本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。
==== 今回はビジネスを立ち上げたり拡大していく上で、ベーシックですが非常に重要なポイントを皆さんと一緒に考えていきましょう。皆さんがもし経営者として会社または個人事業を経営するのであれば、雇用されて給与を受ける以上のことに気を払わなくてはいけません。たとえば、収入と支出をバランスさせることですね。ビジネスを大きくしたり、立ち上げたりする場合にはある程度の資本がなくてはいけません。いわゆる「元手」といわれるものです。物を売り買いする商売では、ものを買い、そしてその物を売り、利ざやを稼ぐ訳ですが、取引の対象となる物が多ければ多いほど、ある程度、利益が多く出ることになります。もちろん他にもたくさん要素がありますが、取引量の多さというのはビジネスにとって重要です。ところが、特に新規のビジネスだと、金融機関は融資を渋りますし、融資を受けられても金額としても大きくないかもしれません。アメリカでは銀行に融資を頼まず、株式を発行してお金を集めたり、他の会社や個人からお金を借りたりしてビジネスをはじめるというケースが一般的です。ドット・コムが全盛だったころ、株に出資された方も多かったかもしれませんが、このトレンドは別にドット・コムビジネスに限ったことではありません。今回は、ビジネスの資本を集めるための方法について考えてみたいと思います。 大きく分けて、ビジネスの資本を増大させるには、株や会社の持分を対価として、出資を募るファイナンシングの方法と、担保の有無にかかわらず、お金を借りるという方法があります。ここでは触れませんが、ある権利や商品、それにビジネス自体を証券化するという方法もあります。しかし証券化に関して論じると本が一冊ほど必要なので今回は割愛しますが、いつか機会があったら触れてみたいと思っています。 まず、株を発行することで株主となる投資者を募るパターンを考えます。たぶん、まったくの新規ビジネスでは担保のない状態で金融機関からお金を借りるということは難しい要素がありますので、その意味では株を対価として発行することはスタートアップ会社などにとっては比較的容易かもしれません。ドットコムもほとんどはこの方法で事業を立ち上げた歴史があります。 株を発行して投資者を募る場合、投資者は会社の所有者になります。つまり株主という地位を得るわけですね。株の発行には普通株や優先株など、株主の権利に多少差はありますが、株というのは投資であるという要素は一定しています。ということは、株というのは性質上、融資のように、一定の利息があるわけではないですし、会社が倒産すると、投資額を失ってしまう危険性があります。 株主は会社のオーナーですから、パーセンテージにもよりますが、会社の経営に対して口を挟めます。ビジネスに長けている株主がいる場合、会社は有用な意見や経営方針などを聴ける可能性もあります。ただ、第三者が経営に参加してくるということは有用な反面、経営の性質を変えてしまう可能性も非常に大きいという点を考えておかなくてはなりません。今までは一人や数人でビジネス上の決定をしていたとしても、第三者が加わると会社の方向性が変わってもやむを得なくなります。その意味では株の発行にも気をつけなくてはいけません。もっとも優先株という通常の株とは違って、多くの配当金を得る代わりに経営には口を出さないといった内容を設定してある株も一般的なので、株の発行については一言では言い表せないのです。 株の発行に対して、会社のキャッシュ・フローが許せば融資を受けることも考えられます。融資の場合、中小企業だと、だれか個人的な保証を要求されるのが一般的です。融資、すなわちローンは通常利息が付されますし、支払の期限やペナルティが厳しく定められています。言葉を返せば、余裕さえあれば、経営にはまったく影響がなく、資本の増加ができることになります。しかし、ローンが返せなくなった場合には、個人的に責任を追及されることがほとんどです。ですから、計画的に返済できる額が融資を受けられる限度ということになるでしょうか。もし会社の経営が行き詰まって、支払ができないなどという事態が発生すると、個人の財産までも返済のために充当しなくてはいけなくなり、影響が大きいのです。まあ、日本では株を発行しても、個人保証を取る例が多いので、この点あまり違いはないかもしれませんが。 以上が、簡単ですが、株の発行と融資の違いです。両者とも基本的な性質は違いますが、契約等で内容を大いに変更できますから、場合によって使い分けていきたいものです。その使い分けも経営者のセンスの問題だと思いますけど。紙面がなくなってしまいましたので、また次回新しいトピックを考えていきたいと思います。 Comments are closed.
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