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英文契約解説「Jurisdiction」

9/12/2019

 
訳例:裁判管轄


Jurisdictionは契約書締結時に議論の対象となることが多い条項の1つである。まず、アメリカにおいて「Jurisdiction」という用語は、多義的であるが概ね「法によって司法制度が造られ、裁判所が設置され、そして、その裁判所が具体的な事件に対して権限を行使できること」を意味している。日本の「事物管轄」と「対人管轄」をあわせたような概念であるが、契約書で問題となるのは基本的にpersonal jurisdiction≒対人管轄である。それと関連し、しばしば混同される法律用語として「Venue」がある。「Venue」は「各裁判所の土地管轄がどこまで及ぶか」という地理的な話である。Venueについては、当事者の申し立てで変更が可能な場合もある。日本でも類似の制度として「合意管轄」や「同意による移送」がある。
 アメリカ合衆国の中に各州があるため、どの州の裁判所とするかは土地管轄の問題であると誤解するかもしれない。しかし、どの州の裁判所に裁判を行う権限があるかは「Jurisdiction」の問題である。その州の中のどの裁判所で裁判をするかが「Venue」の問題である。
例えば、ある事件をカリフォルニア州の裁判所(カリフォルニア州政府の設置する裁判所)とネバダ州の裁判所(ネバダ州政府の設置する裁判所)のいずれかが管轄するかがJurisdictionの問題である。そして、カリフォルニア州が設置する裁判所がJurisdictionを持つ事件について、サンフランシスコの裁判所(即ちカリフォルニア州政府が設置するサンフランシスコに所在する裁判所)とロサンゼルスの裁判所(即ちカリフォルニア州政府が設置するロサンゼルスに所在する裁判所)のいずれに係属させるのか、というのがVenueの問題である。
なお、アメリカでは州の裁判所と連邦の裁判所との間も異なるJurisdictionとされているので、両者を混同しないよう注意する必要がある。


さて、Jurisdictionの条項を契約書に入れるときには、気をつけて吟味しないと、紛争になったときにその条項の内容を争われる可能性がある。規定の内容は様々だが、裁判管轄の場所及び対象となる紛争の設定を厳格に行わないと、契約書に記載された裁判所だけではなく、選択的に他の裁判所でも裁判ができると判断される可能性がある。


まずは、場所の設定だが、「Exclusive」という単語がキーワードになろう。排他的な裁判管轄の設定を意味する言葉であり、この単語をいれておくことで限定的な設定ができる。そして、カリフォルニア州のように広い州の場合には、単にカリフォルニア州(State of California)の裁判所とだけ指定するのではなく、Venueとして州より下位の区分である郡(county)も指定しておいた方が、実務的には便利である(ただし、当事者がvenueを決定することはできないとする裁判例もある点に注意。Alexander v. Superior Court (2003) 114 Cal.App.4th 723 .参照)。もちろん、複数の選択的な指定も可能であるが、その場合には、さらに慎重に文言を吟味する必要がある。実際に裁判管轄の場所の設定が専属的なのか選択的なのかで紛争が生じ、訴訟になっている例がいくつもある。


次に、裁判管轄の対象となる紛争を明記しておく必要がある。通常は「契約書に記載されている契約関係から生じる一切の紛争」といった書き方をするが、英語では「Arising out of」などという単語を使う必要がある。また、単に契約当事者から発生した紛争、という規定ではなく、当該契約から直接的・間接的に生じるすべての紛争をカバーするといった規定の方がより疑義が無く、望ましい。もちろん契約書の性質や、当事者がどの程度絡み合っているのかにもよるが、どの紛争を対象にして裁判管轄を設定するのか、吟味しなくてはならない。


なお、準拠法等との関係にも注意する必要があることは、本契約解説の「Governing Laws/Applicable Laws」でも述べた通りである。また、準拠法と同じく、理由なく自国での裁判に拘るのではなく、どの裁判所による裁判が最も本件契約から生じる紛争解決に適するかという観点からJurisdictionとVenueを選択する必要がある。
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