訳例: 契約条項/契約の履行期間(いずれの意味かは文脈による)
英語のTermは多義的な言葉なので日本語にすると複数の訳例が考えられるが、契約書に出てくるのは主に2つである。 1つ目の意味は、「条項」である。契約書には「Terms and Conditions」というフレーズがよく出てくるが、これは「(以下の)条項と条件(に基づいて)」という意味である。このときのTermsは契約書の諸条項を抽象的に指す単語である。 2つ目の意味は、「期間」である。契約の有効期間や契約上の義務の履行の期間などに使われる事が多い。継続的契約において、契約の始期と終期を定める条項は必須条項の一つであり、実務家にとって最重要な規定の一つである。 期間の定め方としては、「○年○月○日から○年○月○日」と明記するのが一番わかり易い。「○○という条件が成就してから○年」という書き方も多いが、条件の成就の有無・時期が争われるなどして、紛争の原因になり得る。不特定多数を相手にする定型約款のように作成時に具体的な日付を記載できない場合も多いであろうが、一般的には、「○年○月○日から○年」という書きぶりの方が紛争のリスクが低く、望ましい。 同様に、「両当事者の署名がなされた日から○年」という契約書も潜在的なリスクがある。例えば、遠隔者間の契約も有効であり、現代では、昔のように顔を突き合わせて契約をその場で署名することはむしろ少なくなってきている。その場合、各当事者が別々に署名欄にサインして、お互いに署名した原本を郵送したりするなどして、契約の締結が図られる。このとき、各当事者が違った日に署名した場合、契約書にその場合への手当がないと、「両当事者の署名がなされた日」(=契約の履行始期)が不明確になる。 さて、期間が、○年とか、○日などと、日数や年数で設定されている場合、どのように期間を計算するのか。契約のドラフトの際は、適用法令を踏まえて理解しておかなければならない。期間(特に履行期間)の計算方法まで契約書で定める例は多くないため、通常は適用法令に従って計算する必要がある。 期間の計算方法について、カリフォルニア州法(民法10条)は、「The time in which any act provided by law is to be done is computed by excluding the first day and including the last, unless the last day is a holiday, and then it is also excluded.」と定めている。つまり、(1)初日は不算入、(2)最終日は算入、(3)最終日が祝休日であれば祝休日は不算入とされている。なお、ここに言う祝休日(holiday)は日曜日及びカリフォルニア州法が指定する日(いわゆる祝日)であり(Cal Civ Code § 7)、土曜日は含まれない(Gans v. Smull (2003) 111 Cal.App.4th 98.)。カリフォルニア州法を適用法令とした場合、契約上の期間は原則この基準によって計算される。 あまり注意を払わないことが多いかもしれないが、紛争等を想定すると、ここまで理解した上で、契約書の期間に関する条項を確認しなければならない。 Comments are closed.
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