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■法律ノート 第258回 ■

 やっとこの法律ノートが日本評論社という日本の大手出版社より本になることになりました。「これでアメリカの法と社会の実際がわかる」という題名になりました。9月くらいには書店に並ぶのではないでしょうか。本の「まえがき」や「あとがき」を書いているうちに、いろいろなことがあったな、と胸が詰まってしまいました。また、一人一人の読者それに北米毎日の編集の方たちのおかげでここまで来れたのだと思うと皆さんに感謝の気持ちで一杯になりました。本が出版されてもこつこつ法律ノートは続けていきたいと思っています。これからもご愛顧のほど、宜しくお願いいたします。
 さて、前回考えた質問を続けて考えていきましょう。質問は、「先日、パーソナル・チェック(小切手)を買い物で使ったのですが、他で使ったチェックが思いがけなく現金化され、口座にお金が足りなくなってしまいました。預金が不足している状態でチェックを書くと、刑事事件にもなるということを聞き不安です。」というものでした。前回はパーソナル・チェックが預金残高不足などで、振出人に返されて来てしまった場合、どのようなリスクがあるのかを、民事的な観点で考えました。つまり、チェックを振り出した人と、受け取ったお店の関係にスポットライトをあてたのです。今回は、質問にあるように刑事事件にもなるかどうかということを考えていきましょう。
 まず、預金残高が足りないということを知っていながらチェックを書くことは、カリフォルニア刑法476条以下で詐欺とされる場合があります。つまり、充分なお金が口座になことを知っている状態でにチェックを切ってものを買ったり、その他の支払いをしたりすることは刑事的に追求される詐欺に該当します。もし、刑事事件として追及されると、最高で一年間の刑務所行きになってしまいます。実際問題として、初犯、つまり一回目にこの罪に問われても、いきなり刑務所行きになるということは考えにくいですが、法律ではそのように定められているのですから、可能性としては深刻な刑事事件になる可能性があります。
 もし、以上のように刑事事件になった場合、バッド・チェックを受け取った店側では、チェックを振り出した人が、その口座の持ち主であったかどうかという証拠を検事局に提出しなければなりません。つまり、銀行口座の持ち主とチェックを使用した人間が同一人物であるかどうかを確認する必要があるのです。そこで、カリフォルニア刑法476条では、チェックを振り出した本人の同一性を確認するために、運転免許証番号などの情報があれば同一性が確認されたとみなし、その振り出されたチェックの表面にその運転免許証の番号や自宅もしくは仕事先の電話番号を書いておけば、証拠として提出できると定めています。ですから、チェックを使おうとすると、かならず「免許証」かパスポートなどの身分証明書の提示を求められますね。これは、この条文があるからなのです。また、チェックをつくるときに、電話番号をチェックの表面に印刷するかどうか聞かれますが、カリフォルニア州ではこの条文があるため、できれば電話番号をチェックに印刷しておいた方が無難なのです。
また、保安局(Sheriff's department)や警察といった政府の機関がバッド・チェックについて、捜査をしたり、回収をしたりする場合には、上限を25ドルとして、費用をさらに追加できると規定しています。この費用は、前回考えたサービスチャージとは別の費用として換算されますので、注意が必要です。
 なお、銀行などの金融機関も、もし皆さんがチェックの振り出しに関して、預金残高不足になった場合は逐一コンピュータに入力するのが通常ですから、銀行との関係を健康に保ちたいならパーソナル・チェックの振り出しには充分気をつけてくださいね。以上でチェックに関する刑事事件の可能性を考えました。次回、新しいトピックを考えていきましょう。それでは皆さん、一週間がんばりましょうね。

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