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【小説シリーズ】陪審喚問の時(The Grand Jury)

6/10/2019

 
本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆した小説です。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。
毎週概ね月曜日に、20回に分けて配信します。今回は最終回です。

=====================

第20章 事件の後 (Point Thereafter)
  
月日は経って、私も弁護士としては10年選手になりました。最近では私も若い弁護士を使い、サンフランシスコのオフィスであいもかわらず仕事を続けています。自分のやっていることで変わったことといえば、私も家庭を持ちって妻と子供二人ができたのであまり無茶はしなくなったことと、大学で刑事訴訟法の教鞭を取るようになり、若い学生達にソクラテス方式の授業をするようになったことくらいです。
 時々、若い学生に向かって話すときに弁護士になるときの情熱を語ることがあります。思い出深い事件は言われれば、やはり真治君の事件が若い時分にやった事件の中でも印象に残って思い出されます。しかし、思い出は思い出ですから、思い出したとしてもまたすぐに日々の仕事や研究に忙殺されていきます。最近ではやはりサンフランシスコに密着した弁護というものが多く、国際的な事件は扱うもののサンフランシスコに滞在することが多いです。ときどき引っ越していった真理子さんや真治君のことを思い出します。マックブライド捜査官や関係者もどうしていることでしょう。事件は来ては行ってしまいますから、ひとつひとつの事件の当事者や関係者とずっと連絡を取るということは難しいことが多いのです。
 
ある冬のことでした。もうクリスマスも近い時期に、私はある顧問会社の訴訟を引き受け、その訴訟に関する説明を日本の本社でするために日本に帰らなければならなくなりました。いつも私の事務所で使っている航空会社とは違う航空会社のチケットを会社がくれたので、それを使うことにしました。
 機内に入り、ビジネスクラスの自分の座席を見つけ、上着をフライトアテンダントに預けようと思い、はっと顔をみました。
「真理子さんじゃないですか。」
「小山先生、ご立派になられて…。」
「アトランタに移られたのでしょ。どうしてサンフランシスコ便に?」
「結婚しまして、日本でしばらくゆっくりしていました。最近、子供が大きくなってきたのでまたフライト・アテンダントの仕事に復活したんです。」
「それはよかった。」
「ごゆっくり。」
「ありがとう。」
真治君はどうしているのかな、なんて懐かしい思い出が頭をよぎります。しばらくすると、真理子さんが私の座席に来てくれました。
「本当にひさしぶり。」
「本当ですね。」
「こんな偶然なんだから、東京についたらぜひ一緒にお食事でも。」
「いいですね。」
「どこがいいかしら。」
「ミレニアムホテルにおいしい和食の店があります。」
「それで決定ね。私のお友達も連れていっていいかしら。」
「もちろんです。」
「それじゃ、もうクリスマスも近いし、クリスマス・ディナーで決定ね。」
「20日にしましょうか。」
私は自分のスケジュール帳をみながら答えました。
「大丈夫でしょう。それじゃ、7時にロビーで。」
「積もる話もありますよね、淳平さん…。」
日本に着いた私は、忙しく事件をこなして時間が過ぎていきました。訴訟に関しての膨大な関係書類を確認したり、会議を重ねたり、20日はあっという間にやってきました。
私は食事を楽しみにして約束の時間より30分ほど早く着いてしまいました。東京では、寒いと思ったら雪が舞い降りていました。ホテルに入りゆっくり椅子に腰掛け、当時の事件を思い出していました。
しばらくすると、
「早かったのね」
と言いつつ、真理子さんがキャメルのコートに身を包みやってきました。気づくと肩に雪がついています。
「寒い、寒い。雪が降ってきたわ。」
「クリスマスにぴったりですね。」
「あ、そうそう私の友達というか、顧問弁護士を紹介するわ。」
「顧問弁護士ってなんだい。飛行機に乗るのに顧問弁護士が必要なのかい?」
私の肩越しに目線を移している真理子さんに気づき振り向いてみると、たくましい青年が立っていました。
「小山先生…。」
その青年は覚えのある声で言いました。真理子さんが私にささやきます。
「あれからずいぶん変わったでしょ、真治君よ。ほらあの福本真治君。今度カリフォルニアの弁護士の試験に受かってパブリック・ディフェンダーとして活躍する新進気鋭の弁護士さんよ。ご両親のお墓にその報告をしに日本に来てるのよ。」
私は、目頭が熱くなり、真治君を抱き寄せました。
「先生、僕は信念を持って早く先生を追い越せるようにがんばります…。勇気を持って…。そして夢を持って…。」
その日の夕ご飯は何を食べたのかあまり覚えていません。胸が詰まって仕方ありませんでした。
 
―完―  
 
​


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