訳例:賠償責任の制限
Liabilityという単語は「責任」という意味であるが、「Limitation of Liability」においては、過失等があった場合に生じる「賠償責任」、場合によってはより広範囲にあらゆる法的措置(Remedies)が念頭におかれていることがある。したがって(もちろん、契約書の条項の具体的な内容にもよるが)、単に「責任」とするのではなく「賠償責任」又は「賠償責任及び法的措置」と訳したほうが良い場合がある。 賠償責任及び法的措置を制限する条項を確認する場合、「Release」すなわち「免責」という言葉が含まれているのが通常なので、まずその文言をチェックする。他にも、「Discharge」や「Waive」といった単語が使われるかもしれない。これらはキーワードであり、重要な内容が含まれている部分なので、丁寧に前後を確認しなければならない。 なお、契約書上に明示的かつ分かりやすい言葉で、明確に免責条項の内容を記載していない事を理由に、かかる免責条項の効果を否定した判例があることに注意が必要である(Ferrell v. S. Nev. Off-Road Enthusiasts (1983), 147 Cal. App. 3d 309. 参照)。 契約で「どのような賠償責任でも制限ができる」と定めてしまうと、アメリカの各州の法律に反する場合がでてくる。カリフォルニア州において考えなくてはいけないポイントを一般化して以下、指針としたい(カリフォルニア州民法1668条等参照)。 1 債務不履行責任は制限できる。 2 公益もしくは法令に反しない限り、過失責任は制限できる。 3 重過失または故意の責任は制限できない。 4 州法が責任の制限を禁止(または限定)している場合、契約では州法の規定を超えて責任を制限することはできない。 5 公益に関する契約に関しては、責任の制限が許されない場合がある。 6 間接損害、拡大損害等については、法律上、一方の当事者に過度に不利益が生じる(Unconscionable)条項であると認められない限り、責任の制限は許される。 7 6にいう拡大損害は、責任を制限する特約が無くとも、契約時に予見可能性がある損害に限定される。 以上のような、賠償責任の制限についての法律を踏まえて、賠償責任の制限条項を検討する必要がある。 Comments are closed.
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