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東京のある弁護士会での鈴木淳司の講演鈴 木 淳 司
1 本日は、自分の話を聞いてくれると言うことで集まって下さり、ありがとうございます。 まず、なぜ日本に進出するのか、というと、五つくらい理由があります。 第一に、裁判員制度に関わりたい。今の日本の制度に興味があります。実際私から見ると、不透明でよくわからない、と言うのが実情です。また、日本の裁判員制度について、アメリカに発信したいのです。 第二に、アメリカで10年やっていると、日本のお客も多い。コンセンプトも違います。例えば財産分与。アメリカには制度としてはありません。アメリカは、完全に分割するイメージです。分与ではない。コミュニティプロパティ、夫婦共有財産、自分の感覚では合有です。ロースクールでは、先生に恵まれました。感銘を受けたのは、鎌田薫先生、田山輝明先生です。 第三に、自分の事務所でも日本人の弁護士と働いてきました。一人は琉球大学の教授、もう1人は、ナイキの法務部長だった方です。自分自身も日本でも交流を持ちたいと思っています。日本でも業務をやりたいと思っています。 第四には、日本酒を飲みたいことで、第五には、沖縄でダイビングをしたいことです。
2 96年に弁護士になりました。法廷活動中心で、陪審までやります。 なぜ法廷業務をやるかと言うと、2002年には、69万5000件の弁護士の仕事があります。弁護士のうち4人に3人が弁護士業をしています。 あとはノンプロフィットの仕事です。なぜ成り立つかと言うと、パイも大きいが、弁護士がこちらの行政書士、司法書士の仕事をしているからです。裁判官をしていると、全ての弁護士の名前を知っています。法廷弁護士をしているのはその程度の数の弁護士だけと言うことです。残りの弁護士は非常に細分化されており、委任等々色々な弁護士業をしています。 大きな事務所は、裁判以外に専門性を高めています。特許、M&Aしか知らない弁護士が本当にいます。専門性をある意味深められるかもしれませんが、問題が出ています。ビルとビルの間に隙間風が吹いている気がします。弁護士の平均給与は1000万円くらいでしょう。日本の弁護士の場合は、そのへんどうなんでしょうか。ACLU(米国自由人権協会)に入っている人は年収200万、300万でやっている人もいるし、400万、500万の人も10%はいる、という統計も出ています。
3 そもそも自分が法廷弁護士をするきっかけは、貧困層の人の立退き裁判に出会ったことです。カリフォルニア、サンフランシスコ、バークレーは、賃借人の権利が守られている地域ですが、それ以外の地域は、たとえば、便器が底から漏れていて、オレンジ色のきのこが家中に生えていたりしておりと、家主に修繕義務がないのです。 アメリカは、30日以内に判決の出るスピード審理ですが、その中で先輩から、陪審、証拠収集等々を学びました その後なぜかニーズが合いました。日本人で法廷弁護人はいなかったからでしょうか。いろいろな事件をやりました。イソ弁時代も多くやりました。今のパートナーも法廷弁護士で、色々教わりました。
4 どうやって独立してやってきたか。契約書を作るにしても、自分としては、弁護士たるもの、法廷が基本だろうと思います。法廷、和解、法廷に出ることにより、いい書面が書けるのです。 自分が、日本人だからというハンディは全く感じません。自分は日本人だと言うことを積極的に使うことが、アメリカの法廷では可能です。要するにガッツさえあればできるという面があります。アメリカは移民の国だからです。アメリカ人は珍しい物好きです。法廷弁護士としてのバックグランドは気合です。
5 自分が日本人であることのデメリットは、DV偏見があることです。さすがにこういうのは、日本でもやられてないよ、というのは、効果があります。日本に対する偏見として、男性が女性に暴力振るう、という偏見があります。アメリカは厳しいです。DVについては、1回目で実刑ということもあります。カリフォルニアは、特に厳しいです。OJシンプソンの事件をきっかけに、DVの裁判は非常に厳しくなりました。今では、最低1年間のカウンセリングを受けさせられます。子供の前で凶器を使うといった事件についても非常に厳しく、すぐに10年くらいの実刑になります。検察、警察、日本人だからこういうことするんでしょ、というような偏見があります。アメリカでは、日本の映画だけで見ているのでしょうか。日本人とメキシコ人は警察のターゲットです。日本に帰ってくると、DVがとんでもないことになっているのも見聞しますが、映画とは間違った文化ということを発信してほしいものです。
6 連邦での裁判と州の裁判とでは、本当に違います。州をまたぐ場合と連邦の法律違反が、連邦刑事事件となります。一日100件、州の一人の裁判官に裁判所に割り振られます。捜査の段階のFBIは、本当に優秀です。移民局と一緒にやり、的確で徹底的に捜査をやります。完璧な証拠で来ます。それに対して州の裁判所は杜撰です。起訴猶予はありません。すぐ起訴してきます。捕まれば、ほぼ100%起訴になります。実際の有罪無罪は裁判所でやるのです。 連邦は本当に難しく、日本と似ています。しかしその一方で杜撰な調書は一杯あります。司法取引も私から見ると結構杜撰です。殺人罪も、簡単に傷害致死となります。麻薬も、公共に迷惑を掛けた罪に変わります。これは、刑事裁判の判決・量刑の範囲が公に公表されているからでしょう。
7 先程の話のつづきになりますが、アメリカでは、子供に対する罪は極めて重い罪です。児童ポルノをたくさん持っている、ロリータ何とかの画像を買っている、半年以上の実刑で未決ではいっている。センテンシングガイドライン。持っているだけで実刑になります。幼児が写っていると、2ポイント上がります。コンピュータは、使っていると2ポイント上がります。さらに幼児ポルノの写真など500枚以上で2ポイント上がり、すぐに10年くらいの実刑になります。通常3年から10年の実刑です。こうした文化・量刑の違いを理解してもらうのが、自分の働きのひとつだと思います。 連邦の事件については、一日2件位しかやらないので、詳しく見ます。実刑に入るなら、連邦の刑務所の方が格段に良いのです。刑務所から健康で帰ってきます。実刑を食らった人はみな連邦の刑務所に行きたがります。その一方で州の刑務所は、本当に怖い。ただし州の方は実刑が出にくい、と言う実情もあります。
8 陪審裁判については、アメリカでも7、8割は陪審をしていません。訴訟弁護士でも、トライアルまでやる前に終わります。99%そうです。トライアルは本当に大変で、時給でやると2000万円くらいになるので、1000万円で手をうった方がいいのです。自分の雇っている弁護士費用が高いからやめておく、というふうに働きます。 本当に陪審員は、結果がわかりません。不確定要素が極めて高いのです。ですからADRにいきます。日本のように司法取引のない裁判員制度は、どうなるのかわかりません。
9 アメリカでは、パートタイムの裁判官が多くいます。アメリカは選挙が多い所です。裁判官の人数が少なく、そのためパートタイムで担わせます。私は、シュワルツネッガーに任命された裁判官に任命された裁判官ということになります。アメリカでは、裁判官になるのは名誉なことです。将来偉くなれるのではないか、と思われています。自分がパートタイム裁判官になれたのは、立退き裁判のおかげもありますが、自分がアジア人であるからと言うのもあると思います。多様性を求められているのでしょう。 裁判官となってからは、業務が変わりました。経験としてはとても面白いものです。アメリカは、人種差別はないようで本当にあります。例えば、フィリピン人や黒人が虐げられているのをまじまじと見ました。虐げられている人は助けてあげたいと本当に思います。
10 これまでも自分のポリシーとしてもっていた国際的な架け橋として働きたいと思っています。また、細かいけれど大事な問題に気を払っていける弁護士になれればいいな、と思います。 |
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