3.多様な経験と民事陪審裁判 MSLGのインターンでは、実践的なリーガルプラクティスに主体的に取り組むことができます。法的な議論を闊達に交わすことができる雰囲気で、「お客様」扱いではないインターンを経験できる貴重な事務所であると自信を持って言えます。私の在籍中には、裁判所関連業務が多く、家事事件や刑事事件に関与したり、先輩のインターンの方が体験記で書かれているディスカバリー制度を利用した情報開示もそのノウハウを活用して主任として行いました。また、労働事件の訴訟提起からディスカバリーの下準備に至るまでの一連の訴訟業務にも関与もさせていただきました。特に、民事陪審裁判のトライアルに関与できたことは代えがたい経験でした。日本の民事裁判とは大きくシステムも異なり(判断者が市民である、その市民を当事者が選任する、ディスカバリーの結果を検討して提出証拠を選ぶ、準備書面での主張の積み重ねや裁判所主導の争点整理もない状態での証人尋問を準備する、審理開始前に証拠排除の申立て(Motion in Limine)の攻防を行う、証人尋問が長時間である等々)、日本の弁護士としては新しいことの連続で衝撃を受けました。また、カリフォルニア州でも珍しいフルリモートでのトライアルの実施であり、MSLGとしても新しい挑戦に溢れた案件でした。当事者(弁護士)の果たす役割が大きいアメリカの民事陪審裁判の実務を肌で感じながら、MSLGのメンバーと共に昼夜を問わず、調べものをして起案をして訴訟戦略を練って議論をする期間は、忘れがたい濃厚な体験でした。評決に至ったのち、最後に陪審員たちが、我々の主張立証をきちんと理解し評議においても活発な議論を交わしていたことが分かったときには、達成感でこみあげてくるものがありました。