2 多種多様な案件への主体的な関与 MSLGでは、訴訟、企業法務、労働、知財、一般民事、家事、刑事と非常に幅広い分野の案件を取り扱っております。クライアントも上場企業、その関連会社、学校法人、宗教法人から個人(カリフォルニア在住の方、カリフォルニアでの起業やビジネスを検討している方、旅行者など)まで実に多種多様です。米国でも幅広い案件を扱う法律事務所は他にもたくさんあるかと思いますが、MSLGでの研修が特別な点は、これらの案件に主体的に携わることができる点です。私が担当させて頂いた案件の一つに労働訴訟がありました。この案件は、当初別の弁護士が代理人を務めており、我々はオブザーバーという形で関与していたのですが、訴訟提起の2年後にクライアントからの要望を受けて引き継ぐことになりました。私の仕事は、代理人変更届の起案から始まり、各種申立て、相手方からのrequest for production of documents, request for admissions及びinterrogatories等に対する回答、depositionやmediationの準備、相手方弁護士やクライアントとのメールや電話でのやり取り等、全ての弁護士業務に携わりました。中でも特に印象に残っているのは、Summary judgmentの申立てです。Barの勉強で制度の存在そのものは知っておりましたが、実際の申立ては想像以上に大変でした。裁判所に提出する書面作成のために、一時はクライアントと毎日のように1時間ほど1対1で議論したり、専門家に対するヒアリングを行ってdeclarationを作成したりする等、作業は数カ月にわたりました。英文の起案はもちろんですが、自分の考えや書面の記載内容の微妙なニュアンスをクライアント等に英語で伝えるのに大変苦労しました。ただ、そのお陰で英語力もLL.M.にいた頃よりも格段に伸びたと思います。 上記以外にも、刑事事件の関係で他州に出張し、1500箱にも及ぶ関係証拠を精査したり、急逝した日本人の方の家の明渡しを行ったりする等、ここでは書ききれない程多くの刺激的な案件を担当させて頂きました。研修の後半にはコロナの状況も改善されていたので、裁判傍聴や裁判官との協議の場への同席もすることができ、大変貴重な経験となりました。 一般的な日本人留学生の米国法律事務所での研修内容については、翻訳作業や契約書のチェック等が研修の大部分を占め、残念ながら、やりがいのある仕事を任される機会は少ないと聞きます。また、提携関係にある法律事務所で研修すると、「お客さん」扱いを受け、まともに仕事も振られないという話も少なからず耳にします(実際のところは分かりませんが)。もちろん、そのような研修を通じて得られることも沢山あると思いますが、訴訟を含む米国の弁護実務に直接かつ主体的に携わり、実務経験を積みたいということであれば、MSLGは最適の研修先だと思います。なお、日本で働いていた頃と比べれば格段にワークライフバランスはいいのでご安心ください(笑)