■ 被害者の権利保護と刑事事件
大統領選挙を見据えた民主党大会がシカゴで開かれました。私も実務で相対した検事が大統領候補になりましたね。特に、オバマ夫妻のスピーチはそれぞれとても引き込まれる要素を持っていました。なんとなく共和党は現実眼の前にある問題に関して訴えかけ、民主党は将来の夢を訴えかける構図になっていると思います。 さて、今回は皆さんからの質問にお答えするのは一回お休みさせていただき、最近私が実務で感じたことを考えてみたいと思います。事件は不同意性交罪で、私は被告人男性の弁護人に就任しています。日本でも、性的な暴行罪だけではなく、「同意」というところに着眼した不同意性交罪が近時制定されたので、どのような罪かご存知だと思います。今の時代、刑事法の罪に問われるか否かは、性的関係を持つにしても、同意の有無が重要になり、従来の暴力、脅迫等の有無が二次的になってきています。以前は罪にならなかった、すなわち被害者が泣き寝入りしていたような事例に関しても、刑事事件として立件できるようになってきたわけです。 このような「同意」に注目する流れは、時代や社会の移り変わりもありますでしょうし、その移り変わりが法律を制定する政治にも影響している現れです。私は法を使う側で、基本的に作る側の人間ではないので、何も意見があるわけではないのですが、私が弁護士をやっているこの30年近くの期間でも、このような変化は体感しているところです。そして、私が実際に関わっている法律実務にもかなりの変化をもたらしていると感じることが最近ありましたので、考えてみたいのです。 (これより先は、メールマガジンに登録された方のみお読みいただけます。)
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