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​MSLG ブログ

過去記事「司法取引」

1/22/2019

 
本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。

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弁護人席を越え、裁判官席の横についている関係者専用のドアを開け、裁判官の専用室(チャンバー)に入っていく。目の前には裁判官が法服を脱ぎ、自分の椅子に座り、机を挟んで検察官が何件もの起訴状が入ったファイルを抱えて談笑している。入ってきた私に裁判官は笑顔で座るように指示し、司法取引がはじまる・・・。
 
という感じで、アメリカで刑事事件を受任すると司法取引がはじまります。日本では考えられない制度かもしれませんが、アメリカの連邦や州の刑事裁判では日常茶飯事に行われている刑事事件上の手続です。アメリカの刑事裁判は、ほとんどの場合、初回のArraignment(第一回公判)で無罪を被告人は主張します。無罪を主張すると、次の期日が設定され、裁判官、検事、弁護人を交えてどのように裁判を進行させるかを話し合います。この会議が実質的には司法取引と呼ばれています。どのような内容の刑罰で事件を終了させるか取引するのです。
 
司法取引ではいろいろな経験があります。ドメスティックバイオレンス事件の司法取引の場面、夫が妻に対して物を投げたり、首を絞めたりして、傷害罪・監禁罪・証人威迫罪などで起訴されている事件です。裁判官専用室に入ると、裁判官は検事あがりの女性、検事も女性、事件の調査をしている保護監察局の調査官も女性。軽い冗談を言っても、誰も笑わないし、皆さん口が「へ」の字になっています。私が一生懸命情状酌量に訴えようとしても、何も返事が返ってきません。ちょっとの間をおいて、裁判官が「この被告人は刑務所に入った方が良い矯正になると思う」と言い出す始末。私を除いて部屋の皆さん同意している感じです。「初犯だし、会社勤めもしているし、家族もいるのですから、実刑が適当というのはちょっと通常の事例から逸脱していると思います」と私が言っても、「通常の事例より逸脱しているじゃないですか」と怖い顔で返されてしまいます。「取引の内容としては、全部の罪を認めるなら考えてもよい」と検事が言い出す始末。 結局機転をきかせて、司法取引を続行することにして、次回はうまく男の検事があたる曜日を設定しました。結局、司法取引は成功しましたが、冷や汗をかきました。
 
ある遠方での刑事事件を受任したときは、一回は私の体調が悪く運転ができなく、もう一回は裁判所の期日指定ミスで司法取引に行けなかった時があります。二回とも裁判官に謝りの手紙を書いておきました。もっとも二回目は私の責任ではなかったのですけどね。三回目に裁判所にいくと、裁判官が私の事件を法廷で呼びました。二回も期日が合わなかったので、怒られるかな、と思いきや、このように謝りの手紙を出すということを他の弁護士も見習いなさいと、誉められた上に、私の文章まで読まれてしまいました。ちょっと恥ずかしかったですが、その後の司法取引は、私の考えていた最低の刑で司法取引が成立しました。というより、裁判官が検事を説得してくれたのですけど。
 
このように、司法取引といっても人間の関係から成り立っていますから、法理論だけでは解決できない部分があります。もちろん、個人的に裁判官や検事を知っている、友達であるというだけではだめで、誠意を持って事件に取り組んでいるかということがもろに出てしまう場面かと思います。
 
なぜ、司法取引なんかをするのか、と思われますが、弁護側からいうと、いくつもの罪で起訴されている被告人が陪審裁判に負けると、実刑もついてしまうという場合、最低の刑で有罪という取引を行い、罰金などの軽い刑で終わらせられるというメリットがあります。一方、検察側としても、陪審裁判となれば、事件数を多く抱えていますから、準備も大変だし、負ければ昇進にも響きます。この結果がわからない陪審裁判という不確定な要素が、司法取引という文化をつくりあげているのです。


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