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MSLGオンラインマガジン 第7回

5/16/2023

 
みなさまこんにちは。マーシャル・鈴木総合法律グループの弁護士戸木です。
 
ベイエリアのオークランドでは、同地区の学校の先生が、待遇改善を求めてストライキを行っていました。先週金曜日の時点でストライキ7日目に入っていましたが、週末に無事に仮合意に至り、月曜日から授業が再開されたそうです。このストライキで35,000人の生徒が授業を受けられなかったそうですが、ストライキのおかげで先生たちの給与が11~22.3%(高い人では年収が1500万円程度)アップしたそうです。
カリフォルニア州に限らず、アメリカでは、「子どもは宝」という意識が広く浸透しています。その裏返しなのか、公立学校の先生の待遇は良いし、能力も非常に高いように感じています。先生の待遇が良くなければ、良い人材も集まりにくいし、良い授業・学校も作れませんよね。
なお、ストライキで訴えられていたテーマには、先生たちの待遇のみならず、貧困家庭の子どもたちへの支援や、学校における資金の使い方に関して学校と保護者がともに投票権を持つというCommon good(共通善)の要求が含まれていたそうです。このCommon good要求についても合意に至ったようですが、実際に運用がどう変更され、学校・地域がどのように変化していくのか、楽しみです。
 
さて、前回に引き続きテーマは「離婚」、今回は、婚姻費用と子ども(親権、養育費)に関するお話です。
 
日本では、夫婦間で婚姻費用を分担する(収入が多い方が少ない方に支払う)義務があります(民法第760条)が、カリフォルニア州でも、考え方は全く同じで、Spousal Support(通称「Alimony」)というものがあります。日本では、支払義務は夫婦間のみに発生します(離婚をすれば支払う義務はなくなります)が、カリフォルニア州では異なり、婚姻期間中はもちろん(Cal Family Code §4300)、離婚後であっても一定期間支払義務が続きます(同§4330)。支払期間は、究極的には諸事情を踏まえた裁判官の裁量によって決まりますが、一般的に、婚姻期間が10年未満の場合には婚姻期間の半分の期間、10年以上の場合には無期限とされています。
私自身、カリフォルニア州法を学んだ際に、日本と大きく異なることに非常に驚きました。ただ、離婚に関する日本とカリフォルニア州の制度の違いを考えると、納得が行きました。前回説明したように、カリフォルニア州では、離婚の際に離婚原因は不要とされており(正確には無過失離婚が認められている)、日本よりも簡単に裁判離婚が認められます。日本では、離婚によって経済的に弱い立場に置かれてしまう事態を救済すベく、有責配偶者からの裁判離婚に一定のハードルを課し、その間に有責配偶者に対して婚姻費用の支払を義務付けるなどして、経済的不平等を解消しようとすることがあります。カリフォルニア州では、離婚を簡単に認める代わりに、離婚後も婚姻費用の支払を継続させることで、経済的不平等を解決しようとしているのだろうと思います。
夫婦の片方に婚姻を継続する意思がなくなってしまえば、婚姻生活を継続させることには無理があるでしょう。それを擬制的に継続させて経済的不平等を解決しようとしている日本よりも、婚姻を解消させた上で金銭的な解決を正面から認めているカリフォルニア州の方が、個人的な感覚としてはしっくり来ます。
 
子どもの親権(Custody)は、Legal custodyとPhysical custodyという概念に分けられており(Cal Family Code §§3002-3007)、日本で言うと、前者は狭義の親権(財産権利権)、後者は監護権にあたります。カリフォルニア州では、いずれの権利も、離婚をしても共同(Joint custody)とするのが原則です(Cal Family Code §3080。共同親権が子どもにとって最大の利益であることを推定することが定められています)。両親が離婚をしても、親子間の身体的・精神的繋がりが当然に断ち切られるわけではありませんから、私はこの建て付けにも共感できます。もちろん、DV等があって親としての資質を欠いている場合は別です。
平等なPhysical custodyを実現するためによく使われる方法が、2-2-3スケジュールという方法です。例えば、ある週は、月火の2日間を父の家で、水木の2日間を母の家で、週末を含む金土日の3日間を父の家で過ごします。翌週はこれを入れ替え、月火は母の家、水木は父の家、金土日は母の家で過ごし、その翌週には再度入れ替える、という方法です。2日ないし3日毎に父母の家を行き来し、隔週でそれぞれの親と週末を過ごすことで、50:50の状況を作ります。とはいえ、これは父母が近くに住んでいる場合でないと実現できないものなので、双方が遠隔地に転居してしまった場合(日本人とアメリカ人の婚姻の場面ではよくあります)には、柔軟に協議して(必要に応じて裁判所が関与して)スケジュールを組むので、日本における面会交流のような行き来がされていることも少なくありません。
 
養育費(Child support)の支払義務も定められている(Cal Family Code §4503)のも、日本同様です。
日本と大きく異なるのは、DCSS(Department of Child Support Service)という公的機関があり(Cal Family Code §17200; https://childsupport.ca.gov/)、養育費の支払を受ける権利を有する親は、自ら裁判所に申立てをしたり弁護士に依頼したりしなくても、DCSSに申出をするだけで、子どものために申立てをしてくれます。DCSSは代理人になるわけではありませんが、全ての手続をお膳立てしてくれ、DCSSとしての主張もしてくれます。「子どもの最大の利益」(Child’s best interest)を図ってくれますし、後述するように養育費の金額はガイドラインに基づいて算出できるので、安心して任せることができます。
さらに驚くべきなのは、DCSSは申立てと裁判対応のみならず、義務者からの取立てまで行ってくれるという点です。日本では、調停や審判で養育費の金額を決めても、支払が滞ってしまったら強制執行が必要で、そのための財産調査に難航するというケースがままあります。カリフォルニア州では、DCSSが主体的に動いてくれて、銀行預金その他の財産の差押え(正確にはLienという先取特権です)や、税金の還付金の没収等ができますし、義務者が支払を怠っていると、運転免許の停止や専門的な資格のはく奪等の処分がなされることもあり得ます。「子どもは宝」の意識によるものか、「養育費の未払を許さない」という姿勢が強く見て取れます。
ちなみに、DCSSは、Physical custodyを有する親が、子どもを連れて州外・国外に出たとしても、カリフォルニア州法に基づく養育費の支払義務が発生している限り、力を貸してくれます。10年以上前の話ですが、子どもを連れて日本に帰国した親が、カリフォルニア州に基づく養育費を請求できるかどうかが争われた事件があり、当事務所の弁護士が養育費を請求する親を代理し、控訴審で認容判決を勝ち取りました(Marriage of Richardson (2009) 179 CA4th 1240)。もし同じような境遇の方で養育費の未払に困っているということであれば、是非連絡をしてみることをお勧めします。
 
上で少し触れましたが、カリフォルニア州には、日本同様、婚姻費用と養育費の金額を算出するためのガイドラインが存在します。サンフランシスコ・ベイエリアでは、ガイドラインに基づいた金額を計算するためのDissoMasterというソフトウェアもあるので、このソフトウェアに収入、支出、子どもの人数等を入力することで、すぐに計算が可能です。日本における現行算定表のように、収入額が表の上限を超えてしまって計算ができないという事態も生じないようになっています。
例えば、サンタクララ郡(シリコンバレーが位置するエリア)のガイドラインを使用し、父の月収を5,000ドル(約68万円)、母の月収をゼロ、子ども(1人)と過ごしている時間を50:50と入力したところ、婚姻費用は月額1,025ドル(約14万円)、養育費は754ドル(約10万円)と算定されました。子どもと過ごしている時間について父0:母100とした場合には、婚姻費用は月額1,224ドル(約17万円)、養育費は995ドル(約14万円)になりました。養育費の金額については、DCSSが計算ソフトをオンラインで公開しているので、必要になったときは是非ご覧ください(https://childsupport.ca.gov/guideline-calculator/)。
 
なお、日本の裁判所が公開している算定表(子1人表・0~14歳)で見ると、婚姻費用は16~18万円の範囲、養育費は10~12万円の範囲になりましたので、金額自体はそこまで差がなさそうです。もっとも、婚姻費用が離婚の後に継続するか否かは異なる部分ですので、婚姻期間が長いと、カリフォルニア州に基づく婚姻費用の方が、支払額が多くなりそうです。
 
以上が、私がカリフォルニア州弁護士として執務をし始めてからの約1年間で経験した離婚案件に関して得て知識でした。まだまだ知らない論点が多くあり、日々勉強しながら事件対応をしているところです。

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