続きそうですね。こちらはコロナに限らず風邪が流行っています。くれぐれも皆さまご自愛ください。 今後ともよろしくお願いいたします。 |
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