2018年10月1日より、地方移民局での市民権申請面接の、英語テスト(読み、書き)について、新規にタブレットの利用を始めたことを移民局は発表しました。しかし、ケースバイケースで引き続き、紙ベースのテストも行われる可能性もあります。なお、質問の内容については、従来と変化ありません。なお、公民テスト関しては、従前どおり、口頭でのやり取りになります。
本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。
==== 日本と違いアメリカでは「法曹一元」ということは常識です。職業裁判官という言葉がアメリカでは存在しないのですから、法曹一元という言葉も存在しません。アメリカでは弁護士としての経験を積み、在野法曹としての経験を積みはじめて裁判官になることができます。法曹でなくてもいろいろ仕事を変える国民性があるアメリカですが、この法曹一元化というか、弁護士の経験がなくては裁判官はやるべきではないいうポリシーは法律の風通しを良くしていると思います。故ジョン・マーシャルアメリカ元最高裁判事も元は黒人解放のために自分の家まで焼かれてしまった弁護士でした。 わたしも一介の在野法曹ですが、今年の4月にサンフランシスコ上級裁判所から任命され、パートタイムの裁判官になりました。裁判官としての経験は貴重ですし、非常に刺激になり面白いです。わたしは裁判官としては新米なので、主に賃貸借関連の和解期日を担当しています。サンフランシスコは全米でも有名な賃貸借の判例がでているところで、伝統的に賃借人に非常に有利な法律も多く制定されています。ところが、インターネット・バブルの影響で法律も変わってきたりして争いの多い分野でもあります。 裁判官に任命されるまでは、ボランティアでよく立ち退きをされている賃借人を弁護していました。体が不自由な人、人種差別をされている人、いろいろな人がいました。弁護士をやってきた経験というものは、裁判官になっても生きてきます。 わたしの裁判官としての役目は陪審裁判ぎりぎりになっている事件が和解できないものか時間をとって模索する役目です。事件は様々ですが、両方の法的主張を聞いたり、諭したりしながら事件を解決しています。しかし、時には解決策もまったく見えない事件もあがってきます。 わたしがほとんど口を出せなかったのがいわゆる「ワン・ストライク法」にかかわる事件でした。 ワンストライク法というと馴染みがない法律ですが、アメリカではコミュニテ毎に条例として制定されている法律です。サンフランシスコでは、公的な補助を受けて経営されている賃貸住宅においては、賃借されている物件で麻薬が使用された場合には、その賃借人は理由の有無を問わず一回の出来事だけで立ち退きの対象になるという法律です。麻薬に対する心構えということでは非常に有用ですが、賃借人のコントロールの範囲外の問題で立ち退きを請求されうる可能性もあります。 訳例:賄賂排斥
Bribery(賄賂)に絡む罪というのは、公務員のインチキを許さず、国家の公務を信頼できるようにするために各国家がつくるものである。政治のシステムも公務員もそれなりにしっかりしている国であれば、賄賂罪もしっかり適用されるのであろう。しかし、政治も公務員もしっかりしていない国もたくさんあるので、契約書で縛ってみても結局意味がないことも少なくない。ちなみに、収賄(利益をもらう側)に関しては「公務員」のみが縛られるというのは、世界共通の考え方である。 ところで、米国では、税金の控除も受けつつ堂々と「寄付金」としてお金を出す場合が多く、お金を出すことは名誉だという風潮があるからか、米国で通常使う契約書に(コソコソ利益を渡したり受け取ったりする)賄賂のことが書いてあることはレアである。書いてあるのは、アジア各国の契約書の場合が多い。 このように、賄賂条項が入ってくるのは主に日本を含むアジア各国が関わる契約書だが、賄賂だけではなくもう少し広い範囲を表現するCorruptionという単語を使うことが多い。公務員の腐敗にも色々な種類があるのだ。ただし、繰り返しとなるが、実務上、契約条項の有無それ自体よりも、その契約に関与する国がどれだけ公務員の腐敗抑制に真剣なのか、法律がちゃんと執行されているのかザル法なのか、といったファクターの方が重要である。 本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。
==== 今回はプライバシーとインターネットにかかわる問題を皆さんと一緒に考えていきましょう。 職場での電子メールとインターネットの使用に関してです。まず、現在、日本やアメリカではどこの職場でもコンピュータを介してインターネットを使っていると思います。インターネットは現在主要なコミュニケーション手段ですから、職場でインターネットを使うといっても、私用のものも混ざってしまう可能性がありますね。また、インターネットを使うと様々な情報が得られますから、就業中に職場で仕事とは関係ない情報を閲覧できるという状況も充分考えられる訳です。 この電子メールを含めたインターネットの職場での使用に関しては、まだ雇用する側でもちゃんと対応していないケースも多く存在し、場合によってはプライバシーの侵害といった問題も浮上する場合があります。今回、雇用主の立場に立って、インターネットの使用に関して、どのように事前の対処を会社側としては行っておくべきなのか、考えて行きましょう。 まず、インターネットの使用に関してですが、雇用者はどのようなサイトを被用者が就業中に見ているのか、モニターすることは何ら違法行為ではありません。ですので、一定のサイトにだけ接続できるように設定したり、一定のサイトに接続できないように設定するなど、職場のコンピュータをコントロールするところも増えてきています。 また、どのようなサイトを被用者が訪れたか、チェックすることも何ら違法ではなく、最近では、雇用主の為に被用者のインターネットの使用を監視するコンピュータソフトウェアプログラムも売られるようになりました。 このように、インターネットにおける情報へのアクセスに関しては、雇用者の監視は幅広く許されていますので、電子メールの内容についても、仕事に関する限り雇用者は監視をすることができます。しかし、電子メールについては、ただ情報を得るインターネット使用と違い、プライベートな内容をやりとりするという一面があるため、雇用者によっては被用者個人のプライバシーにかなり気を配っている会社もあります。しかし、基本的には雇用者側は被用者が職場で使っている電子メールの内容を読むことを許されていますので、被用者としてもプライベートと仕事をわける配慮が必要かもしれませんね。 以上のように、会社側、雇用者側は、職場においてはインターネットの情報や電子メールを監視することが基本的には許されている訳ですが、絶対的に個人使用を禁止するというのは、どうしても無理があるように思います。あまりにも画一的に「絶対禁止」などということをすると、被用者側だって嫌になってしまいますよね。そういう意味では、会社である程度の規則をつくるのが現状ではベストではないかと思います。 多くの会社では、インターネットの閲覧に関して時間制限を設けたり、違法性の高いサイト、たとえば猥褻なものや、賭博に関するサイトの閲覧を禁止したりしています。また、会社のメールアドレスを個人使用する場合には、private(私用)と表示するよう義務づけたりしています。最初から、就業規則にインターネット使用に関する内容を盛り込んでおけば、被用者側としても、「やってもよい程度」というのがわかり、両者にとって利益となるのです。ある意味、インターネットに関する規制を会社側がどの程度行うか、ということに関しては電話の場合と同じように考えれば良いと思います。 何十分も電話で私用のおしゃべりをしていることはよくないですが、家族や友人との簡単な会話まで制限するのは大人げないですよね。そういう意味では合理的な就業規則を最初からつくっておくということが、大切なのです。 移民局は、10月16日より、結婚ベース条件付永住権の条件を取り除くための申請(I-751)において、以前とは違う新規の内容の受領書を申請者に発行することを開始しました。以前のI-751受領書は、今後12ヶ月間条件付永住権を延長するものという内容でした。10月16日よりは、今後18ヶ月間条件付永住権を延長するという形になりました。 これは、審査の待ち時間の長くなっている方のためのものです
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==== アメリカでは従来から銀行が一般の人から得た預金をもとに、各会社の株を取得するという日本的な方式はとられておらず、会社が直接個人出資家、機関投資家から出資を得、その出資を元にビジネスを展開するというパターンが一般化しています。証券取引の場所は与えるが、投資に関しては個人が責任を持つという原則が貫かれています。近年、日本の企業もアメリカの企業や企業の持つ技術に関心を寄せ、投資を行うという例には暇がありません。しかし、アメリカ型の投資形態に常に日本の文化が適応できるか、といえば難しい側面があります。決してアメリカ型が優秀で、さらにアメリカ型投資機構が他の国より優れているかというと、賛否両論があるのではないでしょうか。法律や会計に関しての問題ももちろんありますが、そもそも日本企業がアメリカ企業に投資する上で、考えて置かなくてはいけない心構えというのが存在するように思います。経験上、私が扱っている企業案件にも多くの投資案件がありますが、各日本企業内での判断に関して、様々な問題点があることを知ってきました。その一つを今回のコラムにしてみたいと思います。 まず、日本の企業がアメリカ企業に投資を行うに際しての態度として、「投資」ということを理解していないケースが多々あるということです。「投資」とつく本や専門書はたくさんありますが、投資を金銭の貸与と考えている企業が多いということです。これは文化的な側面だと思います。アメリカでは10代から、投資をしてお金を稼ぐということを実際の経験を通して学びますし、株に投資をするということは「お気軽」感が強い環境で育ってきています。植民地を持ち、その植民地を自国の繁栄に割り当てるという英米系の考え方なのかもしれません。日本や他の外国では、このような投資という考え方は強くなく、やはりビジネスを自分で実際に行い、やることをやって利益をあげるという形が一般的でした。「投資」というと、自分が始めるビジネスに対してお金を使うというイメージが強かったのだと思います。しかし、日本人が感じる「投資」というコンセプトとアメリカで、実際に感じる投資とは、隔たりがあります。アメリカでは、純粋に自分の持っているお金を増やすということに意義があると考えるからです。業績重視、どの程度のリターンがあるか、ということが重要なのです。 ところが日本企業にはそのように、お金だけを儲けるだけのために投資をするというコンセプトは少なく、付加価値を求めます。たとえば、自社の商品を世界に広めるとか、業績をあげるとか、純粋にお金を儲けたいとおもう気持ちにプラスアルファがあるのです。私は日本企業を代理していて、歯がゆく思うのが、日本企業は純粋にお金を儲けたい、と思う方向と、自分の持っているビジネスを拡大したい、という思いをミックスしているということです。ですので、アメリカ企業と交渉を行う際に、時間が長引いたり、意思のすれ違いが生じたりするのです。「投資」とは、お金を儲けるためのいわばギャンブルですから、確実に安定して事業をのばすと言うコンセプトと合致することもあれば、まったく逆の要素になることも考えられるのです。端的に言えば、金銭を与える見返りは金銭だけだと割り切ることも必要で、その他の付加価値については別途の協議がなければ、他の投資元とも差がついてしまいます。ですので、「お金を出す」ということは、「投資」なのか、それ以外の利益を求めるものなのか、社内でちゃんと目的を確かに持つ必要性があるだと思います。 次に、日本の企業が必要なのは、社内での判断能力の一本化ということだと思います。組織が大きくなると特に判断能力については、担当をしている人の能力にかかってきてしまう部分が大きくなり、時間などに制限のある投資は難しい部分があります。私は、判断が一本化できない根元には上で考えた「投資」の目的につき一人一人が違う考え方を持ってしまっていると思います。アメリカの企業を相手に投資をするのであれば、「お金を儲けたい」、「事業協力したい」といった考え方をはっきりさせなくては、やっていくのは大変かもしれません。また、実際に投資の交渉が始まっている段階で、社内的にどの程度の金額で、どの程度の権利を得たいということを決めておくことも大事です。ほとんどの日本企業は、その辺が決めていない段階から打診をしてしまうので、納得がいかない投資になってしまう場合が多いのだと思います。 頼れる弁護士や会計士などは、二次的な問題だと思います。御輿がちゃんとしてなくては、裏方さんは担げませんからね。社内での「投資」に対する心構えというのが、アメリカでも成功する基礎となるのは間違いありません。 訳例:改定
Amendmentについては、アメリカ憲法のAmendmentを日本語で表現するときに「修正」というのが一般的である。しかし、修正には「不備などを正す」という意味があるので、この単語の使用にはやや疑問が残る。契約条項などについては、契約の内容を改めて定めることになるので、「改定」と訳すのが妥当だろう。 Amendmentというのは、実は契約書でルースに使われる(条文等で、はっきりした定義がされていない)単語であり、似たような言葉にAddendumがある。Addendumもルースな使われ方をしているが、契約書の「附則」という意味である。Amendmentは「改定」を意味するので、附則をも包含するニュアンスがあるが、Addendumの方は特に契約書に何かを付け加える場合に用いられる。 ところで、(カリフォルニア州の)法律では、契約の改定というときにModificationという単語を使用している。例えば、カリフォルニア州民法1698条(a)項には、「書面による契約書は書面によりModifyすることができる」と規定されている。したがって、法律用語としては、Modificationが一番妥当な単語である。それゆえ、英文契約書においてAmendmentではなく、ModificationまたはModifyという単語を使用しているものを見ると、それなりのプロが確認しているとの印象を受ける。 訳例:弁護士費用
弁護士費用(attorney fees)と訴訟費用(Litigation costs)は別物である。弁護士費用は弁護士の実働の対価であり、訴訟費用は、訴訟を遂行するに費やした実費と考えておけば良い。 なぜ、契約書には、弁護士費用の負担についての記載があるのか。弁護士費用は、弁護士に委任した本人が支払うのが原則である。当たり前のことだ。しかし、絶対ではない。例えば、交通事故や製造物責任のようなケースでは、条文上、不法行為者の損害賠償責任が認められると、弁護士費用についても勝訴した者が得られる(賠償される)と規定されている場合がある。また、契約当事者は契約書によって意思を予め合致させることができるから、そこで原則を修正することもできる。かくして、契約書に、弁護士費用の条項が設けられ、誰が負担するか(通常は敗訴者負担)等が規定される。 敗訴者負担というのは、契約した内容につき紛争となった場合、勝訴者(Prevailing Party)が支出した弁護士費用を敗訴者から回収できるというものである。(1)一方では、安易に裁判を提起することに対する歯止めになり、(2)他方では、正当な権利が害されていても、裁判をすることを躊躇させる場合がある。したがって、敗訴者負担の良し悪しについては現在もなお議論がある。 問題は、いかなる場合にPrevailing Partyとなるか、である。100億円請求して、1円買った場合は勝訴者と言えるのか? 金銭以外のものが訴訟の対象となった場合はどうか? 一般的には、額の多少にかかわらず、正味を検討して、勝訴者とするが、適用される条文や判例を確認しなければならないところである。カリフォルニアの場合、カリフォルニア州民法1717条が適用されるが、同条で規定されたPrevailing Partyの定義と矛盾する契約はできない点に留意が必要である。また、カリフォルニアでは、弁護士費用の負担を一方当事者の利益のためだけに設定することも原則として認められない(同条)。したがって、弁護士費用負担の条項を入れる場合、原則、双方向ということになる。加えて、請求額が25000ドルを超えていたにも関わらず、判決でそれ以下しか認容されなかった場合には、裁判所の裁量で(弁護士費用等を回収できる)勝訴者と認定してもらえない場合があることにも注意が必要である。 では、実際に、この敗訴者負担条項が使われる段階になるケースというのは多いのか、というと、ほぼ稀ということになる。ほとんどの民事訴訟、とくにお金だけが絡むケースでは、和解に至る。そうすると、敗訴者負担条項は、働かない。したがって、ADRが広く使われる現代では、弁護士費用についてよりも、調停、仲裁についての条項の交渉により力を入れるのが妥当であろう。 訳例:「権利の譲渡(または移転)」、場合によっては、「契約上の受益に関する地位の譲渡(または移転)」
契約書や法律文書で「Assignment」という単語がでてきた場合に、機械的に「譲渡」と訳しているように見える訳文も散見されるが、それは危ない。もしかすると、「譲渡の禁止」と書かれている条項が多いので、「禁止条項」だから内容をあまり深く考えないでも問題ないと思われているのかもしれないが、このような思考停止は危険である。 Assignmentを訳すにあたっては、その対象を明確にしておく必要がある。実際、Assignmentに関して訴訟になる場合、「何が」譲渡されたのか、移転されたのか、という点が争われることもある(特に、銀行などを代理する場合に、少なくない)。 (1)まず、Assignmentで移転するもののは、通常、権利である。(2)そして、(1)の権利については、物そのものではなく、金銭またはその他の動産を法的手続を経て回復する権利が対象とされることが一般的である(Merchants Service Co. v. Small Claims Court, 35 Cal. 2d 109, 113-114 (Cal. 1950))。(3)さらに、移転する権利は将来の債権であってはならず、現時点で権利として確定できるものに限るという性質がある(ただし、確定していない将来の債権であっても、債権の発生とその後の譲渡を約束したものと扱われ、契約責任の問題に発展する可能性は残るため、注意が必要である)。 基本的には、権利だけを移転する場合をAssignmentと呼び、これは、契約当事者が変わるNovation(契約上の地位の移転)とは区別される。Novationにおいては、義務までも移転するというところが代表的な違いである。したがって、Assignmentを「権利義務の移転」と訳してはいけない。あくまでも、権利、あるいは、契約上生じた受益に関する地位の譲渡(または移転)と訳したほうが良い。 実務において、Assignmentに関する条項は、禁止条項であれ、一部許容条項であれ、契約当事者間のみならず、税法上も問題になり得るし、M&Aなどの場面でも問題となり得る。したがって、Assignmentの対象が何であるかを契約締結時に特定し、また、それが実質的に法律に沿っているのか(実効性があるのか)を確認しておく必要がある。 訳例:〜[という対価]を受領したことを確認し…
この表現が英文契約書で出てくるシチュエーションは限られている。裏から言えば、この表現が出てきた場合には、以下のような契約関係を想定しながら翻訳する必要がある。 Recitalの項目で述べたが、米国の契約書の一般的な内容として、契約締結の「前」に起こった事実に関しては、Recitalで述べることになる。では、契約関係に関する「今」と「将来」について、どのように記載するのか。 Considerationの項目で述べたとおり、Considerationとは対価の交換であり、米国の契約においてはこの対価の交換が心臓部となる。一番シンプルなのは、コーヒーを買ってお金を払うような場合であり、価値の交換がその場で完了するから、単純である。しかし、契約関係には、様々な種類があり、切り取った断面(ある瞬間)において、すべての取引が終わるものではない。たとえば、企業買収などでは、エスクローを開く段階でデポジットを支払い、様々なデュー・デリジェンスを経て、さらに、所定の停止条件が満たされエスクローを閉める段階で支払い等が発生することになる。短期ではあるが、契約に基づいて継続的に権利義務が発生する流れがある。他にも、継続的な関係が生ずる契約としては、リース、賃貸借などがある。 このように段階的に契約内容が当事者間で履行される場合には、それらを「将来」の権利義務として、Shall, Will, Mayなどを用いて契約書に記載する。一方で、契約を締結する段階で、デポジットをすでに支払っているという「今」を記述することも必要である。そして、このように契約の実質的な履行前に生じる価値の交換について、当事者が「交換をした」という事実を「確認する」ために、「the receipt of which X acknowledges~」という表現が登場する。すなわち、この表現は、Consideration、つまり対価の交換を明らかにするために、書かれているのである。ちなみに「今」を示す内容なので、この部分にShall、Will、Mayなどを入れてはいけない。すでに、契約の一部として、金銭を支払って手付とするなど、契約締結時にすでに行われている対価の確認をしているからだ。 |
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