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●弁護士にもわかる米国会計の基礎講座●

鈴木淳司
(弁護士も含め、素人用の会計講座です) 8/29/2002最終更新
  [本稿はカリフォルニア大学デービス校ロースクール、ジョン・アイヤー教授、同じくバークレー校ロースクール、ステファン・チョイ教授の講義からヒントを得て作成しました。Thanks to Prof. John Ayer, UC Davis and Prof. Stephen Choi, UC Berkeley]
■はじめに■

 弁護士が会計に業務上関わるのは、主に2つの場合ではないでしょうか。自分の事務所の内部会計、それに受任した事件でなんからの会計がからむ場合でしょう。それ以外では、あまり興味もないでしょうし、数字が苦手だから弁護士になったという方もいるかもしれませんしね。一般的にいっても、日常的に会計業務に携わっていない場合には、あまり会計の仕組みということを学ぶ機会は無いと思いますし、知る必要もないかもしれません。ここではアメリカの会計に関して、最低限知っておいた方が良いであろう、また実務において会計書類に関して調査をしたり、訴訟に使用する際に知っておくと業務がはかどるであろうと思われる点を挙げます。実は基本的に私が習ったことを忘れないようにメモに取っておこうと思ったのがきっかけですけど。

 
■最初にまとめてしまうと・・・■

 アメリカにおいてアカウンティングと呼ばれている会計業務は、基本的に法律界でいうところの「慣習法」のようなものが存在します。その「慣習法」的なものを作り出しているのが、Financial Accounting Standards Board(以下「FASB」とする)という団体で、Generally Accepted Accounting Principles(以下「GAAP」とする)という基準を提唱しています。FASBについては、http://www.fasb.org/をご覧ください。 このGAAPというのが、様々な会計問題で判断が必要な時に使われる基準となるのです。もちろんFASB以外にも、Securities Exchange Commissions (SEC)という、証券取引委員会という政府付けの団体も会計に影響する基準をつくりますが、この講座では、あまりにも専門的なので扱いません。SECは株を上場させる場合に出てくる監視団体なのですが、証券に関しては、別の講座でじっくり考えます。 
 なぜ、GAAPという基準をつくったのか? それは、基準をつくらなければ、様々な判断基準が生じる可能性があるからです。会計は数字を扱うといっても、実は数珠のように連なったある意味政治的な判断をしながら、ビジネスの実体を明らかにしようと試みるシステムです。ところが、そのシステムは明確ではなく、恣意に影響される可能性は幅広く持っています。ある会計士が言っていることと、他の会計士が言っていることが違っているということがあります。 弁護士の方々は驚かないと思いますけれど、法律と同じように、会計の実務というのは、判断基準に差がしっかり存在していることを念頭に置いてください。
 判断基準のストライクゾーンが広いということは、書類上いろいろな操作もできるということで、エンロンやワールドコムなどの事件でも、会計操作ということが大きく報道されていました。 株主は提出された会計書類を今までも見ていたでしょうし、会社の内情についてもいろいろ聞いたりしていたはずです。それなのに、あのような大規模な不正がいとも簡単にできてしまう。その理由の一つに会計上の様々な判断基準に幅があるからなのです。
 ということは、たとえクライアントが事件を持ってきて、「不正経理」が間違いなくあるかどうかを、たとえば、バランスシートやファイナンシャル・ステートメントから証明することは無理なのです。ですから、これらの書類を弁護士がじっくり検査したからといって、法廷で使えるような不正はまず見つかりません。 エンロンでもワールドコムでも内部の「密告」が引き金となってあきらかになりましたが、そうでもしなければ、なかなか見つかりにくいのです。
 では、どうやって、会社の不正を見抜くか?会計書類から何がわかるのか? 結局このことを法律の実務家は知りたい訳で、この講座の結論となります。先にこのことを書いておきましょう。
 不正を見つけるには、その会社のキャッシュ・フロー(後述)を基本として調査をするしかありません。キャッシュ・フローを簡単に説明すると、いくら現金が入ってきて、いくら現金が出ていったかを示す書類です。出入金については、銀行にお金を入れるわけですから、客観的な書類もあり、ごまかしにくい。また、銀行にお金が入っていない場合には、その説明がないといけない訳です。この方法でもわかる不正とわからない不正がありますが、バランスシートやファイナンシャル・ステートメントと対比してみると、不正などがわかる場合があります。
 次に、会計士の中でも、このように不正を見抜くことを専門の業務としている人がいますが、結局「勘」で怪しいところを見抜くんだそうです。そして、その怪しいと思ったところを、どのような支出があって、どのように使われているのかバックアップの書類を使って判断するそうです。これは、税務の監査と同じでしょうけど、見つける意欲と目的が違うわけです。
 こうしてみると、ちょっと極論かもしれませんが、本当に客観的に信じれる会計書類はキャッシュフローに関する書類のみかもしれません。弁護士が会社の不正などが絡んだ事件を引き受けたときは、まず会社のキャッシュフローが見える書類と銀行の出入金関連の書類をおさえましょう。また、証拠開示を求めるにしても、まず最初にこれらの書類を提出させることがカギになります。
 それでは結論がでたところで暇がある方は、以下、米国会計の大事な原則や書類の読み方を考えていきましょう。

 

各論
バランスシート(The Balance Sheet)
■インカム・ステートメント(Income Statement)■(準備中)
■会計のルール(抜粋)について■(準備中)
■ステートメント・オブ・キャッシュフロー(Statement of Cash Flows)■(準備中)
■アカウンティング・プロフィットについて■(準備中)
■裁判所におけるプロフィットの計算方法について■(準備中)
■NPVやIRRといった利益の計算方法について■(準備中)


Reference
Charles H. Mayer, Accounting and Finance for Lawyers (West 2001)
Robert G. Eccles et al., The Value Reporting Revulution (2001)
CharlesW. Mulford & Eugene E. Comiskey, The Financial Numbers Game (2002)


●注意! 会計業務に関わる方で、「鈴木の言っていることは、間違っている」とか「こういう考え方もある」という方はぜひご一報下さい junji@marshallsuzuki.com です。 また、ここに書いてある内容は、鈴木淳司の趣味というか、勉強の一環でやっているだけです。 私は法律家であり、会計の専門家ではないですから、そのことを念頭に読んでくださいね。ここに書いてあることについて、何らの責任も負うつもりはないので、宜しくお願いいたします。
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