訳例:準拠法・適用法令
契約書の中に準拠法(適用法令)を定めることで、その契約を補充する一般法となったり、契約解釈の指針となったりする。そのため、準拠法にどの法律を選ぶのかはとても重要である。準拠法を日本法にするか、アメリカのカリフォルニア州法にするのか、インコタームズ(Incoterms)にするのか、様々な選択肢がある。通常の国際取引では、契約書の中に準拠法を記載するため、当事者は契約作成に、選択肢の中から準拠法を選ぶことになる。加えて、契約で明確に適用を排除しなければ適用される法令や排除できない強行規定にも注意しなければならない。 準拠法を選択する際に、日本の企業で「日本法じゃなければ嫌だ」という態度を崩さないところもあるし、アメリカの企業でも同様の態度をとるところも少なくない。確かに馴染みのある自国の法律を準拠法とした方が安心感はあるだろう。しかし、日米にまたがった契約を締結する際には、どの準拠法が紛争解決に適切かを考える視点も重要である。債務不履行の成立要件や責任の範囲等は準拠法によって異なってくる可能性がある。どの準拠法によることが紛争解決に適するかを判断するには、訴訟実務に精通していることが望ましく、契約書作成に携わる担当者、担当弁護士には、少なくともその素養が求められ、可能であれば各関連国の準拠法及び訴訟実務に精通する弁護士からそれぞれ意見を得ることが理想的である。 次に、準拠法を選ぶ場合、「契約全体に一つの国(または地域)の法が適用されなければならない」という決めつけは不要である。契約条項から派生する紛争類型の性質を踏まえ、その条項に適した適用法令を考えることができる。 もうひとつ付言すれば、準拠法の条項は、しばしば裁判管轄条項や仲裁条項と並んで(あるいは混ぜて)記載される。両者の関係にも注意したい。準拠法と裁判管轄や仲裁の場所が一致しない場合(例:日本法に基づきカリフォルニアで裁判)は、敢えてそのような複雑な規定にすることが、本当に紛争解決に資するのかは検討が必要である。特に、裁判以外の代替的紛争解決手続き(Alternative Dispute Resolution)の条項を設ける場合、どのような代替的紛争解決手続きを用いるかに関しては、その紛争解決手段の内容や適用規則をよく理解し、紛争解決に最適な手段を選ぶ必要がある。 Comments are closed.
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November 2024
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