MSLGでの得難い経験
弁護士　堂山　健
 
１　はじめに
　私は、大阪の中本総合法律事務所の弁護士であり、２０１９年にカリフォルニア大学バークレー校のLLMを卒業後、縁あって、MSLGに約一年間、実務研修のため、勤務させていただきました。
　色々と貴重な経験が出来て、感謝の至りです。私の勤務期間は井上拓弁護士と一部重複があり、内容も重なるところがありますが、後学のために、私の経験の一端を以下に紹介させていただきます。
 
２　幅広い案件
　MSLGの特徴のひとつは、企業法務案件も（日本でいうところの）街弁案件も、区別なく取り扱っているところです。いわゆる「渉外事務所」となると、企業法務・書類仕事偏重といったイメージが付きまといがちです。しかし、MSLGは、日系企業からの相談だけでなく、現地の日系人・日本人からの相談も多く、刑事・家事といった案件も多数取り扱っていました。これらの案件は、書類仕事に留まらない実働が求められます。結果として、多様な業務を経験することができました。
また、こういった案件の対応を通じて、米国の訴訟実務を学ぶことができました。特に代表弁護士の和解交渉の技法などは、大変参考になりました。
　
３　先進的な実務
　さらに、MSLGでは、様々な先進的な実務も経験することができました。そのひとつはインターネット上での名誉棄損等に関し、アメリカのディスカバリー制度を活用して発信者を特定する方法に関する実務です。この方法は、MSLGによる一種の「発明」であり、日米を問わず、他の事務所では出来ない経験をさせていただきました。
このような未踏の分野にも果敢に挑戦していく姿勢からも、代表弁護士以下MSLGメンバーの気概が見て取れました。
　また、これは誰も予想できなかったことですが、勤務期間中に新型コロナが流行し、様々な新型コロナ関連立法が州政府などから矢継ぎ早に発表されていくという事態がありました。当然ながら全く前例のないことであったため、MSLGに、これらに関する相談が多数あり、それらに対応していくという、初めての試みにも参加できました。
 
４　最後に
以上の通り、MSLGでの１年間に多くのことを学べました。特に私の場合、２０１９年のカリフォルニア州司法試験に合格し、現地の弁護士資格を得たため、ごく短期間とは言え、実際に弁護士として米国で働くことができたのは、非常に貴重な経験でした。（それだけに最後の方の期間について、新型コロナの影響で業務が一部制限されてしまったことは残念ではありましたが）
MLSGで学んだことを糧に、今後とも弁護士として精進していきたいと考えております。本当にありがとうございました。