本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。
==== 今回はプライバシーとインターネットにかかわる問題を皆さんと一緒に考えていきましょう。 職場での電子メールとインターネットの使用に関してです。まず、現在、日本やアメリカではどこの職場でもコンピュータを介してインターネットを使っていると思います。インターネットは現在主要なコミュニケーション手段ですから、職場でインターネットを使うといっても、私用のものも混ざってしまう可能性がありますね。また、インターネットを使うと様々な情報が得られますから、就業中に職場で仕事とは関係ない情報を閲覧できるという状況も充分考えられる訳です。 この電子メールを含めたインターネットの職場での使用に関しては、まだ雇用する側でもちゃんと対応していないケースも多く存在し、場合によってはプライバシーの侵害といった問題も浮上する場合があります。今回、雇用主の立場に立って、インターネットの使用に関して、どのように事前の対処を会社側としては行っておくべきなのか、考えて行きましょう。 まず、インターネットの使用に関してですが、雇用者はどのようなサイトを被用者が就業中に見ているのか、モニターすることは何ら違法行為ではありません。ですので、一定のサイトにだけ接続できるように設定したり、一定のサイトに接続できないように設定するなど、職場のコンピュータをコントロールするところも増えてきています。 また、どのようなサイトを被用者が訪れたか、チェックすることも何ら違法ではなく、最近では、雇用主の為に被用者のインターネットの使用を監視するコンピュータソフトウェアプログラムも売られるようになりました。 このように、インターネットにおける情報へのアクセスに関しては、雇用者の監視は幅広く許されていますので、電子メールの内容についても、仕事に関する限り雇用者は監視をすることができます。しかし、電子メールについては、ただ情報を得るインターネット使用と違い、プライベートな内容をやりとりするという一面があるため、雇用者によっては被用者個人のプライバシーにかなり気を配っている会社もあります。しかし、基本的には雇用者側は被用者が職場で使っている電子メールの内容を読むことを許されていますので、被用者としてもプライベートと仕事をわける配慮が必要かもしれませんね。 以上のように、会社側、雇用者側は、職場においてはインターネットの情報や電子メールを監視することが基本的には許されている訳ですが、絶対的に個人使用を禁止するというのは、どうしても無理があるように思います。あまりにも画一的に「絶対禁止」などということをすると、被用者側だって嫌になってしまいますよね。そういう意味では、会社である程度の規則をつくるのが現状ではベストではないかと思います。 多くの会社では、インターネットの閲覧に関して時間制限を設けたり、違法性の高いサイト、たとえば猥褻なものや、賭博に関するサイトの閲覧を禁止したりしています。また、会社のメールアドレスを個人使用する場合には、private(私用)と表示するよう義務づけたりしています。最初から、就業規則にインターネット使用に関する内容を盛り込んでおけば、被用者側としても、「やってもよい程度」というのがわかり、両者にとって利益となるのです。ある意味、インターネットに関する規制を会社側がどの程度行うか、ということに関しては電話の場合と同じように考えれば良いと思います。 何十分も電話で私用のおしゃべりをしていることはよくないですが、家族や友人との簡単な会話まで制限するのは大人げないですよね。そういう意味では合理的な就業規則を最初からつくっておくということが、大切なのです。 本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。
==== アメリカでは従来から銀行が一般の人から得た預金をもとに、各会社の株を取得するという日本的な方式はとられておらず、会社が直接個人出資家、機関投資家から出資を得、その出資を元にビジネスを展開するというパターンが一般化しています。証券取引の場所は与えるが、投資に関しては個人が責任を持つという原則が貫かれています。近年、日本の企業もアメリカの企業や企業の持つ技術に関心を寄せ、投資を行うという例には暇がありません。しかし、アメリカ型の投資形態に常に日本の文化が適応できるか、といえば難しい側面があります。決してアメリカ型が優秀で、さらにアメリカ型投資機構が他の国より優れているかというと、賛否両論があるのではないでしょうか。法律や会計に関しての問題ももちろんありますが、そもそも日本企業がアメリカ企業に投資する上で、考えて置かなくてはいけない心構えというのが存在するように思います。経験上、私が扱っている企業案件にも多くの投資案件がありますが、各日本企業内での判断に関して、様々な問題点があることを知ってきました。その一つを今回のコラムにしてみたいと思います。 まず、日本の企業がアメリカ企業に投資を行うに際しての態度として、「投資」ということを理解していないケースが多々あるということです。「投資」とつく本や専門書はたくさんありますが、投資を金銭の貸与と考えている企業が多いということです。これは文化的な側面だと思います。アメリカでは10代から、投資をしてお金を稼ぐということを実際の経験を通して学びますし、株に投資をするということは「お気軽」感が強い環境で育ってきています。植民地を持ち、その植民地を自国の繁栄に割り当てるという英米系の考え方なのかもしれません。日本や他の外国では、このような投資という考え方は強くなく、やはりビジネスを自分で実際に行い、やることをやって利益をあげるという形が一般的でした。「投資」というと、自分が始めるビジネスに対してお金を使うというイメージが強かったのだと思います。しかし、日本人が感じる「投資」というコンセプトとアメリカで、実際に感じる投資とは、隔たりがあります。アメリカでは、純粋に自分の持っているお金を増やすということに意義があると考えるからです。業績重視、どの程度のリターンがあるか、ということが重要なのです。 ところが日本企業にはそのように、お金だけを儲けるだけのために投資をするというコンセプトは少なく、付加価値を求めます。たとえば、自社の商品を世界に広めるとか、業績をあげるとか、純粋にお金を儲けたいとおもう気持ちにプラスアルファがあるのです。私は日本企業を代理していて、歯がゆく思うのが、日本企業は純粋にお金を儲けたい、と思う方向と、自分の持っているビジネスを拡大したい、という思いをミックスしているということです。ですので、アメリカ企業と交渉を行う際に、時間が長引いたり、意思のすれ違いが生じたりするのです。「投資」とは、お金を儲けるためのいわばギャンブルですから、確実に安定して事業をのばすと言うコンセプトと合致することもあれば、まったく逆の要素になることも考えられるのです。端的に言えば、金銭を与える見返りは金銭だけだと割り切ることも必要で、その他の付加価値については別途の協議がなければ、他の投資元とも差がついてしまいます。ですので、「お金を出す」ということは、「投資」なのか、それ以外の利益を求めるものなのか、社内でちゃんと目的を確かに持つ必要性があるだと思います。 次に、日本の企業が必要なのは、社内での判断能力の一本化ということだと思います。組織が大きくなると特に判断能力については、担当をしている人の能力にかかってきてしまう部分が大きくなり、時間などに制限のある投資は難しい部分があります。私は、判断が一本化できない根元には上で考えた「投資」の目的につき一人一人が違う考え方を持ってしまっていると思います。アメリカの企業を相手に投資をするのであれば、「お金を儲けたい」、「事業協力したい」といった考え方をはっきりさせなくては、やっていくのは大変かもしれません。また、実際に投資の交渉が始まっている段階で、社内的にどの程度の金額で、どの程度の権利を得たいということを決めておくことも大事です。ほとんどの日本企業は、その辺が決めていない段階から打診をしてしまうので、納得がいかない投資になってしまう場合が多いのだと思います。 頼れる弁護士や会計士などは、二次的な問題だと思います。御輿がちゃんとしてなくては、裏方さんは担げませんからね。社内での「投資」に対する心構えというのが、アメリカでも成功する基礎となるのは間違いありません。 |
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