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過去記事「ドメステック・バイオレンスはみんな悲しい」

11/20/2018

 
本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。

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今回は、ドメステック・バイオレンス(以下、「DV」とする)について考えようと思います。あらかじめ申し上げておきますが、私は暴力は大嫌いです。暴力では何も解決しないからです。ある程度のビジョンを持っている人であれば、暴力は人間関係でなにも意味がないということを知っているからです。私は子供の頃、よくけんかをしましたが、大人になってから暴力をふるうという人は根が弱虫なんだと思います。権力や地位をひけらかす人というのは、ろくな人がいないものですが、暴力でその表現をする人って不幸な人なんでしょうな。もちろん日本人でもアメリカ人でも感覚的に「暴力はいけない」と思っている人が通常なのでしょうが、シチュエーションによっては、考え方に差がでてきます。ひとつの代表的な例がDVです。 家庭内暴力というのは、アメリカでも日本でも長いこと「起こっている事実はあるけれども、まあしょうがないことだな」という考えが支配的でした。日本でもDV法が施行され、近時暴力の被害者を擁護するような裁判所の命令や判例が出てきていますが、アメリカのDV法の使われ方は比べものにならないほど影響力があります。この影響力は警察・検察とも積極的にDV事件を立件していこうという政治的な背景から成り立っているものですが、良い影響もあれば、悪い影響も発生させるおそれがあります。確実に言えることは、多くの家庭がDVが存在することにより崩壊し、DVが事件になることによっても家庭が崩壊する場合が多いのです。
 
ベイエリアのDV事件はひょんなことから始まります。当事者が電話をしなくても、隣家の人達が通報することにより、警察が介入できることが法律で決められています。日本でいう警察の「民事不介入」という原則はなりたたないのです。まず、この思いもよらない警察の介入にまず当事者はびっくりしてしまうわけです。自分の家でもベイエリアでは大声で争ったりすることは大変なことになってしまうのです。電話で通報されてしまうと、声だけの言い争いでも、警官が夫婦を引き離し事情を聴取します。ここでまず当事者が何を警察に話すかということが後日にまで尾を引いてしまいます。もし奥さんが少しでも、旦那さんに物理的に押されたとか、掴まれたということをいえば、旦那さんはばっちり逮捕されてしまいます。もちろん口げんかだけであれば、警察は何もできませんが、奥さんの体に、ちょっとでもあざなどがついていると写真に撮り、後日の証拠になってしまいます。このイニシャル・コンタクトの時の証言や写真というのを警察、検察とも重視します。後日、奥さんが体を触り合ったりしていないなどと証言しても、「弁護士に知恵を入れられた」とか「後から怖くなって証言を変えたんだ」などと勘ぐられてしまうのですね。DVが事件になると、事例によっては夫婦が一緒に住めなくなったり、警察が職場や学校に事情聴取に行ったり、たいへんなことになります。もちろん、実際に物理的な暴力をふるって、ふるわれているような家庭であれば、どんどん警察が介入するべきだと、思いますが、よく私が頭を抱えてしまうのは、あまり英語もできない駐在員家庭で、大声で言い争っていただけなのに、捕まってしまうというシチュエーションです。隣家にしても、何の言葉で言い争っているのかわからず通報され、警察が来ると、英語で誘導的な尋問をされ、事件を作り上げられてしまいます。私が一歩引いてみても「そこまでするかなぁ」という事例がひとつや二つではありません。仮にですよ、私が彼女と言い争いになって、彼女が私に不満で、何も暴力はなくても、電話を持ち上げて、警察を呼んで、彼女がここを殴られたといえば、私は捕まってしまうでしょう。ベイエリアの警察はそこまでやります。警察が来てしまうとその後、裁判になり、外国人であれば強制送還の可能性もあり、カリフォルニアの法律で52週間のDVカウンセリングにも通わなくてはならなくなりますから、事件を解決することは簡単ではなくなってしまいます。事件になってからでは、夫婦の仲もぎくしゃくしたり、良いことがありません。とにかく、私のアドバイスは、夫婦間で言い争いになった場合、どちらかの声が荒くなってきた場合、等々、とにかく、どちらでも良いですから家を離れどこかで頭を冷やすことが大事ですね。しばらくしてまた家に帰っても言い争いになるようであれば、これはDVの芽があるかもしれません。
 
弁護士がDV事件にかかわるのは刑事事件で旦那さんを弁護するというパターンが通常です。もちろん、実際に暴力があるような事件で被告人である旦那さんに自覚が無い場合には、弁護人としてもまず自覚をいろいろな形で持ってもらう努力をします。ところが、大人になってから、人が何かを自覚するということほど大変なことはありません。人というものはなかなか自分を変えるということはできませんからね。私はクライアントと接するときに、その人が主観的にどのように考えているのかということを丁寧に聞くようにしています。その主観で考えられていることと現実の法律によって定められていることをどのように繋ぐかということが弁護士の「仕事」なんだと思います。人は一人一人自分が「正しい」と思っていること、「悪い」と思っていることがあるわけで、その思いと法律を繋ぐ役目が弁護士なんですね。いやはやわかりにくい職業ですが、弁護士が「人商売」といわれる所以はそこにあるんですね。
 
今回はDV事件のインパクトを考えてみましたが、子供さんがいる家庭は特に注意してくださいね。

過去記事「貸主責任」

11/15/2018

 
本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。

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今回は表題にあるように「貸主責任」、アメリカの法律用語ではLender Liability
という問題を簡単に考えていきたいと思います。貸主責任と言われてもピンとこないと思います。ところが日本でも一時期相当話題になっていたんですよ。例を使って考えましょう。日本では住専問題において、回収会社が金融機関の代表者などの責任を追及していた事件がいくつもありました。この場合、金融機関における責任というのは、相当の担保を取らずにお金を貸して、焦げ付いたことに関し、ひいては消費者に損害を与えたということが根拠になっていたのです。新聞を連日賑わせて退職金まで返上するなどと、当の本人に取ってはダメージの大きな問題になった訳ですが、ちょっと一歩引いて考えてみてください。
 
たしかに銀行の貸金担当の人は、担保を取らずにお金を貸した訳ですが、実際はその借りたお金を返さなかった人が数倍「悪い」訳ですよね。お金を借りて、計画性もなく使って、バブルがはじけて、そのバブルの責任にしてしまう。 ところが、お金を「貸しただけ」なのに責任が生じてしまう。 なんか、不合理なような気がしますね。もちろん住専問題のように社会問題となってしまうと、世論も銀行に対しては厳しい目で見ていく訳ですから、どこかに責任の落としどころがないと世間が納得しないわけです。 しかし、もし皆さんが、友人を信用してお金を貸したのに、第三者がでてきて、「あなたはその友人の信用調査をしなかったし、担保も取らなかったので、あなたも同罪です」なんて言われたら、恩に仇と思いませんか。 たまったものではありませんね。しかし、法律上はアメリカでもちゃんと貸主責任というものを規定しています。上記から考えると、貸し主も「そんなに悪くない」と考えられる例も少なくないわけで、ただ単にお金を貸したからといって、責任を負わせると言うことはあまりにも酷だということになります。ですから、法律はある一定の要件を満たした場合にお金等の貸し主に責任を負わせようということにしたのです。
 
もちろん、以上考えてきたように、「あまり悪くない人」に責任を負わせるという、どっちかというと法的な線引きの問題です。日本では、住専の場合には、代表者の過失という形で責任を追及していきましたが、アメリカでは主にどのように考えられているのでしょうか。 もちろん、アメリカでも住専のように金融機関の過失ということが論じられますが、さらに一歩踏み込んで過失がなくても、ある一定の要件下で、責任を生じさせる傾向があります。こわいことです。いくつか判例が存在しますが、以下のようなシチュエーションにおいて、貸主責任を認める例が見受けられます。大会社の甲があり、その製造の下請けをする乙という会社があるとします。甲が乙の生産量や生産するものの種類などを決定し、さらに乙の会計業務や借財に関しても実質的な決定権を持っていると仮定しましょう。こういった上下関係、支配関係がある場合には裁判所は貸主責任を認める傾向にあります。ですから、(1)親密な関係、(2)会社間の契約内容、(3)実質的に代理として行動していること、といった要件を吟味して、貸主責任が判断されるのです。 また、貸主の動機も重要な要件とされています。つまり、ただ単純にお金を貸しているだけなのか、それとももっとビジネスにかかわっているのか、貸主がどのように考えて行動しているのかを吟味するのです。
 
このようにアメリカではまったく過失がなくても、ビジネスにどの程度踏み込んで関与しているかというところまで、責任の判断材料にされてしまうのです。アメリカで日本の企業が単独で商売をするということは実は少なく、多くの場合、現地の会社と何らかの形で組んでビジネスをしていくということが多いと思います。また、多くの場合、金銭的にビジネスを支援していこうなどということもあるでしょう。この場合、落としやすい論点ですが、この貸主責任ということにも気を遣っていただきたいと思うのです。善意でお金を貸して、ビジネスも実質的に援助しているのに、蓋を開けてみたら第三者に対しての責任が生じてしまっていた、なんて場合も考えられるからです。もっとも単純なお金の貸し借りにまでセンシティブになる必要はないとは思いますが、アメリカでビジネスをする上ではどこか頭の隅においておきたい法律上のコンセプトです。

過去記事「同棲」

11/8/2018

 
本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。

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​今回は、結婚をしない同棲について考えてみましょう。 同棲という日本語はちょっと、いやらしい韻を含むような気がしますが、別に悪いことではないように思います。いろいろな事情があるカップルがいるわけですし、結婚をすることがベストな選択ではないという状況もある訳です。カリフォルニア州では2002年にある一定の状況の下において、同棲のカップルについても一定の権利を相互に与えることになりました。基本的には、厳しい要件が課されていますが、一方が62才以上の異性のカップルであるか、一方が社会保険を得れる場合には、同棲によって得られる利益が拡大しました。
 
なんで、このような話題を取り上げているかというと、通常、日本で紹介されているアメリカの法律関係の記事には、ビジネス関係やちょっと有名になった事件といった程度で、アメリカでの本当の法律の動向はこのような、倫理観がぶつかる問題が適切だと思ったからです。アメリカの日本語紙ではビザのことばっかり。でも若い読者の方は、同棲をしたことがある人も少なくないですよね、たぶん。アメリカに居るのであれば、アメリカでの考えのぶつかり方を見ると楽しいですよ。 今回は異性の同性についてですが、同性の同棲についてもいろいろ議論がなされ、アメリカでは最先端の考え方がいっぱい出てきています。こういうのが刺激になりアメリカ生活を楽しくしてくれます。
 
さて、今までは異性であっても結婚をしていなければ、お互いのために何かをするということができない場合が多く、同棲をしているカップルにおいては悩みが多く存在していました。政治的な要素や倫理的な要素もあったのでしょうが、カリフォルニア州では、ある一定の部分においては、同棲の法的な効果を認めました。家族に関する法律は各州で違いますので、皆さんがお住いの州によって扱いが違いますので、今回ご紹介するカリフォルニア州の例を参考にして、皆さんにも考えていただきたいと思っています。「こういうのはどうかなぁ」とか、「もっと改革を進めるべきだ」とか、いろいろな意見がでてくるのではないでしょうか。
 
さて、同棲についても、カリフォルニア州では州内で登録すれば、様々な権利が認められるようになりました。伝統的な「家族」のコンセプトを多く取り入れているように思います。今回の法改正で代表的なものを列挙してみましょう。同棲している一方が事故などで死亡した場合、もう一方のパートナーは訴えを起こせることになりました。また、一方のパートナーが死亡した場合、もう一方のパートナーは政府の年金などを受けることができるようになりました。また、一方のパートナーが死亡した場合、相続もできるようになりましたし、相続において、遺産相続財産の管財人にもなれます。 職場においても、パートナーやパートナーの子供が病気になれば、病欠をとれることになりましたし、健康保険なども、パートナーが加入できることになったのです。
 
これは同棲をするカップルにとっては大きな前進です。結婚をするということによって発生する効果が、登録は要求されているものの同棲しているカップルにも認められるのです。言い換えれば、同棲という形の同居も法律で認められることになった訳です。和わたしがかかわった案件でも、婚姻をしている配偶者よりも、家を出て同棲しているパートナーに財産を残すというケースも少なくありませんでした。 配偶者がいるからといって同棲しているパートナーを責めるということができない事例も多く、悩みの種でした。
 
法律が踏み込めない「愛」というのも巷に存在する訳で、道徳観の問題として処理するのか、法律の問題としてルールを作って処理するのか、文化の差もありますし、社会の捉え方もあります。アメリカでも保守的な州もあれば、前衛的な州もあり、様々な価値観が存在する部分の法律です。

過去記事「トレードマーク」

11/6/2018

 
本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。
 
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通販で買った腹筋マシンが届きました。ジムに行くというのはなかなか時間を作らなくてはならないので大変ですが、テレビを見ていたら一日10分で引き締まった筋肉を!なんてえんえんとやっているのですね。値段も「なんと今なら更に50ドル引き!」なんてことになると「いやー、消費者の心理を突いているなー、あはは」、といいつつオーダーしてしまいます。さて、効果のほどはいかに。 皆さんも鍛えてますか。
 
さて、今回はざっとトレードマークの基本について考えてみましょう。街で売られている商品や広告、それに本や新聞などのメディアにもTMとか、登録商標などという小さな文字が書かれているのを見かけられるのではないでしょうか。トレードマークと呼ばれるやつで、一般的にはロゴや特殊な書体、商品を表す図形などがあります。商標が存在する目的とは、一般の人がある商品と別の商品を間違えないようにし、その特定の商品の評判を守るためです。つまり、消費者が物を購入するときに、コカコーラを購入したら、コカコーラを飲みたいという気持ちがあるからで、類似品を間違えて買わないようにするため、つまり、コカコーラという商品を保護するための道具なのです。 一般の人達はコカコーラの缶をみると、どういう飲み物か想像できますよね、どのような商品か、またどのような品質なのかを連想できる表示に対して法的に保護を与えているのです。 商標は使っていれば、アメリカであれば連邦政府に対して、登録をしなくても、保護は与えられます。たとえば、カリフォルニア州で「鈴木コーヒー」というコーヒーを売っていたとすれば、登録がなくても、商標は成立します。しかし、アメリカ全国で「鈴木コーヒー」の類似品を使えないようにするためには、連邦政府の特許商標局(Patent and Trademark Office)に登録をしなければなりません。 一般的に、登録をする方が良いのは、データベース登録があると、他の人が似たようなマークや名称を使用することに対して注意を喚起できるからです。もちろん悪い人はわざと似たような名称で商売をしたりするでしょうが、善意の人に対しても、注意を促せるメリットがあるのです。
 
連邦の商標登録は細かくカテゴリーにわけて規定されています。つまり、衣類、家具、といった製品別になっているのです。商標を登録するに関して、商品が混同されないような分野では登録の必要が無いわけですね。 登録料は1件費用だけでも400ドル以上かかりますので、やはり大会社でなくては多くのカテゴリーに登録するメリットもないのです。
 
商標を登録するためには、すでに商標が商売で使われていることが前提になります。ですので、自分の商品に商標をつけ、マーケットに出回っていれば、商標を登録する前提が満たされる訳です。 しかし、現在の情報社会ではせっかく登録をするために商標を使っていても、先に同じ様な商標を使われてしまう可能性がありますね。この不合理を防ぐために、使用を前提とする登録(Intent to Use Registration)という方法が認められています。この申請をすると、申請時から6ヶ月の間に、その商標を使えば、商標として認めようというものです。この6ヶ月の期間は、類似の商標は登録できない仕組みになっています。
 
面白いのは、アメリカでは特定の「色」も商標として登録できる場合があると判例で示されています。 もちろん、色自体のみで商標をとろうとすると通常よりも大変ですが、1985年以降、認める方向になっています。 色に関して、消費者が二次的な意味を持っているかどうかということがカギになります。 つまり、その色を見て、「あ、あの製品だな、」と思い浮かべられるかどうかが問題となるのです。
 
また、商標として登録できない名前もたくさん存在します。たとえば、一般的な名称です。たとえば、「コンピュータ」という商品名のコンピュータは登録できません。皆さんもよくご存じの例は「はちみつレモン」ではないでしょうか。はちみつ、それにレモンというのは、一般的に使われる名前ですから、商品として売り出した某社は商標登録ができなかったのです。この商品が売れると他社もこぞって「はちみつレモン」を世に出しましたが、一般名称と言うことでオリジナルを発売された某社は何も法的手段をとることができなかったのです。

過去記事「法曹一元」

10/29/2018

 
本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。
 
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日本と違いアメリカでは「法曹一元」ということは常識です。職業裁判官という言葉がアメリカでは存在しないのですから、法曹一元という言葉も存在しません。アメリカでは弁護士としての経験を積み、在野法曹としての経験を積みはじめて裁判官になることができます。法曹でなくてもいろいろ仕事を変える国民性があるアメリカですが、この法曹一元化というか、弁護士の経験がなくては裁判官はやるべきではないいうポリシーは法律の風通しを良くしていると思います。故ジョン・マーシャルアメリカ元最高裁判事も元は黒人解放のために自分の家まで焼かれてしまった弁護士でした。
 
わたしも一介の在野法曹ですが、今年の4月にサンフランシスコ上級裁判所から任命され、パートタイムの裁判官になりました。裁判官としての経験は貴重ですし、非常に刺激になり面白いです。わたしは裁判官としては新米なので、主に賃貸借関連の和解期日を担当しています。サンフランシスコは全米でも有名な賃貸借の判例がでているところで、伝統的に賃借人に非常に有利な法律も多く制定されています。ところが、インターネット・バブルの影響で法律も変わってきたりして争いの多い分野でもあります。
 
裁判官に任命されるまでは、ボランティアでよく立ち退きをされている賃借人を弁護していました。体が不自由な人、人種差別をされている人、いろいろな人がいました。弁護士をやってきた経験というものは、裁判官になっても生きてきます。
 
わたしの裁判官としての役目は陪審裁判ぎりぎりになっている事件が和解できないものか時間をとって模索する役目です。事件は様々ですが、両方の法的主張を聞いたり、諭したりしながら事件を解決しています。しかし、時には解決策もまったく見えない事件もあがってきます。 わたしがほとんど口を出せなかったのがいわゆる「ワン・ストライク法」にかかわる事件でした。
 
ワンストライク法というと馴染みがない法律ですが、アメリカではコミュニテ毎に条例として制定されている法律です。サンフランシスコでは、公的な補助を受けて経営されている賃貸住宅においては、賃借されている物件で麻薬が使用された場合には、その賃借人は理由の有無を問わず一回の出来事だけで立ち退きの対象になるという法律です。麻薬に対する心構えということでは非常に有用ですが、賃借人のコントロールの範囲外の問題で立ち退きを請求されうる可能性もあります。

過去記事「インターネット」

10/24/2018

 
本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。

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今回はプライバシーとインターネットにかかわる問題を皆さんと一緒に考えていきましょう。 職場での電子メールとインターネットの使用に関してです。まず、現在、日本やアメリカではどこの職場でもコンピュータを介してインターネットを使っていると思います。インターネットは現在主要なコミュニケーション手段ですから、職場でインターネットを使うといっても、私用のものも混ざってしまう可能性がありますね。また、インターネットを使うと様々な情報が得られますから、就業中に職場で仕事とは関係ない情報を閲覧できるという状況も充分考えられる訳です。

 この電子メールを含めたインターネットの職場での使用に関しては、まだ雇用する側でもちゃんと対応していないケースも多く存在し、場合によってはプライバシーの侵害といった問題も浮上する場合があります。今回、雇用主の立場に立って、インターネットの使用に関して、どのように事前の対処を会社側としては行っておくべきなのか、考えて行きましょう。

 まず、インターネットの使用に関してですが、雇用者はどのようなサイトを被用者が就業中に見ているのか、モニターすることは何ら違法行為ではありません。ですので、一定のサイトにだけ接続できるように設定したり、一定のサイトに接続できないように設定するなど、職場のコンピュータをコントロールするところも増えてきています。 また、どのようなサイトを被用者が訪れたか、チェックすることも何ら違法ではなく、最近では、雇用主の為に被用者のインターネットの使用を監視するコンピュータソフトウェアプログラムも売られるようになりました。 

 このように、インターネットにおける情報へのアクセスに関しては、雇用者の監視は幅広く許されていますので、電子メールの内容についても、仕事に関する限り雇用者は監視をすることができます。しかし、電子メールについては、ただ情報を得るインターネット使用と違い、プライベートな内容をやりとりするという一面があるため、雇用者によっては被用者個人のプライバシーにかなり気を配っている会社もあります。しかし、基本的には雇用者側は被用者が職場で使っている電子メールの内容を読むことを許されていますので、被用者としてもプライベートと仕事をわける配慮が必要かもしれませんね。

以上のように、会社側、雇用者側は、職場においてはインターネットの情報や電子メールを監視することが基本的には許されている訳ですが、絶対的に個人使用を禁止するというのは、どうしても無理があるように思います。あまりにも画一的に「絶対禁止」などということをすると、被用者側だって嫌になってしまいますよね。そういう意味では、会社である程度の規則をつくるのが現状ではベストではないかと思います。 多くの会社では、インターネットの閲覧に関して時間制限を設けたり、違法性の高いサイト、たとえば猥褻なものや、賭博に関するサイトの閲覧を禁止したりしています。また、会社のメールアドレスを個人使用する場合には、private(私用)と表示するよう義務づけたりしています。最初から、就業規則にインターネット使用に関する内容を盛り込んでおけば、被用者側としても、「やってもよい程度」というのがわかり、両者にとって利益となるのです。ある意味、インターネットに関する規制を会社側がどの程度行うか、ということに関しては電話の場合と同じように考えれば良いと思います。 何十分も電話で私用のおしゃべりをしていることはよくないですが、家族や友人との簡単な会話まで制限するのは大人げないですよね。そういう意味では合理的な就業規則を最初からつくっておくということが、大切なのです。

過去記事「投資の心構え」

10/23/2018

 
本記事は、本ブログ作成前(2000年代)にMSLGのメンバーが執筆したコラム等のアーカイブです。現時点の法律や制度を前提にしたものではありませんので、ご留意下さい。

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 アメリカでは従来から銀行が一般の人から得た預金をもとに、各会社の株を取得するという日本的な方式はとられておらず、会社が直接個人出資家、機関投資家から出資を得、その出資を元にビジネスを展開するというパターンが一般化しています。証券取引の場所は与えるが、投資に関しては個人が責任を持つという原則が貫かれています。近年、日本の企業もアメリカの企業や企業の持つ技術に関心を寄せ、投資を行うという例には暇がありません。しかし、アメリカ型の投資形態に常に日本の文化が適応できるか、といえば難しい側面があります。決してアメリカ型が優秀で、さらにアメリカ型投資機構が他の国より優れているかというと、賛否両論があるのではないでしょうか。法律や会計に関しての問題ももちろんありますが、そもそも日本企業がアメリカ企業に投資する上で、考えて置かなくてはいけない心構えというのが存在するように思います。経験上、私が扱っている企業案件にも多くの投資案件がありますが、各日本企業内での判断に関して、様々な問題点があることを知ってきました。その一つを今回のコラムにしてみたいと思います。

 まず、日本の企業がアメリカ企業に投資を行うに際しての態度として、「投資」ということを理解していないケースが多々あるということです。「投資」とつく本や専門書はたくさんありますが、投資を金銭の貸与と考えている企業が多いということです。これは文化的な側面だと思います。アメリカでは10代から、投資をしてお金を稼ぐということを実際の経験を通して学びますし、株に投資をするということは「お気軽」感が強い環境で育ってきています。植民地を持ち、その植民地を自国の繁栄に割り当てるという英米系の考え方なのかもしれません。日本や他の外国では、このような投資という考え方は強くなく、やはりビジネスを自分で実際に行い、やることをやって利益をあげるという形が一般的でした。「投資」というと、自分が始めるビジネスに対してお金を使うというイメージが強かったのだと思います。しかし、日本人が感じる「投資」というコンセプトとアメリカで、実際に感じる投資とは、隔たりがあります。アメリカでは、純粋に自分の持っているお金を増やすということに意義があると考えるからです。業績重視、どの程度のリターンがあるか、ということが重要なのです。
 ところが日本企業にはそのように、お金だけを儲けるだけのために投資をするというコンセプトは少なく、付加価値を求めます。たとえば、自社の商品を世界に広めるとか、業績をあげるとか、純粋にお金を儲けたいとおもう気持ちにプラスアルファがあるのです。私は日本企業を代理していて、歯がゆく思うのが、日本企業は純粋にお金を儲けたい、と思う方向と、自分の持っているビジネスを拡大したい、という思いをミックスしているということです。ですので、アメリカ企業と交渉を行う際に、時間が長引いたり、意思のすれ違いが生じたりするのです。「投資」とは、お金を儲けるためのいわばギャンブルですから、確実に安定して事業をのばすと言うコンセプトと合致することもあれば、まったく逆の要素になることも考えられるのです。端的に言えば、金銭を与える見返りは金銭だけだと割り切ることも必要で、その他の付加価値については別途の協議がなければ、他の投資元とも差がついてしまいます。ですので、「お金を出す」ということは、「投資」なのか、それ以外の利益を求めるものなのか、社内でちゃんと目的を確かに持つ必要性があるだと思います。

 次に、日本の企業が必要なのは、社内での判断能力の一本化ということだと思います。組織が大きくなると特に判断能力については、担当をしている人の能力にかかってきてしまう部分が大きくなり、時間などに制限のある投資は難しい部分があります。私は、判断が一本化できない根元には上で考えた「投資」の目的につき一人一人が違う考え方を持ってしまっていると思います。アメリカの企業を相手に投資をするのであれば、「お金を儲けたい」、「事業協力したい」といった考え方をはっきりさせなくては、やっていくのは大変かもしれません。また、実際に投資の交渉が始まっている段階で、社内的にどの程度の金額で、どの程度の権利を得たいということを決めておくことも大事です。ほとんどの日本企業は、その辺が決めていない段階から打診をしてしまうので、納得がいかない投資になってしまう場合が多いのだと思います。

 頼れる弁護士や会計士などは、二次的な問題だと思います。御輿がちゃんとしてなくては、裏方さんは担げませんからね。社内での「投資」に対する心構えというのが、アメリカでも成功する基礎となるのは間違いありません。

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