訳例:第三者受益者の不存在
日本の民法と同様に、アメリカ法においても、原則として契約は当該契約の当事者間でのみ有効である。しかし、契約には、当事者以外の第三者に利益を生じさせることを目的とするものがあり、そのような契約の有効性は広く認められている(カリフォルニア州民法1559条参照)。このことは、日本もアメリカも変わりはなく、日本法に親しんでいれば、さほど違いを意識しない条項ではないだろうか。なお、第三者受益者として、明示される者を「Intended Beneficiary」(意図された受益者)と呼ぶ。 契約に第三者受益者が明記されていなければ、そもそも第三者受益者は予定されていないのが通常である。しかし、アメリカの契約書ではその不存在を明記することがある。一般的に第三者受益者が存在しない契約であることを確認的に明示しているだけなので注意規定といえる。当事者が第三者受益者の不存在を黙示に合意しているだけでは、第三者が「私が受益者である」として、債務不履行を一方または両方の当事者に対して訴訟を提起することが理論上ありえるから、この可能性を予め封じておくために、明示の条項を挿入しておくという利益が両方の当事者に存在するのである。契約の当事者双方に利益となる条項なので、争いは生じにくい。 契約当事者以外の第三者との法的関係については、法が特別な規定を設けている場合があることにも留意が必要である。例えば、カリフォルニア州民法2782条は、建築の下請業者、元請業者、及び発注者との間に、特別な法的関係を認めている。契約の種類によっては、このような法律上の規定を前提に条項の文言を検討しなければならない。 Comments are closed.
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